【ビデオ】お台場で見られる! 9台のみ製作された
1967年に発売された我が国初の本格グラン・ツーリスモ「トヨタ 2000GT」。生産台数わずか337台といわれる "幻の名車" だ。その流麗なボディの下には、車名が表すように排気量2,000cc(正確には1,988cc)の直列6気筒DOHCエンジンが搭載されていることは御存知の通り。だが、その337台とは別に、"2,300ccエンジンを持つ2000GT" が、たったの9台、作られていたことを知る人はどれだけいらっしゃるだろうか? そんな「幻の中の、さらに幻のクルマ」が、意外にも東京の観光地お台場で誰でも簡単に見ることができ、さらに運が良ければ助手席に乗って走行してもらうことさえ可能だという。

X型バックボーン・フレームに、当時は高性能エンジンの証でもあるDOHCヘッドと3連装ツイン・キャブレターを持つ直列6気筒を搭載し、4輪ダブルウィッシュボーンの足回りにはそれぞれディスク・ブレーキと鍛造マグネシウム製ホイールを装備、先進的なリトラクタブル式ヘッドライトを採用したボディに、7つのメーターが並ぶウォールナット製パネルが美しいインテリア。トヨタ 2000GTは、その頃の日本車として最高のスペックが与えられた超高級車だった。販売価格は238万円。1967年の大卒初任給が2万6,200円だったというから、今で言えば1,500万円~2,000万円に相当するだろうか。「レクサス LFA」に比べれば半値かも知れないが、まだ自動車産業において日本と欧米の間には大きな差があったこの頃、開発に関わった人々にとっても購入された人々にとっても、気持ちの上ではLFAと同じかそれ以上の存在であったであろうことは想像に難くない。



そしてLFAがドイツ・ニュルブルクリンクでタイムアタックに挑んだように、トヨタ 2000GTにも世界にその名前と技術力を知らしめるという使命が課せられていた。まずは発売前の1966年、茨城県谷田部町(現・つくば市)の自動車高速試験場で高速耐久トライアルに挑戦し、3つの世界記録と13の国際新記録を樹立。1967年には世界的人気映画「007シリーズ」の日本を舞台にした作品『007は二度死ぬ』でスクリーン・デビューを飾る。発売後の1968年になると3台の2000GTをアメリカに送り込み、「コブラ」の生みの親として有名なキャロル・シェルビーのマネジメントでS.C.C.A.(スポーツ・カー・クラブ・アメリカ)シリーズのレースに参戦。こうした活動の目的としては、当然、アメリカをはじめとする海外への輸出販売が視野にあったと思われる(下の画像はいずれも "本物の2000GT" をベースにしたレプリカ)。



いくつかの記録によると、1969年7月以前に製造された、いわゆる「前期型」と呼ばれるトヨタ2000GTの中には数十台〜100台程度の左ハンドル車が存在し、それらは当時北米をはじめとする海外に輸出されたそうだ。トヨタ 2000GTオーナーズ・クラブの会員の方の中には、左ハンドルの2000GTを所有されている方もいらっしゃるように(下の画像)、海外に輸出された2000GTのうち、何台かは日本に "帰国" し、現在では我が国の熱心なオーナーの元にあるので、イベントやミュージアムで左ハンドルの2000GTをご覧になったことがある方も多いだろう。



さて、ここで東京・お台場にある "クルマのテーマパーク" 「MEGA WEB」に展示されているペガサス・ホワイトの「2000GT」を見てみよう。ハンドルの位置は左、ということでこの車両は輸出向けとして製造された個体だということが分かる。フロント・グリルと一体化されたフォグ・ランプ・ベゼルは、マイナー・チェンジ後に作られた「後期型」ボディの特徴だ。しかし実は、左ハンドルの後期型2000GTは1台も市販されていない。つまり、この2000GTはプロトタイプとして作られた車両なのだ。



そしてさらに、市販モデルの2000GTとは決定的に異なる点がある。それが、フロント・フードの下に積まれた直列6気筒 "SOHC" エンジン。そう、この車両はトヨタ 2000GTの優れた特長の1つでもある、ヤマハが開発したというDOHCヘッドを "持たない" のだ。写真では分からないが、排気量も「2000」ではなく、「2300(正確には2,253cc)」だという。



