日産から復活した「ダットサン」は、どんなクルマになるのか!?
20日、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者はインドネシアで「ダットサン」ブランドの復活を発表。21日には横浜の日産本社で、この "戦略" に対するさらに詳しい発表があったのでご紹介したい。

かつて日産の小型車ブランドとして使用されていたダットサンという名前は、日産自動車の前身であり、我が国初の国産自動車メーカーでもある快進社の創業者、橋本増治郎を支援した3人の人物の頭文字がもとになっている。田(でん)健次郎の「D」、青山禄朗の「A」、竹内明太郎の「T」を取り、それと同時に "非常に速い" という意味で「脱兎」をかけた「DAT」に、「そのクルマは3人の "息子" である」という意味から英語の「SON」を組み合わせたのだが、「SON」は「損」とも読めるため、同じ発音で太陽を意味する「SUN」に置き換えられたというのがその由来だ。

1933年、日産コンツェルンの総帥である鮎川義介は、このダットサン製造に関する一切の権利を引き継いで自動車製造株式会社を設立。1934年に日産自動車と改称し、翌1935年には横浜に新設した工場で、日本初の大量生産による自動車の製造を開始する。外国車のコピーではなく、日本の道路事情に合わせた、信頼性が高く手が届きやすい価格の「国産車」。ラインオフされた第1号モデルは「ダットサン14型ロードスター」という美しいクルマだった。
その後も日産が製造する小型車にはこの「ダットサン」の名前が与えられ、国内のみならず各国に輸出され、販売された。例えば初代「フェアレディ Z」は、アメリカでは「ダットサン 240Z」という車名で売られていたことなどはご存じの方も多いだろう。
国内ではその名前を聞かなくなった後も、海外向けモデルにはダットサン・ブランドが使われていたが、1981年に輸出ブランド名を「NISSAN」に統一するという方針が決まったため、それ以降に発表された新型車からは徐々に消えていった。

そして今回、新たに復活が宣言されたダットサンは、新興国・成長国市場向けの低価格車にその名前が使用されることになるという。まずは2014年にインド、インドネシア、ロシアでダットサン・ブランドの新型車を発売、最初の1年以内に2車種を投入し、3年以内にラインアップを強化するという計画だ。2016年度までにはこの3カ国における日産車の販売台数のうち、3分の1から2分の1をダットサン・ブランドのクルマが占めることになるという。

では、具体的にどういうモデルになるのかというと、これはかつてのダットサンがそうであったように、初めてクルマを購入する人たちに向けた、手頃な価格で、信頼性が高く、しかも最新のデザインを持つクルマになるという。ただし、ダットサンというブランドはグローバルに展開するが、実際に販売されるクルマは各国の道路事情や法規制に合わせて作られるため、排気量などの仕様は地域によって様々なものになる。価格も市場ごとに異なるが、それぞれその国の「エントリー・プライス・ポイント」に合わせた値付けになるとのこと。このセグメントには今のところ日産はモデルレンジを持たないというから、「マーチ」より低価格になることは間違いないようだ。そしてそれは、"先進国のお下がり" ではなく、新興国の人々のために開発された「運転することが楽しい」「安心して所有できる」「敷居が低い」モデルになるという。

今回新たに復活したダットサンのロゴ・マークは、昔のロゴを元にデザインされたもので、これは「過去のダットンが持っていた信頼性や力強さなどのDNAを、モダンに表現した」ものだとか。イメージカラーは「日産のレッド、インフィニティのパープルに対し、ダットサンはブルー」。これも "信頼性" を表した色だそうだ。また、すでに開発中という新生ダットサン車のデザインに関してもフロントの画像が公開され、「力強さを表現した」という六角形のフロント・グリルを持つことが明らかにされた。



さて、ここまで読んでいただければお察しかとは思うが、新生ダットサン・ブランドのクルマは、残念ながら日本を含む先進国では販売されない。絶対にないという訳ではないが、今のところ計画にはないとのこと。あくまでも、今まで二輪車や中古車、そして新車でも設計が20年以上も旧いクルマに人々の多くが乗っているような、"成長市場 "向けであるという。
日本でも、初めてクルマを買うような若い人たちにも手が届く、"敷居の低い" クルマとして発売されればと思うのだが...。

久しぶりに「ダットサン」という言葉を聞いて、懐かしく思い出しされた方も大勢いらっしゃるだろう。最後に、1958年に開催された「モービルガス・トライアル」で、見事クラス優勝を成し遂げたダットサンのビデオをご紹介しておこう。これが日産の初めて参戦した国際自動車レースだったのだ。