伝統のシルバーストーンを制したのは!?  F1第9戦イギリスGP決勝リポート!
2012年F1第9戦イギリスGP決勝レースが7日、シルバーストーン・サーキットで行われた。昨夜お伝えした結果順位速報に引き続き、画像とともにレースのリポートをお届けしよう。

雨が激しくなったため途中で1時間半もの中断があった前日の予選では、フェラーリフェルナンド・アロンソが最終アタックを上手くまとめてポール・ポジションを獲得。2番手タイムは、チャリティに募金したの2万5,000人以上のファンの顔写真が描かれているレッドブルのマシンを操り、マーク・ウェバーが記録した。スターティング・グリッドの2列目には、同じくレッドブルのセバスチャン・ベッテルと、メルセデスミハエル・シューマッハが並ぶ。そして3列目はフェラーリのフェリペ・マッサとロータス・ルノーに乗るキミ・ライコネン。その後ろにウイリアムズのパストール・マルドナドと、地元でもうひとつ冴えを見せられなかったマクラーレンのルイス・ハミルトンというスタート順だ。



ザウバー小林可夢偉は、予選第2ラウンドの雨による中断の後、チームが溝の浅い(路面の雨量が少ないときに使う)インターミディエイト・タイヤを装着してしまったのだが、まだとてもそれでは走れる状態ではなく、1周だけ回ってすぐピットへ戻り、深溝の雨用タイヤに履き替え。貴重な時間を失ってしまう。刻々と変化する路面状況の中、結局1周しかアタックすることが出来ず、12番手で予選を終えた。可夢偉は前戦ヨーロッパGPで「5グリッド降格」というペナルティが科せられているので、17番グリッドからレースに挑む。

そして日曜日。天候は大方の予想に反して晴れ。ドライバーによって最初に装着するタイヤの選択が分かれた。ポール・ポジションのアロンソと、8番手スタートとなるマクラーレンのルイス・ハミルトン、そして可夢偉らが硬めのハード・タイヤを選択。それ以外の多くのドライバーたちは、軟らかめのソフト・タイヤを装着してグリッドにつく。



現地時間13時(日本時間21時)に決勝レースがスタート。アロンソ、ウェバー、シューマッハと上位3人はそのままの順位をキープ。その後方ではやや出遅れたベッテルに、マッサ、ライコネンが絡んで激しくポジションを奪い合う。その時、マッサとライコネンが接触。姿勢を乱したライコネンの横をベッテルが通過、ライコネンは続けてマルドナドにも抜かれてしまう。さらに後ろの方ではポール・ディ・レスタの乗るフォース・インディアのマシンがコースアウト。この煽りを食って順位変動があったようだ。

1周目を終え、順位はアロンソ、ウェバー、シューマッハ、マッサ、ベッテル、マルドナド、ライコネン。可夢偉は14位までポジションを上げている。

2周目、マクラーレンのジェンソン・バトンとロータス・ルノーのロマン・グロージャンが争っている隙を狙って、可夢偉がバトンの前へ。さらにグロージャンもかわして順位を上げる。

逃げようとするトップのアロンソに、それを追う2位のウェバー。だが3位のシューマッハは彼らについて行けずに遅れがち。焦れたマッサがシューマッハに並びかける、が、抜けるところまではいけない。すると今度はベッテルがマッサを狙う。マッサ今度は防戦。ライコネンはマルドナドをかわしてポジションを奪い返す。



7周目に入る頃には、アロンソとウェバーのタイム差が2秒。そこからさらに5秒も遅れているシューマッハのすぐ後ろに、マッサやベッテルが迫る。ウェット・コンディションでは速かったメルセデスだが、今日のように晴れてしまうと、ペースは他と比べてやや遅いようだ。

シューマッハに抑えられることを嫌ったか、まずベッテルが10周目を走り終えたところでピットイン。1回目のタイヤ交換へ。硬めのハード・タイヤに履き替える。マッサの方はというと、コース上でしつこく勝負をかけ続け、11周目にようやくシューマッハを抜いて前に出る。

11周目の終わりにマルドナドとザウバーのセルジオ・ペレスが同時にピットへ。タイヤ交換を済ませコースに復帰した直後、コーナーで外側にはらんだマルドナドが、アウトから抜こうとしたペレスに接触。この事故は審議の対象となり、レース後マルドナドに10万ユーロ(約100万円)の罰金が科せられた。ペレスはここでリタイア。マルドナドはスロー走行でピットまで帰り着き、マシンを修復した後レースに復帰している。

12周目を終えたとき、シューマッハがタイヤ交換のためにピットへ。次の周にはマッサとライコネンもピットへ戻りタイヤ交換。マッサはシューマッハの前でコースに復帰したが、ベッテルには行かれてしまった。



14周目終了時、2位のウェバーもピットに向かいハード・タイヤに履き替える。1周後、アロンソもピットへ。スタート時と同じハード・タイヤを選択する。

続いて16周目を走り終えた小林可夢偉、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグらがタイヤ交換へ。

これで、まだ一度もタイヤを交換していないハミルトンがトップ。続いて2位にアロンソ、3位がウェバー、4位にまんまとピット戦略で順位を上げたベッテル、5位がそのベッテルに逆転されたマッサ、シューマッハは6位に落ちた。7位ライコネン、8位グロージャン、そして9位が小林可夢偉だ。

