テスラ、最初からEVとして設計された新型セダン「モデルS」のシャシーを披露!
テスラモーターズは、「ロードスター」に続いて来年日本でも発売が予定されている5ドア・セダンの電気自動車「モデルS」のシャシー・コンポーネントを、東京都南青山のショールームで報道関係者に公開した。

赤いベールが外されると、中から現れたのは下の写真のようなアルミ製シャシー。一見まるでプラットフォーム(車台)のみの姿に見えるが、実はこれでパワートレインから足回りまで含む「走るための機械」の、ほとんど全てなのだ。



これまでテスラが販売して来た「ロードスター」は、「ロータス エリーゼ」のシャシーをベースにしていたため、どうしてもエリーゼの「ミドシップ・マウント」から自由になれなかった。つまり、バッテリーもモーターも、エリーゼではエンジンとトランスミッションが搭載されていた場所、乗員用シートの後方に積まれていたのである。

だが、本来電気自動車のパワートレインはもっと自由にレイアウトできるはず。テスラが採用する交流誘導モーターは「スイカくらいの大きさ」で、ギアボックスは1速のみ。インバーターを含めても非常にコンパクトにまとまっている。そして、電気自動車のパワートレインで最も重くてかさばるコンポーネントであるバッテリーについては、テスラでは単3乾電池より一回り大きい(直系18mm × 長さ65mm)「18650」と呼ばれるセルを数千個並べて搭載する。これは例えばレゴと同じように、全部合わせたときの体積こそ変えようがないが、どのように並べるかによって全体の形状は自由度が高い。エンジンのように、縦置きにするか横置にするか、斜めに傾けて...などと悩まなくても済むのだ。

というわけで、電気自動車ならではのパッケージングによるメリットを最大限に生かすため、モデルSではゼロから専用に設計されたというオリジナルのアルミ製シャシーが採用された。これはテスラにとって当初からの念願でもあったはず。だからそれを早く見せたくて、こうして実車よりも先にお披露目する機会を催した、ということらしい。



流石に自慢のシャシーは、内燃機関の自動車では考えられない自由なレイアウトになっている、ということが写真をご覧になればお分かりいただけるだろう。フラットで広いフロアの上には、前席2人+後席3人という大人5人用のシートに加えて、後ろ向きに子ども2人が座れる3列目のシートが備わるという。そして床下には、18650バッテリー・セルを立てた状態でぎっしりと数千本、並べているというわけだ。

このバッテリーパックは車体の構造的剛性も担うように設計されているそうで、一般的なスポーツカーの3倍の強度とねじれ剛性を実現し、さらに側面方向からの衝突安全に対して優れた効果を発揮するという。また、重いバッテリーが車体の低い位置に搭載されていることで重心が下がり、モデルSのハンドリングは非常に優れたものになっているそうだ。

テスラの特徴でもある交流誘導モーターは、インバーターや1速ギアボックスとともに左右後輪の間、リアのオーバーハング部に配置されている。これらは独立したフレームにまとめて搭載されており、メインテナンスの際には車体から取り外すことが可能だとか(下の画像を参照)。

ロードスターには空冷式モーターが採用されていたが、モデルSでは液冷式となり、車体フロント中央に配置されたラジエーターによって冷却される。左右両側のラジエーターはエアコン・空調用だ。また、ロードスターでは直径20cmだったモーターのステーター(固定子)が、モデルSでは25cmに拡大されたことでパワーとトルクが向上しており、車両重量5,000ポンド(約2,268kg)の車体を、0-97km/hまで5.6秒で加速させる。さらに「パフォーマンス」モデルという高性能版ではそれが4.4秒に短縮される。これは「BMW M5」の0-100km/h加速と同タイムだ。最高速度はそれぞれ190km/hまたは208km/hと公表されている。ガソリン・エンジンを積む高性能サルーンに比べて、加速では比肩しても最高速度が控え目になるのは、ギアボックスが1段しかないため。ロー・ギアに入れっぱなしで200km/hまで伸びると思えばいい。



