2012年F1第13戦イタリアGP決勝レースが9日、モンツァ・サーキットで行われた。昨夜お知らせした結果速報に続いて、レースのリポートをお届けしよう。

前日の予選では、"敵地" イタリアに来てから好調を維持しているマクラーレンがフロント・ローを独占。ルイス・ハミルトンがポール・ポジション、その隣にジェンソン・バトンが並ぶ。フェラーリの地元で声援を受け、フェリペ・マッサ2011年カナダGP以来の3番グリッドを獲得。4番手タイムはフォース・インディアのポール・ディ・レスタが記録したが、ギアボックスを交換したことからベルティが科せられ5グリッド降格となり、代わりに予選5番手だったメルセデスミハエル・シューマッハが2列目に上がった。3列目はレッドブルのセバスチャン・ベッテルと、メルセデスのニコ・ロズベルグ。その後ろに、ロータス・ルノーキミ・ライコネンとザウバーの小林可夢偉が並んだ。フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は予選でリア・サスペンションにトラブルが発生してしまったのだがこれを直す時間がなく、そのまま走行して10番手タイム。5列目から表彰台を狙うということになった。



そして日曜日、現地時間午後2時(日本時間午後9時)に決勝レース開始。まず2列目のマッサが素晴らしいスタートを決めて、ホイール・スピンが多かったバトンの前へ出る。さらにハミルトンにも並び、半車身ほど前に出るが、1コーナーはハミルトンが押さえてトップを堅守。すぐさま出遅れたバトンがマッサに仕掛けて来るが、マッサもこれを押さえて2位ポジションを守る。

スタートで出遅れたのはロズベルグ。小林可夢偉はこれを抜いて7位に上がった。その後ろにはアロンソが迫る。フェラーリの速さはマッサを見ても明らかだ。すぐに可夢偉を抜き去り、続けて2周目の1コーナーでライコネンも料理。6位にポジションを上げる。

1位がハミルトン、2位にマッサ、3位バトン、4位シューマッハ、5位ベッテル、6位アロンソ、7位ライコネン、8位可夢偉という順位で3周目に突入。すでにハミルトンとマッサのタイム差は1.4秒まで開いていた。



4周目、ベッテルがシューマッハの前へ。7周目にはアロンソもシューマッハをパスして5位に。モンツァに集まったティフォシ(熱狂的フェラーリ・ファン)を湧かせる。

この周、予選12番手からスタートしたザウバーのセルジオ・ペレスが可夢偉の後ろに迫る。多くのドライバー達が軟らかめの「ミディアム・タイヤ」を履いてスタートする中、予選第2ラウンドで敗退していたペレスは「ハード・タイヤ」を装着。チームメイトである可夢偉をかわして前へ出る。金曜日のフリー走行でトラブルが発生してしまった可夢偉は、燃料を一杯に積んだ決勝用セットアップが出来ていない。苦しいレースになりそうだ。12周目にはペレスとの差が3秒にまで開いてしまう。



15周目を走り終えた時、上位陣ではまずシューマッハがタイヤ交換のためにピットへ向かう。どうやらメルセデス勢は2回のタイヤ交換をする作戦らしい。

17周目、予選11番手から順位を上げて来たレッドブルのマーク・ウェバーが、可夢偉を抜いて8位へ。一方、ザウバーのチームメイトであるペレスはライコネンもパスして6位に上がっている。この周を走り終え、ライコネンはピットへ戻りタイヤ交換。

19周目には、バトンがマッサを抜いて2位のポジションを奪い返す。その周を走り終えるとマッサもピットへ向かいタイヤを交換する。1周後、3位のベッテルと4位のアロンソが同時にピットイン。タイヤ交換を終え、ピットを飛び出そうとしたアロンソの横をベッテルが走り抜ける。2台はマッサの後ろでコースに戻る。この周、可夢偉もタイヤ交換。

このときワン・ツー体制のマクラーレンはもう少し引っ張り、バトンが22周目終了時に、トップのハミルトンは23周を走り終えてからタイヤを交換する。

この時点でまだピットインしていないペレスがトップ。2位にハミルトン、3位がバトン、4位マッサ、5位ベッテル、6位アロンソという順位に。



26周目、ホームストレートでアロンソが前を行くベッテルにアウトから並ぶ。しかし、1コーナーはイン側のベッテルが押さえて順位を守る。この時、ベッテルはコーナーの立ち上がりでアウト側いっぱいまでマシンを寄せた。外に追いやられたアロンソはコース外へ押し出される形に。このベッテルの行為が審議の対象となる。

29周目にはハミルトンがペレスをパスしてトップへ返り咲く。再びアロンソがベッテルに仕掛け、今度はオーバーテイク成功。またもやティフォシを湧かせる。この周を走り終え、ようやくペレスがタイヤ交換のためにピットへ向かう。

全車1度はタイヤ交換を終え、順位は1位ハミルトン、2位バトン、3位マッサ、4位アロンソ、5位ベッテル、6位シューマッハ、7位ライコネン、8位ペレス。小林可夢偉は12位まで順位を落としてしまった。