19周目、アロンソがハミルトンを抜いてトップに復帰。しかしハミルトンがこれに抵抗、一度は抜き返す動きを見せる。だがタイヤの状態を考えれば、この2人は直接闘う相手ではない。ここで無理をしてもタイムをロスするだけ(双方にとって)損というもの。そんな現状を知って知らずか、ハミルトンはまたすぐにアロンソに抜き返される。

21周目を走り終えたところでハミルトンもようやくピットへ。ここでソフト・タイヤを選択する。第2スティントを短くつなごうという作戦だ。ライコネンの後ろ、7番手でコースに復帰する。スタート時に履いたタイヤで頑張って "引っ張った" けれど、ライコネンやシューマッハの前へ出ることは出来なかった。

これで順位は、アロンソ、ウェバー、ベッテル、マッサ、そして5番手のシューマッハが、続くライコネン、ハミルトンを抑える形に。

24周目、まずライコネンが、続いてハミルトンがシューマッハをオーバーテイク。ようやくマクラーレンのキャップを被った地元ファンが湧く。

2回目のタイヤ交換は26周目の終わり、8位走行中のグロージャンから。その2周後にハミルトンもピットへ向かう。上位陣では、31周目を走り終えた時にベッテル、さらに2周後の33周目終了時にウェバーがピットへ。全員ハード・タイヤを選択して、レースの最後まで走り切るつもりだ。

この頃、シューマッハの "フタ" に抑えられていたのは、小林可夢偉。仕掛けようとするのだが前へは出られない。34周目を終えたところでシューマッハとライコネンが2回目のタイヤ交換へ。



35周目、グロージャンがハミルトンをオーバーテイク。 この周の終わりにマッサ、ヒュルケンベルグがピットへ。

2周後の37周目終了時、トップのアロンソが2度目のタイヤ交換へ。これまで続けてハード・タイヤを使用していたアロンソだが、「レース中に2種類のタイヤを使用しなければならない」というルールがあるため、最後のスティントはソフト・タイヤを装着する。

続いて同じ周で小林可夢偉も2度目のタイヤ交換のためピットへ。ところが何を焦ったか、可夢偉はピットで停止する際にブレーキが遅れてタイヤをロックさせてしまい、自分のチームのピット・クルー3人を弾き飛ばしてしまう。これで必要以上にタイムを失っただけでなく、レース後には「危険な行為」として25万ユーロ(約250万円)の罰金が科せられた。撥ねられたクルーは切り傷や打撲などを負った程度で、幸い大きな怪我はなかったという。

全員が最後のタイヤ交換を終えたところで、順位は1位アロンソ、2位ウェバー、3位ベッテル、4位マッサ、5位ライコネン、6位グロージャン、7位ハミルトン、8位シューマッハ。順当に行けば小林可夢偉がこの辺りに来ていたはずだが、ピットのアクシデントが響いて、ヒュルケンベルグ、ウイリアムズのブルーノ・セナ、バトンを挟んで12位まで落としてしまった。

39周目に4秒差があったアロンソとウェバーの間が、45周目には1.3秒に縮まる。アロンソの履くソフト・タイヤは、左フロントがすでに摩耗が激しく辛い状態になっていることが画面を通しても分かる。それより4周多く走っているウェバーだが、ハード・タイヤはまだ綺麗な表面を保っているようだ。



もう1人、タイヤが辛そうになっているのが、早めに交換をしていたハミルトン。終盤の47周目、ついにシューマッハに抜かれてしまう。

次の48周目には、アロンソもウェバーに抜かれてトップから脱落。「為す術なし」とばかりにあっさり抜かれてしまったが、チャンピオンシップ・ポイントを考えれば、無理をして接触なんて事態は絶対に避けたいところ。

レース残り1周となった51周目、9位走行中のヒュルケンベルグがセナに抜かれ、直後にコースオフ。バトンと可夢偉がこれを抜いて行く。

そして52周のレースを終え、チェッカーフラッグ。優勝は落ち着いてチャンスを窺っていたマーク・ウェバー。モナコに続いて今季2勝目を挙げた。惜しくも2位となったフェルナンド・アロンソは、それでもチャンピオンシップでは13ポイントの差をウェバーに付けて首位を守る。3位は予選から順位を1つ上げたセバスチャン・ベッテル。最後までバトンを追撃していた小林可夢偉だが、残念ながら入賞圏外の11位でゴールした。



2012年イギリスGP決勝レースの結果順位は以下の通り。

優勝 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
2位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
3位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
4位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
5位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
6位 ロマン・グロージャン(ロータス・ルノー)
7位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
8位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
9位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
10位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
11位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
12位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
13位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
14位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ・フェラーリ)
15位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
16位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
17位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
18位 ティモ・グロック(マルシャ・コスワース)
19位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)
20位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)
21位 ナレイン・カーティケヤン(HRT コスワース)

強くなったフェラーリと、もとから強かったレッドブルに、マクラーレンはチームと2人のドライバーの地元にも拘わらず歯が立たなかった。ロータス・ルノーは着実に上位に食い込み、メルセデスはやっぱり決勝レースではやや弱い。そして小林可夢偉は、持っているはずの速さがどうしても生かし切れず結果に残せない。次戦はまた2週間後、ホッケンハイムで行われるドイツGP。今度はメルセデスとその2人のドライバーの地元だ。決勝レースは22日、日本時間の21時にスタートする。


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Image Credit: Mark Thompson, Clive Mason, Andrew Hone/Getty | Nigel Roddis, Tim Hales/AP | Sauber Motorsport AG

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