2012年F1第2戦、マレーシアGP決勝レースが25日、セパン・インターナショナル・サーキットで開催された。途中、雨による中断もあったこのレースで勝利を呼び込む鍵となったのは、冷静なマシン・コントロールとタイヤ交換のタイミングを見誤らないことだった。



レース開始15分前より降り出した雨のため、1台を除きほとんどのマシンが「インターミディエイト」と呼ばれる浅い溝付きのタイヤを履いてスタート。

前日の予選で決定したグリッドは、フロント・ローにマクラーレンの2台。ポール・ポジションにルイス・ハルトン、その横にジェンソン・バトンという前戦のオーストラリアGPと同じ順番だ。そして3番手には、復帰後最高グリッドを獲得したメルセデスミハエル・シューマッハ。続いてレッドブルマーク・ウェバーが並ぶ。予選5番手のタイムを記録したロータス・ルノーキミ・ライコネンは、ギアボックスを交換したため5グリッド降格となり、10番手スタート。代わりに5番グリッドには昨年のチャンピオン、レッドブルのセバスチャン・ベッテルが着く。ザウバー小林可夢偉は予選第2ラウンドであまり良いタイムが出せず、17番手からのスタートとなった。予選後に分かったことだが、可夢偉のマシンはリア・サスペンションが壊れていたそうだ。決勝にも不安が残る。



そして現地時間15時、決勝レースがスタート。1列目のマクラーレンがそのままの順番で1コーナーを制す。抜群のスタートを決めたのは予選7番手だったロータス・ルノーのロマン・グロージャン。一挙に3位までポジションを上げて来た。3番グリッドのシューマッハは少し出遅れた恰好となり、それを横から抜いて行ったウェバーが、グロージャンに被せて3位へ躍り出る。その直後、グロージャンとその横に並ぼうとしていたシューマッハが接触。コーナーでグロージャンのテールが流れ、シューマッハに当たったように見えた。コースオフした2台は順位を大きく落とす。

1周目を終えた時、順位はハミルトン、バトン、ウェバー、ベッテル、そして予選では9番手に終わったフェラーリのフェルナンド・アロンソ、そのアロンソに抜かれたメルセデスのニコ・ロズベルグ、ザウバーのセルジオ・ペレスが続く。可夢偉は数台を抜いて10位まで順位を上げていた。



ここでいち早く、7位走行中のペレスがピットへ。雨が強くなり出したのを見て「ウェット・タイヤ」と呼ばれる雨用タイヤに交換する。

雨はますます強くなり、4周目にはトップのハミルトンと、真っ先にウェット・タイヤに履き替えたペレスのタイム差がほとんどなくなる。シューマッハと当たって20位まで順位を下げていたグロージャンがたまらずコースアウト。グラベル(コース脇の砂地)に掴まってレースを終える。予選では速いのに、レースでは2戦連続で早々にリタイアだ。

4周目を走り終えた時、2位のバトンと5位のアロンソらが続々とピットイン。雨用タイヤに履き替える。1周遅れてトップのハミルトン、そしてレッドブルの2台、ロズベルグ、ライコネン、小林可夢偉、シューマッハらも続く。

いよいよ雨が激しくなり、6周目の終わりにセイフティ・カーがコースイン。全F1マシンを先導して3周ほど走行するが、レース開催者側はしばらく雨が弱まりそうもないと判断してレース中断を決定。各選手はスターティング・グリッドに戻るとマシンをコース上に止めてコクピットから降り、雨が弱くなるのを待つ。



この時の順位を見てみると、まずトップのハミルトンと2位のバトンはスタート時から変わらず。3位にはいち早くタイヤを交換したペレスが大躍進。4位がウェバー、5位にアロンソ、そしてチームメイトと同時にピットインしたため若干待たされたベッテルが6位。7位には、激しい雨の中、なんと浅溝タイヤで我慢を続けた(続けさせられた)トロロッソのルーキー、ジャン・エリック・ベルニュが予選18番手からジャンプアップしている。予選最後尾からスタートしたHRTのナレイン・カーティケヤンは、スタート時からウェット・タイヤを履くという "ギャンブル" に出たのだが、これが成功してこの時10位。一時はポイント獲得圏内を走っていた小林可夢偉だったが、16位にまで順位を落としていた。チームメイトの様にもう少し早くタイヤを履き替えていれば、と悔やまれる。



51分間レースを中断した後、全車ウェット・タイヤを装着し、セイフティ・カーの先導によって10周目から再スタート。13周目の終わりにセイフティ・カーが戻り、レース再開となる。すぐにバトン、ライコネン、可夢偉、ロズベルグらがピットへ。浅溝タイヤに交換する。次の周にはハミルトン、アロンソ、ウェバーらがピットへ戻りタイヤ交換。

ここで順位が変動した。まず、ピットを出たアロンソは、前の周にタイヤを交換していたバトンより前でコースに復帰。逆転に成功する。ハミルトンはピットから出ようとしたちょうどその時、フェラーリのフェリペ・マッサが後方からピットに入ってきたので待たなくてはならず、コース上に戻ったときにはバトンにも先行されてしまったのだ。



