【ジュネーブ2012】空飛ぶ円盤と呼ばれたアルファ ロメオが甦る「ディスコ・ヴォランテ 2012」!
ミラノのコーチビルダー、トゥーリング・スーパーレッジェーラは、現在開催中のジュネーブ・モーターショーにアルファ ロメオをベースとしたコンセプト・カー「ディスコ・ヴォランテ 2012」を出展。イタリア語で「空飛ぶ円盤」という意味の名前を持つこのクルマは、1952年に僅か数台が作られた同名のモデルに対するオマージュだ。

極細い鋼管を組んでボディの形状を作り、それを薄いアルミ合金などの金属で覆って補強するという車体構造「スーパーレッジェーラ」を編み出したことで知られるイタリアのコーチビルダー(車体製造業者)、カロッツェリア・トゥーリングは、「超軽量」を意味する名前が付けられたこの工法を用いて、1930年代から1960年代にかけて数々の名車を生み出した。



1952年にアルファ ロメオは、このカロッツェリア・トゥーリングと組んで、スポーツ・サルーン「1900」のメカニカル・コンポーネントを流用したレースカーのプロトタイプを製作する。「アルファ ロメオ 1900 C52」と名付けられたそのクルマは、まるで空飛ぶ円盤のようなスタイルを持つことから、「ディスコ・ヴォランテ」と呼ばれた。

いかにも空気抵抗が少なく速そうに見えるボディは最高速度220km/hを達成した言われているが、テストとして何度か挑戦したレースでは満足いくような結果が残せなかったようだ。"空飛ぶ円盤" らしく、高速ではボディがリフトしてしまい操縦安定性が悪かったことがその原因、と言われている。



スーパーレッジェーラ構造は、様々な形状のボディを軽量に造れるという特長はあったが、量産には不向きだった。1960年代に入り自動車のボディがフレーム構造からモノコック構造に主流が移り変わっていくと、多くの自動車メーカーは自社工場内でボディを製造するようになり、その煽りを受けてカロッツェリア・トゥーリングは1966年に操業を停止。職人達の多くはミラノ郊外に新しく創設されたカロッツェリア・マラッツィに移り、「アルファロメオ ティーポ 33 ストラダーレ」などの名車を引き続き製作していく。

その後もマラッツィはトゥーリングとスーパーレッジェーラの商標を保有し伝統を守り続けていたのだが、2006年にゼータ・ヨーロッパ・グループがこれを取得。新たにトゥーリング・スーパーレッジェーラ社として復活させる。今回発表されたディスコ・ヴォランテ 2012は、この "新生トゥーリング" による作品だ。



ベースとなっているモデルは、アルファ ロメオが2006年に発表した500台の限定生産モデル「8C コンペティツィオーネ」。マセラティ用をベースとする排気量4,691ccの90度V型8気筒エンジンもそのまま流用している。車体は8C コンペティツィオーネのスペースフレーム・シャシーに、「ミラノの職人達が手作業で叩き出した」というアルミニウム製ボディ・パネルを架装。フロント・スポイラーやリアのディフューザーなど、部分的にカーボンファイバーも使用されているそうだ。



フロントからサイドに回り込むシルバーのパーティング・ラインは、もちろんC52からの引用。8Cの縦に隆起するフェンダーに対し、「円盤」らしさを出すために横に拡がった(ように見える)ボディが特徴的だ。もともと顧客の注文に応じて特別に誂えたボディを製作するのがカロッツェリアの仕事だったわけで、現代のトゥーリング・スーパーレッジェーラも、このディスコ・ヴォランテ 2012をコンセプト・カーで終わらせず、少量生産して販売するつもりであるらしい。2,259万円という価格が付けられていたベース車に、さらに旧き佳き工法でハイドメイドされたアルミ・ボディを架装したら...一体、いくらになるのだろうか? 



現代のフェラーリランボルギーニに馴染めないイタリア車趣味の御仁が、新車の中から "上がり" として選ぶのに相応しい1台。ギャラリーには新と旧(しかもクーペとスパイダー)両方のディスコ・ヴォランテをご用意したので、美しいだけでなく強烈な個性を発するイタリアのカロッツェリアが手掛けた作品を、ぜひお楽しみいただきたい。


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