トヨタは10月2日に千葉市の幕張メッセで開幕した「CEATEC JAPAN 2012」において、次世代の "つながる" サービスに必要な装備を搭載する1人乗りコンセプトEV「Smart INSECT」を公開した。

次世代の "つながる" サービスとは、各種IT技術によって「人とクルマと家」をつなぎ、「便利で快適なカーライフをサポートする」というもの。このSmart INSECTと名付けられた1人乗り小型電気自動車には、モーションセンサーと音声認識、そしてクラウド上に設けられた「トヨタスマートセンター」に接続する機能が搭載されている。



まずこのSmart INSECTは、車両前方に搭載されたモーションセンサーで近づいてくる人を検知。その顔を、あらかじめ登録してある「運転を許可された人」の顔写真と照合して個人認証を行う。それ以外の人には運転させない、というわけだ。

そして "正当なドライバー" であることが分かると、Smart INSECTはフロントライトを点滅させたり、インストゥルメント・パネルのモニターに「HELLO」と表示しながら音を発してドライバーに挨拶。モーションセンサーはドライバーの動作を検知し、彼または彼女の手の動きに応じて跳ね上げ式のドアを開ける。



車内に乗り込んだドライバーは、トヨタスマートセンターの「バーチャルエージェント」に向かってこれから行きたい場所について喋る。とはいえ、正確な目的地の情報を発音しなければならないというわけでもないらしい。音声情報を認識するバーチャルエージェントは、ドライバーとの対話から、ドライバーの意図を予測して目的地を設定したり、クルマの各機能を操作してくれるというのだ。クラウド上には個人データが蓄積されており、例えば「いつもの帰宅ルート」と言うだけで、それが平日なのか休日なのか判断し、ルートを割り出すという。途中にあるコンビニで買い物をした履歴があれば、そこでお勧めの「美味しい物」を教えてくれたりするそうだ。

このトヨタスマートセンターのバーチャルエージェントは、人とクルマとの間を "つなぐ" だけではない。ドライバーが持っているスマートフォンのナビゲーションやコンテンツを、ドライバーの音声を認識して操作したり、さらに自宅の施錠やエアコンの設定まで操作してくれるという。例えば帰宅時には、自宅付近まで来たらクルマの中で「エアコンの電源を入れて温度設定を23度にして」と言うだけで、家に帰ればすでに快適な室温になっているというわけ。ちなみに「バーチャル」というだけあって、実際に人間のオペレーターが対応してくれるわけではない。コンピュータが合成音声で応えてくれる。




Smart INSECTのベースとなっている車両は、以前Autoblogでもご紹介したトヨタ車体が開発・販売する「COMS」という電気自動車。家庭用電源から6時間充電すれば、市街地走行で約50kmほど走れるという性能を持つ。道路交通法上は「第一種原動機付自転車4輪」となり、法定速度は60km/hに制限されるが、車検・車庫証明・重量税・取得税は一切不要。"つながる" 機能はまだないけれど、こちらは66万8,000円~79万8,000円という価格で現在すでに発売中だ。

ちなみにSmart INSECTという名前は、「すらりとした虫」という意味ではなく、「Information Network Social Electric City Transporter」つまり「情報網社会的電動市街地用運搬装置」という言葉の頭文字の組み合わせに、「コンピューター制御」を意味する「Smart」を付けたものらしい。「小さなボディでありながら情報ネットワークを駆使し、大きな羽を広げて飛び回る昆虫のようなイメージを伝えたいという思いを込めたもの」だそうだ(やっぱり虫か!)。



担当者の方にお話を訊いてみた。


このSmart INSECTがこのまま市販化される可能性は?

「それは考えていません。今回はトヨタ車体さんに協力していただいて、COMSを使って展示させていただいた、と」

車体と「つながる」技術は別であると考えた方がいいのでしょうか?

「そうですね」

トヨタの他のモデルに採用されて実用化されることも?

「トヨタの様々なモデルで採用することを目指して、現在開発している技術です」

では、そのつながる技術とは別に、COMSをこんなふうに跳ね上げ式ドアを付けたりして、トヨタ自動車の方で発展させたモデルを販売するという計画はありますか?

「今のところありません」

それは残念ですね(笑)。では「つながる」技術についてお訊きします。クラウド上のトヨタスマートセンターとつなぐ回線は?

「今のところ3Gを想定していますが、将来的に製品に搭載されるときにはまた変わってくるかも知れません。スマートフォンの通信回線を使うかも知れないし、独自回線を用意する可能性もある。その辺りはどれがいいか検討中です」

ソフトウェア的には自社開発ですか?

「そうです。もちろん、多数のベンダーさんが入ってますが」

これはカーナビの発展系として地図情報をクラウド上から送ってくる、というわけではないのですか?

「違います。ナビ機能はスマートフォンのものを使うことを想定していますね。でも今のスマートフォンのナビは、内蔵GPSだけで位置情報を割り出したり、クルマからの情報は反映されていませんでしょ。このシステムは車両の情報をスマートフォンに送って、より高機能なナビを実現します」



この「つながる」技術は決して未来の話ではなく、お話をお聞きした感じではかなり現実的なところまで開発は進んでいるという印象を受けた。ただ、バーチャルエージェントとの会話に気を取られ、事故を起こす人が出たりしないだろうかということが少し心配。高い精度で音声認識してくれないと、運転しながらイライラする人も増えそうでもある。その辺りは「エンジン音などノイズ・キャンセリングの対策も含めて、きっちりやっています」とのこと。人・クルマ・スマートフォンから、住宅・家電・社会まで、つながる生活は何を我々にもたらしてくれるだろうか?

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