【ビデオ】ルノーが「アルピーヌ A110」50周年を記念するコンセプト・カーを発表!
昨日画像が流出してしまったが)ルノーは25日、あのアルピーヌの名前を復活させたコンセプト・カー「ルノー・アルピーヌ A110-50」を発表。伝説的な名車「A110」の誕生から今年で50周年になることを記念して製作されたレースカーだ。

「アルプス」を意味するフランスのスポーツカー・メーカー「アルピーヌ」は、レーシング・ドライバーでルノー車の販売店を経営していたジャン・レデレによって1955年に創立された。当時のルノーの代表車種「4CV」をベースにFRP製の空力ボディを載せて作り上げた最初のアルピーヌ「A106」は、公道レースやラリーで大活躍。そして1962年のパリ・モーターショーでその進化版「A110 ベルリネット」が発表される。鋼管バックボーン・シャシーの後部に「ルノー 8」用エンジンを搭載したA110は、軽量な車体と空力性能、そしてリア・エンジンによるトラクションを武器に多数のラリーで優勝を収め、1973年に始まった世界ラリー選手権(WRC)の初代チャンピオンに輝いた。



この年、アルピーヌは当初から協力関係を築いていたルノーに株式を譲渡、つまり買収され、ルノー傘下のモータースポーツ部門として再出発することになる。その後の活動はラリー・フィールドに留まらず、1978年にはル・マン24時間レースで「ルノー・アルピーヌ A442」が総合優勝を成し遂げた。

市販モデルにもその名前は与えられ、小型ハッチバック車「ルノー 5」の高性能版「5アルピーヌ」や、A110の後継とも言えるFRPボディ+リア・エンジンのスポーツカー「A310」「ルノー・アルピーヌ V6ターボ」「ルノー・アルピーヌ A610」などのモデルが作り続けられていたが、1995年に「A610」の生産が終了するとアルピーヌの名前を持つモデルは消滅。ジャン・レデレの生まれ故郷ディエップにあるファクトリーは、「ルノー・スポール」として稼働を続けていた。



さて、今回ルノーが発表した "21世紀のアルピーヌ" は、過去に最も成功を収めたモデルA110のDNAに、ルノーのモーター・スポーツに対する情熱と技術力をブレンドさせて作り上げたという、レースを想定したコンセプト・カーとなっている。

鋼管チューブラー・フレーム構造のシャシーは、ワンメイク・レース「メガーヌ・トロフィー」のレース専用車両のものがベース。ロールケージとエンジン搭載部の補強材を修正して、より背の低いレースカーに仕立て直したという。



ミドシップ・マウントされるエンジンは、ルノーの「V4Y」型と呼ばれるV型6気筒(つまり日産の「VQ35DE」型)。排気量3.5リッターから400馬力を発生するという。その後部に縦置きされたレース用6速シーケンシャル・トランスミッションと自社製リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを介して後輪を駆動する。

これらのエンジンとギアボックスを電子制御するのが、マニエッティ・マレリ製の「マーヴェル 6R」という名の "ブラックボックス" だ。これは走行時のデータを正確に取得する機能もあり、「ウィンタックス 4」というソフトウェアを使ってPC上で解析することが出来る。収集されるデータはパワートレインからのみならず、ステアリングの切れ角度やブレーキの踏圧、スロットル開度など50項目以上に及び、ドライバーやエンジニアがマシンを最適にセットアップするための手助けとなる。



「アルピーヌ・ブルー」を新たに再解釈したという鮮やかな青で塗られたカーボンファイバー製ボディは、オリジナルのA110が持つ特徴的なデザインを、「現代的かつ人の目を惹き付けるように翻訳する」つもりで描かれたものだという。ヘッドライトの内側に設えられた(半)円形のドライビング・ランプなどはA110からの引用だ(LEDによって黄色く点灯する)。だが、A110を思わせる部分はそのくらいで、あとはもう、どこから見ても2010年にパリ・モーターショーで発表された電気自動車のコンセプト・カー「DeZir(ドゥジール)」そっくりである。アルピーヌの名前を付けるなら、せめて新たにデザインして欲しかった、というのが正直なところだ。往年のアルピーヌは、ルノー・ベースでも独自のボディを纏うのが常だったではないか。

ただし、空力方面はかなり気合いを入れて開発したらしく、フロント・バンパー下部から流入した空気の流れは、フロア下を通り抜けリア・ディフューザーから加速度的によって抜かれることによって、強力なグラウンド・エフェクトが得られるという。車体に掛かるダウンフォースの1/3以上がこのグラウンド・エフェクトによるもので、残りは大型リア・ウイングによって発生するそうだ。この空力性能は、F1でも使われている最先端の数値流体力学を応用して開発とデザインが行われたとのこと。



ロールケージが張り巡らされたコクピットは、殺風景で整然としており正に「仕事場」という雰囲気。ダイヤ型のスティッチが入った黒いバケット・シートに座れば、目の前にあるのはカラー液晶が搭載されたルノー・デザイン製ステアリング・ホイールだけ。これにはフォーミュラ・ルノー3.5用マシンと同じ技術が採用され、ドライビング時に必要な全ての情報が表示されるという。青いフル・ハーネス(レース用シート・ベルト)はサベルト製。

ルノー・アルピーヌ A110-50のホイールベースは、メガーヌ・トロフィーと共通の2,625mmだが、トレッドは前1,680mm、後1,690mmにまで拡大されている。センター・ロック式ホイールは21インチ。エア・ジャッキを装備し、短時間でタイヤ交換が可能だ。サスペンションは、キャスター、キャンバー、車高、アンチロールなど多くの箇所がセットアップ可能となっており、ロア・ウィッシュボーンに直付けされたザックス社製ダンパーも伸び側と縮み側を独立して調整可能。完全にレース用マシンの足回りである。




今回のアルピーヌ復活が、このコンセプト・カーを披露するだけで終わる単なる「記念イベント」に過ぎないのか、それとも何らかのレース活動を予告する意味があるのか、あるいは市販スポーツ・モデルの企画が進行しておりその登場を前もって盛り上げるために仕掛けられたものなのか、現時点ではまったくの不明。いずれにせよ、せっかく伝統ある名前を持ち出したのに、期待させておいてフタを開けたら、「既存のメガーヌ・トロフィーの車体」に「既出のコンセプト・カーのガワ」を被せたものに過ぎなかったわけで、これでは到底納得できないという方も多いに違いない。今後の "本格的な" 復活に是非とも期待したいところだ。





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