BMWは、ダイムラーやミュンヘン工科大学と共同で次世代の電気自動車を研究開発すると発表。現在の電気自動車が抱える問題点を解決し、より現実的で一般大衆向けのモビリティを開発するために立ち上げられたドイツの国家プロジェクトである。

とりわけ都市部の交通手段として、小型電気自動車は非常に有望であると考えられている。近年多くのコンセプト・カーが、世界各国の自動車会社だけでなくベンチャー企業からも発表されているのはご存じの通り。しかし、まだまだ従来の内燃機関で走る小型車に比べると価格は高過ぎ、重量も重過ぎ、そして衝突安全性の面でも問題がありそうだ。

そう考えたドイツ連邦教育研究省は、1,080万ユーロの予算をこの「Visio.M」と名付けられたプロジェクトに投入。ミュンヘン工科大学の研究者と、民間の自動車会社等の技術者が共同で、次世代の現実的かつ大衆向け電気自動車の研究開発に取り組むという。BMWはその「リード・マネージャー」だそうだ。



このプロジェクトの第一段階として、ミュンヘン工科大学によって開発されたのが、画像の小型電気自動車「MUTE」である。最大出力は15kw(約20ps)、乾燥重量はバッテリーを除いて400kgという、ヨーロッパのL7eという電動マイクロカーの規格に則ったものになるという。
もちろん、このまま市販化を目指すというわけではなく、このプロトタイプを使って、動力性能や衝突安全性能、モーターやバッテリーなどの動力源、さらに考え得る新しいコンセプトにつながる新技術を開発するためのテストを行うというわけだ。完成すれば、特に安全性能の面でこれまで以上に大規模な市場の要求を満たす製品になるという。

つまり、これはひょっとしたら、かつて「フォルクスワーゲン」を生んだ "国民車計画" の、電気自動車版のようなものを目指しているのかも知れない。

1930年代にドイツで当時の首相だったアドルフ・ヒットラーが提唱した国民車計画からフォルクスワーゲンが生まれ世界各国に輸出されたように、ドイツの官民学協同によって作られる新しい電気自動車が、世界中の都市部で次世代モビリティとして活躍する日が来るのかも知れない。ただし、今のところ参加企業にフォルクスワーゲンの名前はない。自前で開発するから結構、ということだろうか。



画像を見る限り、"ちゃんとした自動車" になっているところがなかなか魅力的。もっともデザインに関しては、製品化される際にはBMWあるいはメルセデスの最新デザイン言語を用いてスタイリングされたものになるはず。他にもこのプロジェクトに参加する企業は、コンチネンタル・オートモーティブ、シーメンス、テキサス・インスツルメンツ・ジャーマニー、テュフズードなどの錚々たる名前が連なっている。



これより上のクラスでは、「三菱 i-MiEV」や「日産リーフ」という日本車が、今のところ世界的に見て実用性・完成度ともに一歩リードしていると言えるだろう。とはいえ、リーフの価格は370万円以上(国から補助金が出るので実質負担額は300万円弱)、i-MiEVの廉価モデルでも260万円(同じく補助金を活用すれば実質負担額は188万円程度)になる。これではエンジンを搭載する自動車と両方所有して用途に合わせて使い分けるというよりも、既存のエンジン車から買い換えという方向で検討せざるを得ない場合が多いのではないだろうか。
航続可能距離はバッテリー容量、ということは価格にも比例するから、ごく近距離用と割り切って、その代わり価格の安い電気自動車を、買い物や送り迎えのためのセカンドカーとして持ちたい、と考える人も大勢いるだろう。

ヨーロッパのL7eのように、日本にも道路交通法令で「ミニカー」というマイクロカーの規格が存在するのだが、これは「総排気量50cc以下または定格出力0.6kW以下」と定められている。0.6kW=0.8ps程度で1人乗りでは、用途がかなり限定されてしまう。
この辺りの法制が変われば、日本からも優れた実用的なマイクロEVが登場すると思うのだが‥‥!?

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