【試乗記】「FスポーツはアルピナのB7より快適!」 レクサスの新型「LS」に試乗
今回は、先日発表されたばかりの日本の最高級ラグジュアリーセダン、新型レクサス「LS」の試乗記をお届けしよう。

1990年、日産トヨタは高級車ブランド「インフィニティ」「レクサス」をそれぞれ米で立ち上げ、フラグシップとなるフルサイズセダンをデビューさせた(日本では89年に発売)。インフィニティ「Q45」は、パワフルなV8エンジン、リミテッドスリップデフ、マルチリンクサスペンションといった走りを売りにし、一方のレクサス「LS400(日本名:セルシオ)」は、ラグジュアリーさを徹底的に追求。静粛性に優れたV8エンジンを搭載し、プレミアムレザーと木目調のインテリアで高級感を演出した。

モデルの質の高さに加え、明確なメッセージを掲げた広告キャンペーンで成功を収めたLSは、デビューした年に4万台以上を売り上げたが、Q45は一度もLSの売り上げ台数を上回ることはなかった。レクサスは1995年に2代目となる「LS」を発表(発売年は全て米国でのもの)、その6年後には3代目を送り出し、2006年には現行となる4代目LSを発売。結果的にはインフィニティ Q45を生産中止(2008年)へ追い込み、 "日本の最高級セダン"という呼び名はレクサスLSの独壇場となった。

レクサス LSはもともと後輪駆動のみだったが、今ではAWDも用意され、さらにボディはノーマルとロング、パワートレインはガソリンとハイブリッド、と選択肢を広げている。しかし、このフラグシップモデルには技術革新とラグジュアリーさは反映されてきたものの、スポーティさに欠ける面があり、ヨーロッパの高級セダンを凌駕するまでは至ってなかったといえるだろう。

しかし来年、米国でこの新型が発売されれば、そういった認識もすべてが変わる可能性がある。レクサスは2010年にマイナーチェンジしているが、今回のフルモデルチェンジでは全てがリファインされ、さらにLSでは初となるスポーティーバージョンのFスポーツが設定されたからだ。

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新型を特徴づける新たな顔、"スピンドルグリル"は、LSに付きまとっていた"淡泊で面白みに欠けるエクステリア"という印象をかき消している。

グリルは光沢のあるクロームで縁取られ、ラジエーター開口部とフロントバンパーの位置は現行より下げられている。ボンネットの隆起はフロントセンター方向に流れるような形状を見せ、ヘッドライトはよりアグレッシブな印象になった。リアはフロントマスクにマッチするように、きゅっと引き締まったデザインが採用され、モダンでドラマチックな装いを見せている。

精悍なエクステリアデザインは我々の目を楽しませるだけのものではない。常に革新的なエアロダイナミクスを追求してきたレクサスは、新型にも引き継がれている。アンダーボディの空気の流れの調整や、エアロスタビライジングフィンによるサイドの気流の制御など細部にまでこだわり結果、このセグメントのエントリーモデルとしては最も低いCd値0.26を実現している。

ヘッドライトも手が加えられた。ベースはHIDヘッドランプ(左右それぞれ2つのプロジェクターランプを含む)と、各種白熱球の組み合わせだが、オプションとしてフルLEDも用意されている。フルLED仕様ではウィンカー、標識灯、ブレーキランプ、テールランプ、さらにフォグランプに至るまで全てLEDとなる。
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室内は現行モデルに比べてより広くなっている。また、さらなる高級感の追求や、人間工学に基づく改良がなされており、よりゆったりとくつろげるスペースとなっている。"フラグシップにふさわしい信頼と安心をもたらす空間"を生み出すというレクサスの目標はみごとに達成されていると言えるだろう。

3本スポークのステアリングの先には、大きなタコメーターとスピードメーター、その間には5.8インチフルカラーTFT液晶のマルチファンクションディスプレイを備えた、見やすいオプティトロンメーターが配されている。ダッシュボード中央には、サイズアップした12.3インチのマルチメディアディスプレイユニットが、以前より高く奥まった位置に組み込まれ、操作はジョイスティックで行うことができる。また、以前はシフトレバーの右側にあった2つのカップホルダーが、前方の12Vアクセサリーコンセントなどがある場所に移った。さらに、センターアームレストには容量たっぷりの収納ボックスの他、USBポートやiPodコネクタなどのインフォテインメント系のインターフェースが配置されている。

