バトルとクラッシュで順位が大きく変動した、F1第8戦ヨーロッパGP決勝リポート!
2012年F1第8戦ヨーロッパGP決勝レースが24日、スペインのバレンシア市街地サーキットで行われた。昨夜お届けした結果順位速報に続いて、画像とともにレースのリポートをお届けしよう。

土曜日に行われた予選では、レッドブルセバスチャン・ベッテルが自身33回目のポール・ポジションを獲得。これはジム・クラークとアラン・プロストに並ぶ、歴代3位の記録だ。2番手タイムはマクラーレンルイス・ハミルトン。ベッテルに0.3秒以上の差をつけられてしまった。スターティング・グリッドの2列目にはウイリアムズのパストール・マルドナドとロータス・ルノーのロマン・グロージャンが並ぶ。5番手が同じくロータス・ルノーのキミ・ライコネン、その隣りがメルセデスニコ・ロズベルグザウバー小林可夢偉はその後列、7番手から表彰台を狙う。



そして24日の日曜日、現地時間午後2時、日本時間の午後9時に決勝レースがスタート。最前列の2人はそのままポジションをキープ。そのすぐ後ろにグロージャンが上がる。上手くスタートを決めたライコネンだったが、前にいるマルドナドに引っ掛かったところを、小林可夢偉がその横から抜いて行く。ロズベルグは出遅れたようだ。

さらに1周目の後半で可夢偉はマルドナドもかわし、4位に。11番手スタートだったフェラーリフェルナンド・アロンソが8位に上がっている。

2周目には早くもトップのベッテルと2位ハミルトンの差がやや開きつつある。グロージャン、可夢偉と続き、その後ろではマルドナドにライコネンが仕掛けようとする。

3周目、ベッテルとハミルトンの差は4秒、5周目には6秒と開き、7周目に入る頃には9秒近い差がついていた。ファステスト・ラップを更新しながら逃げるベッテル。やや遅れているハミルトンが3位以下を押さえてしまっている形だ。

10周目、ついにベッテルとハミルトンの差は10秒。痺れを切らしたグロージャンが12コーナーでハミルトンにアウト側から並び、イン側のポジションを取れる次の13コーナーで前に出ることに成功。このバレンシア市街地サーキットは「抜きにくいコース」と言われているが、12周目にはアロンソがフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグをパスして7位へ。次の周ではライコネンがマルドナドを抜いて5位にポジション・アップ。マルドナドはアロンソにもかわされてしまう。

これで順位は、トップがベッテル、2位グロージャン、3位ハミルトン、4位小林可夢偉、5位ライコネン、6位アロンソとなった。



13周目を終えたとき、ハミルトンが1回目のタイヤ交換のためにピットへ。次の周に、小林可夢偉、ライコネン、マルドナドもピットに向かう。タイヤ交換を終えてピット・レーンに飛び出してきたとき、可夢偉はライコネンに先を越されてしまっていた。ライコネンのマシンが4秒台でピット作業を終えたのに対し、可夢偉のザウバー陣営は6秒以上もかかってしまったことが原因だ。左フロント・ホイールに問題があったらしい。さらに次の15周目を終えたときには、アロンソもピットへ戻ってタイヤ交換。作業を素早く終え、なんとライコネンの前でコースに復帰する。続いて16周目の終了時にはトップのベッテルと2位のグロージャンもピットに向かう。

これで順位は、トップが変わらずベッテルのまま、そしてまだタイヤ交換をしていないフォース・インディアのポール・ディ・レスタと、ロズベルグを挟んで、4位にグロージャン、5位ハミルトン、6位にやはりピットインせずに走り続けているメルセデスのミハエル・シューマッハ、7位ウイリアムズのブルーノ・セナ、8位レッドブルのマーク・ウェバーと続いて、9位にアロンソ、10位ライコネン、11位小林可夢偉となる。



間もなくアロンソがウェバーとセナをパスして7位へ。さらにシューマッハも抜いてポジションを上げていく。グロージャンもロズベルグ、そしてディ・レスタを抜いて2位に復帰。硬めのミディアム・タイヤを履いてスタートしていたシューマッハ、ウェバーらが1回目のタイヤ交換に向かう。

20周目、まだタイヤを換えていないセナを、可夢偉が右側からパスしようとしたとき、左前方のマシンに気を取られていたのか、それとも可夢偉を抑えようとしたのか、セナが右に寄って可夢偉と接触。セナの右リア・タイヤは可夢偉のフロント・ウイングで切り裂かれてバースト。可夢偉はフロント・ウイングを失い、この周を走り切ってから修復のためピットに戻る。予定外のピットインで順位を18位まで大きく落とすことに。この事故はすぐさま審議に掛けられ、セナにはドライブスルー・ペナルティが科せられた。

22周目、まだタイヤを換えずに頑張るディ・レスタをアロンソが抜いて4位へ。続いてライコネンもディ・レスタをかわして5位に上がる。23周目の終わりにようやくディ・レスタはピットへ。他のチームよりタイヤ交換の回数を少なくすることで上位に食い込もうという作戦を採ったのだ。