しかしここでバトンは痛恨のミス。前を走っていたカーティケヤンに追突してフロント・ウイングを破損させてしまう。修理のため、再びピットへ。コースに戻ったときには、21位まで順位を落としていた。

15周目を走り終えたとき、1位走行中だったペレスがピットへ戻りタイヤを交換。替わってアロンソがトップに立つ。

20周目になるとDRS(可変リアウイング:一時的にダウンフォースを減らしてストレート・スピードを上げる)が解禁。順位が頻繁に入れ替わり始める。17周目には12位まで挽回してきた可夢偉だったが、ペースが上がらず、後続に交わされて15位まで再び順位を落とす。

4位にまで順位を上げていたロズベルグも、23周目にはベッテルに、その次の周ではライコネンに、25周目にはウェバーにまで抜かれてしまう。

レースはやっと中盤。この時の順位は、アロンソ、ペレス、ハミルトン、ベッテル、ライコネン、ウェバー。

30周目、やっとペースが上がってきた可夢偉はシューマッハを抜いて11位へ。35周目にはバトンも16位まで追い上げてくる。

この頃、1位アロンソと2位ペレスのタイム差が縮まりつつあり、37周目には4秒を切る。次の周にはまた1秒詰まって3秒以下、そして39周目には2秒以下にまで縮まる。



乾き始めた路面は、ほぼレコード・ラインがドライ状態。39周目にマッサがドライ用(晴れ用)タイヤに交換する。続いてロズベルグ、バトン、40周目を走り終えた時にはトップのアロンソもピットへ。ドライ用タイヤの中でも軟らかめのミディアム・タイヤを装着する。

1周遅れて、この時1位のペレスと2位のハミルトンもタイヤ交換へ。ペレスは硬めのハード・タイヤを選ぶ。ハミルトンはブレーキ・ダクトに貼ったテープがなかなか剥がれず、ピットでもたつきタイム・ロス。

ペレスがコースに戻ったのはアロンソの後ろ。順位の逆転はならず。タイム差も再び4秒台まで開いていた。以下、ハミルトン、ベッテル、ウェバー、ライコネンと続く。

ドライ・コンディションになったらマシンの性能が高いマクラーレンやレッドブルは速い。しかしザウバーのペレスも負けてはいない。アロンソとのタイム差を再び縮め始める。

快走を続けるチームメイトとは対称的に、ペースの上がらない小林可夢偉は47周目にピットに戻るとそのままリタイヤ。ブレーキに問題があったそうだ。



48周目、4位を走っていたベッテルの左リア・タイヤが、カーティケヤンのフロント・ウイングに接触してバースト。幸いピットまで戻ることは出来たがポイント獲得圏内からは脱落。12位まで順位を落としてしまった。

レースが残り10周を切った頃、再びペレスがアロンソとのタイム差を1秒以内にまで縮める。このまま追いつく、と誰もが思っていた50周目、ペレスがコーナーでミスをしてオーバー・ラン。これで約5秒のタイム・ロス。

結局、そのままの順位でアロンソが逃げ切り優勝。ペレスはそれでも歓喜の2位、初めての表彰台に上る。3位は大きなミスもなかったがピットでの不運が続いたハミルトン。以下ウェバー、ライコネンと続く。予選13番手からスタートしたウイリアムズのブルーノ・セナが6位、ルーキーのベルニュは8位入賞。予選3位で復活を期待させたシューマッハは10位に終わった。



明らかに乗りにくそうなマシンで、混乱のレースを完璧に走り切ったアロンソ。そしてチームの作戦と自身のポテンシャルがぴたりとはまり、マシンも裏切らなかったペレス。彼らに対してマッサは15位、可夢偉はリタイアと、チームメイト同士で明暗を分けた形になってしまった。速さを実証して見せたペレスには、ますますフェラーリ入りの噂が大きくなりそう。



昨年の覇者レッドブルにも、今年は他チームに対する圧倒的なアドバンテージは見られない。マシンの完成度が最も高そうなマクラーレンには不運やミスが付き纏う。予選では速さを見せるがレースでは思うような戦いが出来ないメルセデス。替わってザウバーやウイリアムズの躍進に、ロータス・ルノー、トロロッソ、フォースインディアまで、上位から中位チームまで含めた戦いは例年になく激しい。お陰で1戦、2戦と、見る側にとっては面白いレースが続いている。

3週間後の次戦中国GPも見逃せない。決勝レースは4月15日、日本時間の16時スタート予定だ。

優勝 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
2位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
3位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
4位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
5位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
6位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
7位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
8位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ・フェラーリ)
9位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
10位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
11位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
12位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
13位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
14位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
15位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
16位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
17位 ティモ・グロック(マルシャ・コスワース)
18位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
19位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
20位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)
21位 ナレイン・カーティケヤン(HRT コスワース)
22位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)

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Image Credit: Lai Seng Sin, Mark Baker, Achmad Ibrahim, Dita Alangkara/AP | Clive Mason, Paul Gilham, Mark Thompson, Vladimir Rys/Getty | Sauber Motorsport AG

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