そもそも、トヨタ 2000GTの「3M」型エンジンは、2代目「クラウン」のために1965年に用意された「M」型と呼ばれる新開発の直列6気筒SOHCをベースに、ヤマハによってDOHC化とチューニングが施された高性能ユニットだった。トヨタ 2000GTがマイナー・チェンジを受けた1969年当時、3代目となっていたクラウンの北米輸出仕様には、「2M」型という2.3リッターSOHCエンジンが用意されていた。後期型2000GTの輸出仕様には、3M型の代わりにこの2M型を搭載してみてはどうか、という計画があったらしいのだ。MEGA WEBにある2000GTはこの計画に基づいて製造された試作車なのである。



マニアによれば「トヨタ 2300GT」などと呼ばれるこの2M搭載の2000GTは、全部で9台が「試験車」として製造され、1万km以上の走行テストなどに使用されたそうだが、結局市販化されることはなかった。

なぜ、このクルマが計画されたのか。製造コストの高い2000GTの「廉価版」として、安く作って安く売るためだとか、輸出先の国ではDOHCエンジンの調整がきちんと行われないのではないかと危惧したためとか、その辺りの事情については諸説ある。



だが、トヨタを退職されて現在MEGA WEBの「ヒストリー・ガレージ」でクラシックカーのメインテナンスを担当されている "匠" のお一人、青木繁義氏にお話をお聞きしたところによれば、このクルマが開発された大きな理由の1つは、当時厳しくなりつつあった「アメリカの排ガス規制をパスするため」とのことだった。実はこの2M型を搭載する2000GTのエンジン・ルームには、エンジン本体以外にもう一つ秘密がある。エアポンプからエンジンの排気にエアを送る配管があるのだ。つまり排気ガスにエアを入れて "薄める" という仕掛けだ。

また、この2000GTに搭載されている2M-B型エンジンというのは、よく言われているような、輸出用クラウンのエンジンをそのまま載せた訳ではない。ピストンからクランクシャフトまで、全部クラウン用の2M型とは別物で、ソレックスの三連キャブレターが装着され、最高出力は「市販型2000GTと同じくらい」出ているそうだ。「音もそんなに変わらない」とのこと。



ではなぜ、2300ccエンジン搭載の2000GTは市販化されなかったのか。その辺りの事情については「公式にはトヨタからは何も言われていません。ただ、市販化は断念した、ということです。まあ、個人的には色々聞いている話もあるんだけど(笑)」取材に対して、ということになると言えない部分もあるそうだ。その辺の面白そうなお話については、興味のある方はぜひMEGA WEBまで足を運んで、直接お聞きしていただきたい。個人のお客さんと "個人的に" お話することについては「大歓迎」だそうである。



このMEGA WEB ヒストリーガレージに普段から展示されている2000GTは、13年前まで「名古屋に立て掛けて飾ってあったクルマ」だそうで、1999年にMEGA WEBがオープンする際に、「走れるように直した」のだとか。それまでは「取り敢えず、部品が付いていればいい、という程度の状態で、とても走れる状態じゃなかった」そうだ。ホイールはオリジナルのマグネシウム製ではなく、同じデザインで復刻生産されたアルミニウム製。リム幅が1.5インチほど大きいらしい。件のエアポンプは「現在はベルトを外してある」という。通常は型式名「MF10」型と呼ばれるトヨタ 2000GTに対し、この2Mエンジンを積んだ車両は「MF12」という型式が付けられている。前述のように9台が製作されたプロトタイプのこれは2号車だ。後期型ボディであるにも関わらず、「1967年式」と明記されているところにも注目。



以前何度かAutoblogでもお伝えしたように、このヒストリーガレージでは動態保存している数々のヒストリックカーに「同乗試乗」できるというイベントを日曜日に開催している。月ごとに試乗車は替わるのでいつでもお目当てのクルマに乗れるというわけではないが、この2000GTにも乗れる機会はわりと度々巡ってくるので、ナビ・シートからでも是非1度その走りを体験してみたい、という方は文末にご紹介するリンクから公式サイトをチェックしていただきたい。ちなみに今月(2012年9月)は、"跳ね馬のない小さなフェラーリ"「ディーノ 246GTS」と、"タイムマシンとして映画でお馴染み"「デロリアン DMC-12」が用意されている。これらのモデルにも熱心なファンは多いのではないだろうか。

また、このMEGA WEB公式サイトのヒストリーガレージのページでは、トヨタ 2000GTをはじめとするヒストリックカーのレストア作業を紹介する写真も掲載されているので、興味をお持ちの方はそちらも是非ご覧いただきたい。


見て乗って感じる クルマのテーマパーク MEGA WEB(メガウェブ)

ヒストリーガレージ:レストアピット




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