4月7日と8日に開催された「トレッサ×TRD 86モータースポーツイベント」の会場で、発売されたばかりの新型スポーツカー「トヨタ 86」のチューニングやカスタマイズについて、"メーカー直系チューナー" であるTRDで製品企画を担当されている方に今後の方向性などについてお訊きして来た。

TRD(トヨタ・レーシング・ディベロップメント)とは、トヨタ自動車グループに属し特装車などの製作を手掛けるトヨタテクノクラフト株式会社の1部門で、トヨタのレーシングカー開発を請け負ったり、市販モデル向けのチューニング・パーツやカスタマイズ・パーツの製作と販売を行っている。

今回のイベント会場には「TRD パフォーマンス・ライン」として販売されている数々のパーツを装着した白いトヨタ 86が展示されていた。まず、一目で分かるのは、フロント・スポイラー、サイド・スカート、リア・アンダー・スポイラー、リア・トランク・スポイラーの4点で構成されるエアロ・キット。車体の後ろに回れば4本出しとなった「ハイレスポンス・マフラー Ver.R」のエキゾースト・テールパイプが見える。足元には全長調整式サスペンションが組み込まれ、モノブロック・ブレーキ・キットと18インチの「SF2」鍛造ホイールを装着。その他にも、この日同時に開催されたトークショーで飯田章選手が言われた「見えないところも性能を上げている」パーツ類が満載されているようだ。



TRD製品企画室主査の清水一之氏にお話を伺った。

すでにTRDではこれらのパーツを発売されたそうですが、一番人気は?

「やっぱりエアロとマフラーをセットで付ける方が一番多いですね。その次がサスペンション」

全部付けるとなると結構な価格になってしまいそうですね。

「車両が280万円としてパーツが220万円くらいだから、全部でちょうど500万円くらいですね」

買われる方の年齢はどのくらいの方が多いのでしょう?

「まあ、今はまだ40~50代の方が多いですね。車両価格が手頃なので、もうはじめから(これらのパーツを付けて)500万円のクルマとして買われていく方もいらっしゃいます」

若い人はやはり少ない?

「若い方もいますけど、まだ少ないですね。3年後、(ベースとなる86の)中古車が出回るようになってからでしょうね、本格的に盛り上がるのは」

(トヨタ86の兄弟車である)スバルの「BRZ」の方では「STI」がありますけど、意識されてます?

「意識はするけど、まだあちらは(チューニング・パーツを)出していないでしょ(笑)」

TRDのパーツはBRZにも装着可能なんですよね?

「(TRD製品を扱う販売店に)もし持って来てくだされば、フロント・スポイラー以外なら実際には付きますよ。マフラーはちゃんとスバルの方も含めて認証を取っています(笑)」

金額的に、全部一度に付けられる方は少ないと思うのですが、どの辺りからカスタムしていくのがお勧めですか?

「お好きなところからどうぞ(笑)。よく言うのは、チューニングに正解も不正解もないということ。マフラーだけを交換したいという方のためには、(純正リア・バンパーに装着するために)この(テールパイプの)周りの黒い部分だけでも販売していますし、例えばブレーキだけだっていい。お客様が自由に素材をチョイスして、料理していただければいいと思うんです。でも、ただ付ければいいってもんじゃなくて、やっぱりバランスが大事。だから我々はこうして、お手本と言ったらおこがましいけれど、1つの味として作ってお見せしているというわけです」

以前、私たちのサイトでTRDのマフラーの音が聞ける動画を紹介したことがあるのですが。

「あれはまだ試作品ですから(笑)。市販品はもっと雑味がなくなっているはずです」

もっと良い音になると?

「そう思っています(笑)。アイドリング時は、"えっ、こんなもん?" と思うくらい静かだけれど、踏み込むと乾いた音がしますよ」

それは、どこかで聞けますか?

「もうじき、TRDのホームページで聞けるようになります。いま、準備していますから」

マフラーを交換するだけでもパワーは向上します?

「昔に比べて、マフラーだけで上がる部分は年々少なくなっています。吹け上がりやレスポンスは向上しますが、(マフラー交換の主な目的は)音だと思っています」

今後、発売を計画されているパーツは他にどのようなものがありますか?

「今やっているのは、強化クラッチやLSDなどの "ハード系" ですね。レース系の部品も、そろそろかな、と」

それは公道用として出すのではなく、競技用パーツとして出るのですか?

「そうです。レース向けです」

他に公道向けのチューニングとしてやってみたい部分は?

「あとはもう、パワーですよ(笑)。そこだけですから、まだやっていないのは」

何馬力くらいになるんでしょうか? 個人的なお考えで結構ですから(笑)

「アクシオ(コンプリートカーとして販売されたカローラ アクシオ "GT" TRDターボ)で(ノーマルの)4割増しですから‥‥。86はノーマルで200馬力、ということは4割増しで280‥‥。個人的には300(馬力)は欲しいね(笑)」

そうなると、過給器を付けるということでしょうか?

「そうです。今のクルマは燃費や重量の関係もあってギリギリで設計されているので、"余裕" がないんです。だって昔のAE86は1.6リッターで130馬力だったでしょ。今の86は2リッターで200馬力。昔に比べて、いじれる余裕が全然ない。だから、(大幅にパワーアップするためには)過給器しかないと思う」

それはもし実現するとなると、後付けのキットではなく、コンプリートカーで、ということになりますか?

「やるとしたら、そうなりますね」

それはやはり、ターボではなくスーパーチャージャー?

「まだ、まったくの白紙ですから(笑)。色々と考えていますけど。あとは(過給器を)どこに付けるか、ですよね。それから信頼性の問題とか」

価格はどのくらいになりそうですか?

「アクシオのときは、ターボと足回りでベース車+100万円でしたが‥‥。どこまでやるか、ですよね。"シャコチョー"(全長調整式サスペンション)まで入れたらベース車+100万円では収まらないだろうし。でもまあ、86は(+100万円より)もう少しいってもいいかな、と思っていますが」

ありがとうございました。今後の製品を楽しみにしています。

「86のチューニングは、まだまだ始まったばかり。出発点に過ぎませんから。盛り上がっていくのはこれからなので期待していてください」



市販モデルの86は、あちこちで目にする機会も増えたようだが、TRDのカスタマイズした86は流石に注目度が高く、この日も来場者からたくさんの質問が浴びせられていた。

かつてのAE86がそうであったように、今度の86も中古車が数多く流通するようになってから、カスタマイズ・パーツの需要は一段と増えるはず。その頃にはエアロでもマフラーでも足回りでも、様々な種類のパーツが揃っているだろうし、ベース車を安く手に入れて自分好みの仕様に仕上げる、という楽しみ方も可能になって来るだろう。いま、何らかの事情で86を手に入れることが叶わない人でも、まだまだこれから楽しめる時期が必ずやってくる。

一流シェフによる料理は確かに誰が食べても美味しいけれど、自分の好きな素材を好きなように調理し、好みの味付けをして作る料理は、愉しくて面白い。時と場合によっては、こちらの方が旨いと感じられることもある。



なお、いくつのかのトヨタ 86専門店「エリア 86」では、TRDのカスタマイズ・パーツを装着した試乗車を用意している店舗もあるそうだ。ノーマルと乗り比べてみたい、という方は以下のリンクからお近くのエリア 86までお問い合わせを。

AREA 86 - TOYOTA

TRDのトヨタ 86用パーツについては、こちらからTRD公式サイトをどうぞ。

86 TRD performance line - TRD


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