レースが半分近く消化した26周目になる頃には、1位のベッテルと2位グロージャンの差は20秒。グロージャンは最速ラップを叩き出してトップを追う。

そろそろ2回目のタイヤ交換の時期に差し掛かろうかという28周目、トロロッソのジャン・エリック・ベルニュとケータハムのヘイキ・コバライネンが激突。セーフティ・カーがコースに入る。この間に、グロージャン、ハミルトン、アロンソら上位を走っていた選手は次々とピットへ。素早く2度目のタイヤ交換を終えたグロージャンやアロンソに対し、マクラーレンのピットではハミルトンのタイヤをまだ装着していないのにジャッキが下りてしまうというトラブルが発生。貴重なタイムを失う。コースに戻ったとき、ハミルトンはライコネンの後ろ、6位まで順位を落とす。彼らより1周多く回ってから、ベッテルも2度目のタイヤ交換へ。

33周目の終わりにセーフティ・カーがコースから退場。このときの順位は1位ベッテル、2位グロージャン、3位アロンソ、そして4位にはトロロッソのダニエル・リカルドが上がって来ていた。以下5位にライコネン、6位ハミルトン、7位ロズベルグ、8位シューマッハ、9位ウェバー、10位マルドナドと続く。小林可夢偉は13位だ。

34周目からレース再開。その前の最終コーナーから、再スタート時のダッシュを狙っていたアロンソは、2コーナーのブレーキングでグロージャンを、軽く接触しながらもオーバーテイクに成功。ついに2位まで上がる。

この周、同様に順位を争っていた小林可夢偉とフェラーリのフェリペ・マッサが激しく接触。マシンを壊した2台はピットに戻り、マッサは再び走り出したが、可夢偉はこれでリタイヤとなる。この事故については可夢偉に非があると判断され、次戦ヨーロッパGPで5グリッド降格になるという厳しいペナルティが下された。

さらに同じ周で、突如トップのベッテルがスローダウン。油圧系のトラブルでエンジンが止まってしまったらしい。11番手からスタートしたアロンソが母国スペインでついにトップに立つ。湧き上がる観客たち。



35周目、タイヤの摩耗が激しくなったリカルドが順位を落としていく。初優勝を目指してグロージャンがアロンソを追い掛けるが、このバレンシアでは最高速度が全車中最下位だったというロータス・ルノーのマシンでは、なかなか前へ出ることができない。

トップのアロンソと2位グロージャンの差は0.6秒。そこから約2秒開いて3位ハミルトン、そしてやはり0.6秒の差でライコネンが迫る。表彰台とその並び順を賭けた争いだ。

41周目、アロンソとグロージャンの差が1秒以上にやや開く、と思ったら今度はグロージャンのマシンがスローダウン。オルタネーターのトラブルによって燃料タンク内の電磁ポンプが動かなくなり、燃圧が低下してしまったとのこと。

これで2位に繰り上がったハミルトンだが、トップのアロンソとの差は3秒以上。アロンソは後続を見ながらペースをコントロール。

後方では、シューマッハとウェバーが49周目にマクラーレンのジェンソン・バトンを抜き、さらに52周目にはザウバーのセルジオ・ペレス、そして54周目にディ・レスタもパスして着々と順位を上げてくる。



レース終盤の54周目、最終コーナーのブレーキングでハミルトンがタイヤをロックアップ。遅れたハミルトンに追い迫るライコネン。2台のバトルは55周目の19コーナーで、ライコネンがハミルトンの前に出るという形で決着。56周目、今度はマルドナドがハミルトンに仕掛ける。並んで右コーナーに入った2台は、まずイン側のハミルトンがコーナー出口でアウト側いっぱいにマシンを寄せ、行き場のないマルドナドはコースの外へ。だが負けずにすぐさまコースに戻ったマルドナドは、次の左コーナーではイン側から、お返しとばかりアウト側のハミルトンにマシンを寄せ、その結果2台は接触。ハミルトンのマシンは壊れ、そこでリタイヤとなる。フロント・ウイングを失いながらもゴールを目指して走り続けるマルドナドは後ろから来ていたマシンに次々と抜かれて行く。

そして57周目のファイナル・ラップを走り終え、トップでチェッカーフラッグを受けたのは地元スペインの英雄、フェルナンド・アロンソ。追撃届かず、キミ・ライコネンが2位でゴールする。3位は気がついたらここまで上がって来ていた、ミハエル・シューマッハが現役復帰後初の表彰台に。

ゴール後、マシンを止めてコクピットから降り、観客に向かって喜びを表すアロンソ。表彰台の中央に立ったとき、彼の目には涙が光っていた。



なお、ハミルトンとの事故の後、走り切って10位でゴールしたマルドナドには、レース後の審議により20秒の加算ペナルティが与えられ、12位に降格となった。

最終的な結果順位は以下の通り。

優勝 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
2位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
3位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
4位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
5位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
6位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
7位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
8位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
9位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
10位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
11位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
12位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
13位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
14位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
15位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)
16位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
17位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)
18位 ナレイン・カーティケヤン(HRT コスワース)
19位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)

今季初めて2勝目を挙げたドライバーとなったアロンソは、ポイント・ランキングでも2位のウェバーに20ポイントの差を付けて首位に返り咲いた。次戦イギリスGPは2週間後、7月6日の午後1時、日本時間では今回と同じ午後9時に決勝レースがスタートする。舞台は62年前にF1世界選手権の初レースが開催されたシルバーストン・サーキットだ。

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Image Credit: Andres Kudacki, Fernando Hernandez, Alberto Saiz, Waldrin Xhemaj/AP | Paul Gilham/Getty | Sauber Motorsport AG

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