34周目、突如2位走行中のバトンがスロー・ダウン。コース脇にマシンを止める。燃料システムのトラブルだったらしい。色々な意味で拍手する観客たち。

先ほどのアロンソとのやり取りで、ドライブスルー・ペナルティが科せられたベッテルは35周目にこれを行い、9位まで大きく順位を落とすはめに。

36周目、チームメイトとは対照的に明らかに "乗れている" ペレスは、ライコネンに挑み掛かる。が、これはオーバー・スピードだったため、1度は前に出たのだが、コーナーで逆に抜き返される。しかし諦めない、というか勢いづいているペレスは次の周に再びオーバーテイク。これで表彰台まであと一歩の4位だ。

この周の終わりにシューマッハが2度目のピット・ストップ。これで小林可夢偉は10位、ポイント入賞圏内に順位が上がる。次の周には同じメルセデスのロズベルグもピットへ。これで可夢偉は9位だ。



ここで、2位のマッサに3位のアロンソが接近。フェラーリ陣営としては、チャンピオンシップ・ポイントで首位にいるアロンソにポイントを多く取らせたい。当然、マッサの前にアロンソを行かせるよう働き掛ける。ということで、ピットは無線でマッサに「アロンソがDRS(可変リアウイング:一時的に空気抵抗を減らし、前のマシンを追い越すことに使えるデバイス)を使える範囲に入った(1秒以内に迫った)ぞ」と連絡。つまり、「アロンソがこれからお前を追い越すから、邪魔はするな」という意味だ。40周目の1コーナーでアロンソがマッサを抜いて2位に上がる。

マッサが、アロンソに譲るためにややペースを落としたりしたこともあり、43周目には0.8秒差でペレスがマッサに迫ってくる。タイヤ交換1回の作戦を採るドライバーの中では、最後にタイヤを換えたペレスが最も消耗していない=グリップ力の高いタイヤをこのとき履いていたのだ。44周目、あっさりとペレスはマッサをオーバーテイク。ついに3位までポジションを上げる。



逆にチームメイトの可夢偉は、タイヤを換えたばかりのシューマッハを押さえることが出来ず、抜かれて10位に順位を落とす。

勢いの止まらないペレスはついにアロンソまで射程圏内に捉え始めた。45周目、2台のタイム差は僅か0.6秒。そして46周目、フェラーリ・エンジンを積むザウバーのペレスは、本家フェラーリのエース、アロンソを抜いて2位に。

一方の可夢偉はロズベルグにまで抜き返されて11位。入賞圏内から脱落する。

ところが48周目、6位走行中のベッテルに、ピットから「エンジンを保護するためにマシンを止めろ!」と無線で連絡が入る。オルタネーターのトラブルだったようだ。ベッテルのマシンには、6月のヨーロッパGP、そしてこのモンツァでも前日の土曜日に、やはり同じオルタネーターのトラブルが起きている。ベッテルはコース脇にマシンを止め、リタイア。ノー・ポイントに終わる。

レース終盤の51周目、今度は同僚のウェバーが単独スピン。タイヤに酷いダメージを受け、バイブレーションが発生し、とてもこの高速サーキットを全開で走らせられる状態ではなくなってしまう。ピットに戻り、そのままリタイア。



そして53周のレースを終え、チェッカーフラッグ。優勝したルイス・ハミルトンは見事なポール・トゥ・ウイン。ペレスの追撃を振り切り今季3勝目を挙げた。2位は大健闘のセルジオ・ペレス。タイヤの使い方を含めたチームの作戦も上手くいった。今季3度目の表彰台は、来年トップ・チーム(フェラーリ?)に移籍するという噂も信憑性を増して来る。そして3位に入ったフェルナンド・アロンソは、フェラーリの地元イタリアのファンから、優勝したハミルトン以上の声援を浴びる。ベッテル、ウェバー、バトンがノー・ポイントに終わり、チャンピオンシップ・ポイントでは依然としてアロンソが首位を守ることに成功。実はベッテルに押し出された際、マシンにダメージを負ってしまったらしい。それでこの結果は大満足のようだ。「映画のように、ハッピー・エンディング」と語っている。



レッドブルの2台が脱落したことで小林可夢偉は9位入賞圏内でフィニッシュ。「僕自身、思ったよりペースがでなくて、理由はちょっと分かんないんですけど。まあ、僕自身もそんなに遅くはなかったとは思うんですけど、なぜかというと、まあ、あれだけ予選で速かったフェラーリがレース終わって20秒先にいるってことを考えれば、同じ戦略、同じタイヤでスタートした内容で見れば悪くないんじゃないかなと思うんですけど、チームメイトが異様に速くて。それを考えると、何か出来たのかなとも思うんですけど。ちょっと今のところ、理由は分かりません」とコメントしている。

次戦は2週間後、ヨーロッパを離れてシンガポールでナイト・レース。その次はいよいよ鈴鹿、日本GPだ。可夢偉は何とか今季のザウバーが持つ速さを、結果に結びつけて欲しいところ。ティフォシに負けず、我々日本のファンも応援したい。

なお、決勝レースの結果順位は以下の通り。

優勝 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
2位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
3位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
4位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
5位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
6位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
7位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
8位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
9位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
10位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
11位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
12位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
13位 ジェローム・ダンブロシオ(ロータス・ルノー)
14位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
15位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
16位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)
17位 ティモ・グロック(マルシャ・コスワース)
18位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)
19位 ナレイン・カーティケヤン(HRT コスワース)
20位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
21位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
22位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)


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Image Credit: Luca Bruno, Alessandro Trovati, Antonio Calanni/AP | Andrew Hone, Clive Mason, Mark Thompson/Getty | Sauber Motorsport AG

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