「パイクスピーク」で、トヨタのEVレースカーに乗る奴田原文雄選手が、EVクラス優勝!
8月12日、アメリカ・コロラド州で開催された「第90回 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」において、「TMG EV P002」をドライブする奴田原文雄選手が「エレクトリック(EV)」クラス優勝、総合でも6位に入るという好成績を収めた。

1回目の開催が1916年という古い歴史を持つ「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」とは、その名前の通り、「パイクスピーク(パイクの頂)」と呼ばれる山で行われるヒルクライム・レース。標高2,861mのスタート地点から4,301mの山頂を目指して、ガードレールのほとんどない全長約20km、高低差1,440mのコースを一気に駆け上りタイムを競う。



今年49歳になる奴田原選手は、全日本ラリー選手権で8度もチャンピオンに輝いた実績を持ち、"ランエボ(三菱ランサーエボリューション)使い" として知られる我が国屈指のラリー・ドライバーだ。今回のパイクスピークには、トヨタ世界ラリー選手権F1に参戦していた頃に活動の最前線基地としての役割を果たしてきたTMG(トヨタ・モータースポーツ GmbH)によって開発された電気自動車のレースカー「TMG EV P002」をドライブし、俳優の哀川翔さんが代表を務める「ショウ・アイカワ・ワールド・ラリー・チーム」から出場した。



8日に始まった公式練習初日から、トラブルも無く快調な走りを見せていた奴田原選手だったが、タイムではどうしても、このパイクスピークで昨年まで6連覇という偉業を達成した "モンスター田嶋" こと田嶋伸博選手を上回ることが出来ず、2位に甘んじていた。

ところが12日の決勝レース、EVクラス1番手で出走した田嶋選手のマシンが、スタートしてから僅か1kmを走っただけでモーターから白煙が上がりストップ。無念のリタイアとなる。これまでのテストではまったくトラブルの兆候すら見られなかったそうで、田嶋選手はプレスリリースの中で以下のようにコメントされている。

「パイクスピークには魔物が棲むと言われていますが...スタートしてわずか1km位の所で車内に煙が立ちこめてきたため、トラブルを察してマシンを停めました。プライベートテスト、プラクティスを通じて熟成をしてきており充分に自信はありましたが、このようなトラブルは初めてで、これまで非常に快調だっただけに、今はただレースの結果に失望しています。しかし、私達はまだ新しい技術に挑戦している過程であり、チャレンジには様々な困難がつきものです。今日の結果を受けて、来年に向けてさらに技術開発を進めて行きます。応援ありがとうございました。」



"モンスター" と呼ばれど、EVによるパイクスピーク挑戦は今年が初めて。公式練習では他を圧倒する速さを見せていただけに、来年のリベンジに期待が掛かる。きっと今回得られた多くの経験とデータをもとに、さらに熟成の進んだマシンで次回は総合優勝さえ狙って来るはずだ。

思わぬことで強敵を失った奴田原選手だったが、決して緩むことなく、クラス2位に入った増岡浩選手の「i-MiEV エボリューション」に15秒近い差を付ける見事な走りで標高4,301mの山頂まで駆け上がり、10分15秒380というタイムを記録してEVクラス優勝に輝いた。


しかし、奴田原選手陣営にも決して不安要素がなかったわけではないようだ。以下は優勝した奴田原選手のコメントである。

「予定していたスタート時刻より2時間以上遅くなりました。それにより気温が上昇し路面温度が高くなるなど当初予定していた環境から大幅に変化することとなりました。マシンへの負担やタイヤのセレクトへの不安はスタート開始から、ぬぐえなかったです。またアッパーセクションで雨が降り出し、決して良い環境ではありませんでしたが、Practiceの中で細かい打合せや調整を行っていたことが功を奏し、最終的にはこのような結果を得られたと思っています。

TMG、TRD USA、そしてSHOW AIKAWA WORLD RALLY TEAMのスタッフに支えられ1位となったことは大変うれしいです。
パイクスピークインターナショナルヒルクライムにまたチャレンジしたいです。
皆様応援ありがとうございました。」



奴田原選手によれば、条件が揃えば今のクルマでも10分は切れるだろう、とのこと。来年は是非、お互いに進化したマシンでモンスター田嶋選手との直接対決が見てみたい。さらに、パリ・ダカール・ラリー2連覇の実績を持つ増岡選手と三菱も、このまま引き下がるはずはない。今年は初日にコースアウトを喫してマシンを大破するというアクシデントにも見舞われたが、次回はより戦闘力を上げて、再びチャレンジしてくれることだろう。



それにしても、EVクラスでは優勝を争った3人のドライバーに加えて、クラス5位に入った塙郁夫選手も含め、日本人選手の活躍が目立った。ちなみに昨年のEVクラスで優勝した塙選手のタイムが12分20秒084だから、このクラスは1年で2分以上も速くなっていることになる。時代的にも、大注目のカテゴリーだ。



今年の総合優勝は、「タイムアタック」クラス(市販車改造クラス)から出場したリース・ミレン選手の「ヒュンダイジェネシス・クーペ」。タイムは9分46秒164だった。これを暫定目標に、EVヒルクライマーたちの1年にわたる戦いが、また今日から始まる。


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