滑らかなセミアニリン仕上げのプレミアムレザーに加え、トリムに使用された縞杢(しまもく)のウッド、各座席で異なる色のLEDイルミネーションなども、オーナの満足度を高めてくれるだろう。ベースモデルでもこの充実した装備は、同セグメントの中で最高レベルを満たしているといえる。
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新型LSには、ノーマルかロングのホイールベース、RWDかAWD、スポーティさを追求したFスポーツ、さらにガソリンエンジンかハイブリッド、という選択肢が用意されている。具体的なラインナップは、「LS460」、「LS460 AWD」、「LS460 L」、「LS460 L AWD」、「LS460 F SPORT」、「LS460 F SPORT AWD」、「LS600h L」(AWDのみ)、という7モデルで、米での価格はまだ発表されていない。

パワートレインについては、現行モデルからほとんど変わっていない。LS460のスタンダードモデルは、トヨタ製のNA直噴4.6リッターV型8気筒エンジン(1UR-FSE)を搭載。しかし、エンジンからのノイズをより抑えるためオイルパンが改良され、ダイナミックダンパーやリアエンジンマウントもリニューアルされた。RWDモデルは、最高出力が391ps/6,400rpm(現行より6psアップ)で、最大トルクが50.7kgm/4,100rpm、そしてAWDモデルは、最大出力が364psで最大トルクはRWDと変わらない。トランスミッションは8速ATでスノーモードの設定が付いている。ガソリンエンジンのスタンダードモデルは、0-100km加速が5.59秒で、最高速度は209km/hでリミッターが作動。燃費は、FRが8.1km/l(内訳:市街地6.8km/l、高速道路10.2km/l)、AWDが7.6km/l(内訳:市街地6.8km/l、高速道路9.8km/l)となっている。
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LS600h Lは、ガソリンエンジンと電気モーターのハイブリッド。NA直噴5.0リッターV型8気筒エンジン(2UR-FSE)は、最高出力394ps、最大トルク53.2kgmだが、ニッケル水素電池を使用した2つの電気モーターのアシストにより、最大出力は444psまでアップしている。トランスミッションは、2段変速式リダクション機構を持つCVT(無段変速機)で、3つのドライブモード(ノーマル、パワー、スノー)が選べる。これに加えてEVドライブモードがあり、低速ならばモーターのみでの走行が可能になっている。AWDであるLS600h Lの最高速度は、4.6リッターのガソリンモデルと同じだが、燃費は8.5km/l(内訳:市街地8.1km/l、高速道路9.8km/l)とわずかに向上している。

安全装備も大幅に充実した。アドバンスドプリクラッシュセーフティシステム(APCS)が歩行者や障害物を感知し、40km/h以下の速度なら、車を自動的に停止させ、衝突を回避してくれるの。これに関してはビデオをご覧いただきたい。また、レーダークルーズコントロールも改良され、どんな速度でも使用が可能になったばかりでなく、完全に停止したあとにアクセルを踏み込むだけで、それまでの設定を再開する機能がつけられた。そしてLSに新たに導入されたブラインドスポットモニター(BSM)は、運転時における死角を検出し、また車をバックさせるときに後方確認をアシストする。(後者の機能はリアクロストラフィックアラートもしくはRCTAと呼ばれる)

今回のフルチェンジでは3,000点にも及ぶパーツの変更があったという。これは車を構成する全パーツの半数近くになり、この場ですべての変更点を語るのは不可能だ。しかしこの膨大な数のリニューアルによって、新型LSはより魅力的な高級セダンへと生まれ変わったと、今回の試乗で実感できた。



まず私が試乗したのは、オプションのリアラウンジシートが設定されたLS600h Lだ。画像からも想像できるように、座席の乗り心地はとてもいい。16段階調節可能なフロント電動シートは、これまで経験した中で最高と感じるほどの仕上がりで、足元や上半身のあらゆる方向に十分なスペースが確保されている。体が触れるパーツすべてが心地よく、その質感は高級感にあふれており、文句のつけようがない。とはいえ、パーキングブレーキのスイッチがイグニッションボタンの下にあるのに違和感を覚えたり、前方上にあるAPCS用カメラの黒いケースが気になったりしたが、結局すぐに慣れてしまった。