電気自動車では必ず話題になる最大航続距離については、モデルSでは顧客が容量の異なる3種類のバッテリーから選択するという販売形式を採るため、それによって違ってくる。その中で最大容量となる85kWhのバッテリーを積めば、EPA(アメリカ環境保護庁)の定めた2サイクル(一般道路55%、高速道路45%)テストで515kmという航続距離を記録したというが、これは当然のことながら走り方や環境、エアコン使用の有無によって大きく差が出る。テスラでは「約480km」と公称しているようだ。前モデルのロードスターよりも大きく、重いはずなのに航続距離が伸びているその理由は、もちろん日々進化する技術によってパワートレインとその管理プログラムが改良されたこともあるが、モデルSのCd値(空気抵抗係数)が市販乗用車ではトップクラスの0.24であることも大きく貢献している。

また、これも電気自動車ではよく話題になる充電に必要な時間についてだが、テスラではバッテリー容量に3種類のオプションがあることに加え、完全に放電し切った空の状態からフル充電させるという使い方はあまり現実的ではないと判断しているようで、充電時間あたりの走行可能距離、つまり「何分充電すれば何km走れるか」という表現を使うそうだ。だが、それもまた電圧や充電器の性能によって異なるため、モデルSに関しては「スーパーチャージャー(テスラが用意する急速充電器)で30分充電すれば160マイル(約257km)走れる」と語るに留まった。日本で標準化が進められている「CHAdeMO(チャデモ)」方式にも対応させていく予定だとか。なお、40kWh、60kWh、85kWhと容量が3タイプ用意されるバッテリー・パックは、どれを選択しても「重量は一緒になるように揃えた」そうだ。これが違ってしまうと、衝突試験をやり直さなければならないからだ。同一のエンクロージャーに収納されているため、見た目も変わらない。



報道陣からは、バッテリー自体の重量はどれくらいかという質問も出たが、バッテリー・セルはそれをサポートする部材と共に車体に組み込まれているため、どこまでをバッテリーの重量と言うかは難しい、とのことだった。これは言葉を濁しているようにも取れるが、しかし既存の車種をベースにパワートレインを置き換えて電気自動車にコンバートしたクルマであればその辺りの重量差も気になるけれど、白紙から設計されたモデルSは他に比較対象となるクルマがないため、バッテリーそれだけの重量を気にしてもあまり意味がないとも考えられる。ちなみに使用しているバッテリー・セルは、ノートPCなどにも使われている汎用品をベースに、電気自動車用として「パナソニックと共同で開発」したもの。ただし全部がパナソニック製というわけではなく、複数の会社から購入しているそうだ。上の画像でカート・ケルティー氏(テスラモーターズ本社のバッテリー技術部門ディレクター)が手に持っているのが、18650バッテリー・セル。



テスラが満を持して市場に投入したモデルSは、元トヨタGMの合弁工場だった「NUMMI」でこれまでに100台ほど生産されており、「年内にあと5,000台は作りたい」という。2013年中旬には日本でも販売が開始される予定で、現在予約を受付中だ。価格は未定だが、初回生産限定特別仕様モデルとなる「モデルS シグネチャー」を注文するには予約金が350万円、通常モデルでも50万円必要になる(全額払い戻し可能)。参考までにアメリカでの販売価格は、40kWhバッテリーを積んだ通常の「モデルS」が4万9,900ドル(約391万円)から、85kWhバッテリーを積む「モデルS シグネチャー・パフォーマンス」で9万7,900ドル(761万円)までとなっている。

購入をお考えの方は、今回の発表会が開催されたアジアで唯一のテスラ直営店、東京都南青山のショールームまで是非足を運んでみてはいかがだろう。今ならモデルSのシャシーが展示されているはずだ。テスラというクルマが取り敢えず気になってきた、という方は以下のリンクから公式サイトをどうぞ。

テスラモーターズ ジャパン

Related Gallery:Tesla Japan show room


Related Gallery:Tesla Model S


Related Gallery:Tesla Model S pre-preview


【PR】テスラの購入を考える前に!まずは現在お乗りのクルマの査定価格を調べよう!