LS600h Lは2,320kgとLSモデルの中で最も重いことから、ドライビングの面白さという点では不利だろうと、高をくくっていたのだが、静かで滑らかな立ち上がりには驚かされた。どうもCVTは好きになれないし、ガソリンモデルとの燃費の差があまりないこの高価なハイブリッドモデルを選ぶ理由があるのだろうかと疑問に思っていたが、それも解消された。この車はとにかく静かだ。停止時にエンジンは自動で止まるし、走行中も最小限の音しか聞こえてこない。加速感がなくなることはなく、トランスミッションは滑らかそのものだ。

次に試乗したのはLS460 F SPORT AWDで、これはLS全7モデルのうちで2番目にスポーティなモデルだ(LS460 F SPORTに次ぐ)。Fスポーツバージョンは、フロントにバケットシートが使われており、パドルシフト付き本革巻きステアリングにはアルミトリムが施されている。また、RWDタイプにはトルセンLSD、AWDタイプにはトルセン式センターデフを採用。サスペンションはスポーツ仕様に調整され、車高も10㎜低くなっている。他にもFスポーツの特徴として、ブレンボ製ブレーキ(モノブロックの6ポットキャリパーをフロントに使用)や、19インチ鍛造アロイホイール(夏タイヤとオールシーズンタイヤの選択あり)などが挙げられる。















私は駐車場から出るとすぐに、ドライブモードをいちばんアグレッシブな「SPORT S+」に切り替えた。エンジン、エアサスペンション、電動ステアリング、ギヤ比の状態を最もスポーティな走りのモードにして、峠道に向かったのだ。このモードでは、ボディはほとんどロールしなかった。ステアリングは少し重くなったが、それでもライバルとなるヨーロッパ車の同セグメントに比べたら軽く、反応は遅いといえるだろう。

加速は申し分なく、タコメーターが面白いように跳ね上がったが、低速トルクに少しもの足りなさを感じた。しかし、この感覚は、最近のヨーロッパ車がターボによる低速トルクのアップを図っているからかもしれない。LSの遮音性は極めて高く、エンジン音が気になることはまずないが、Fスポーツは異なっていた。エキゾーストに手を加えてあるのでエンジンから轟くような音が聞こえてくる。確かに悪くない音だったが、エンジン音に関しては「GS350 F SPORT」のほうが、だんぜん上なのではないだろうか。

Fスポーツの限界を知るためにアグレッシブな運転を試みたのだが、LSにはこれまでなかったスポーティさを感じた。ドライビングテクニックのあるドライバーがこの車を運転したら、スポーツカーでも抜き去るのは難しいかもしれない。

しかし、加速だけでなく、スポーティさを追求した場合のドライビングダイナミクスという点では、LS FスポーツはBMW「アルピナB7」に劣るかもしれない。どちらも車重は約2,000kgだが、ドライビングフィールはBMWのほうが俊敏で、スピードが上がるほど軽快さを増してくる。対するレクサスの走りは正確で安定している。サスペンションを比べると、BMWは路面の起伏をしっかりと吸収するが、レクサスにはそれがなかった。レクサスの名誉のためにつけ加えると、通常の運転ではLS Fスポーツは、B7よりずっと快適だった。いうなれば高速域でのアグレッシブな走りに適しているのがB7で、一般道で最適なのがLS Fスポーツというところだろうか。


これまでいくつものLSを経験してきたが、どのモデルに共通していることは、常に安全で、快適で、親切であるということだ。しかしそれは一方で個性が弱かったともいえる。

その点で今回の新型はレクサスLSにとって重要な意味を持っている。非常に多くのアップデートが施されたが、何よりも印象的なのは、強い個性を打ち出したスピンドルグリルの採用とFスポーツの導入である。ラグジュアリーさを優先させたスタンダードモデルとハイブリッドモデルのヒットは確実だろう。そしてLSに新たなジャンルを切り開いたFスポーツも、これまでにない走りの楽しさからファンの注目集める存在になることは間違いない。

基本情報(LS460) エンジン: 4.6リッターV型8気筒DOHC 32バルブ
パワー: 最高出力391ps / 最大トルク50.7kgm
トランスミッション: 8AT
0-100km加速: 5.59秒
最高速度: 209km/h(リミッター作動)
駆動方式: RWDとAWD
車両重量: 1,940~2,130 kg
座席: 2+3シーター
EPA燃費: 市街地 約6.8km/l / 高速道路 約8.1km/l
メーカー希望小売価格: 未発表

By Michael Harley
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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