【東京オートサロン2012】マツダのあのクルマをベースに、「トヨタ 2000GT」をリアルに再現!
東京オートサロンではもうお馴染み、マツダの初代「ユーノス ロードスター」をベースに製作された、「幻の名車」のレプリカである。今年はさらに完成度が上がり、遊び心も増していた。


先日もソーラーEVにコンバートされた車両をご紹介した、幻の名車「トヨタ 2000GT」。この1967年に発売された我が国初の本格スポーツカーは、総生産台数が僅か337台と極めて少ないため、現在手に入れようと思ったら非常に難しいということは、お分かりいただけると思う。
まず状態の良い車両を探すことが困難だし、幸運にも素晴らしいコンディションの車両が見つかったとしても、おそらく新車のフェラーリが買えるくらいの価格が付けられているはず。それでも大金を用意し根気よく探して、所有することが叶ったとしよう。すると今度は乗ることがなかなか大変。何しろ40年以上の前のクルマだ。どんなに綺麗に仕上がっていたとしても、現代の街中で気楽に乗り回すというわけにはそうそういかない。そんなことをすれば、肉体的にも精神的にも、そして2000GTにとっても辛いことになる。

だが、何とかあの流麗なスタイルのクルマを現代の街中で気楽に乗り回したいと、つい夢想してしまう人は少なくないだろう。性能面でどれだけ2000GTを上回るクルマがあっても、あのカッコに惚れてしまったら、他では決して代用が効かない。

オカネのことはさておいて、40年前のスタイルを持つクルマで現代の路上を快適に走り回りたい、と思ったら、ざっと2つの手段が考えられる。1つは、エンジン、トランスミッション、足回りなど、ボディ以外の多くの箇所を現代のクルマのパーツに載せ替えてしまう方法。人間に例えれば、「サイボーグ」化である。そしてもう1つは、限りなく本物に近いものを現代の技術で作り上げる、言ってみれば「レプリカント」だ。



前置きが長くなったが、愛知県にある「ロードスターガレージ」は、後者の方法による夢の実現に、長いこと取り組んで来た会社である。2年前には、S30型と呼ばれる日産の初代「フェアレディZ」をベースに製作した「AKI-Coupe」と、マツダ「ユーノス ロードスター」ベースの「roadster 龍妃」という、2つの2000GTレプリカをご紹介した。当時、現車を見せていただいたときに感じたことは、AKI-Coupeは非常に完成度が高いが、S30型フェアレディZというベース車それ自体もヒストリック・カーとしての価値が高いことから、今後も続けて製作することは難しいだろう、という印象。そしてroadster 龍妃は、ベース車も豊富で製作費も480万円と(わりと)手頃だが、プロポーションやディテール等の「2000GTに似ている度」は今ひとつ、というものだった。

だが、ロードスターガレージの2000GTレプリカ製作にかける意気はそこで止まっていたわけではなかった。今年の東京オートサロンでは、roadster 龍妃を進化させた「roadster 龍妃ファイナル」というモデルの、クーペとコンバーティブルを出展。さらに、トヨタ 2000GTが発売前に谷田部の高速試験場において3つの世界記録と13のクラス別国際新記録を樹立した「高速耐久スピード・トライアル」に挑んだときのプロトタイプ車両を模したものと、1968年にアメリカのSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)クラスCシリーズに、「コブラ」の製作で有名なキャロル・シェルビーのチームから参戦したレース仕様車のレプリカまで並べていたのだ。



「幻の名車レプリカの最終型」であるというroadster 龍妃ファイナルは、雰囲気は充分だがよく見るとプロポーションが今ひとつだった前作のroadster 龍妃から、さらに本物の2000GTに近付けるために、フロント・ウインドウがオリジナル同様大きくラウンドした形状のものに変更されている。この改造にはAピラーの取り付け位置を後方に移植するなどの大掛かりな手術が必要だったという。また、それによってユーノス ロードスターのインパネやセンター・コンソールをそのまま流用することが出来なくなったので、本物同様のデザインで新規に製作された。左右のドアも新たに作り直され、Aピラーの前方まで延びる2000GTのドアを忠実に再現するようになっている。roadster 龍妃では初代「トヨタ セリカ」のパーツを流用していたというドアのアウター・ハンドルだったが、今回はオリジナルのデザインと同形状の物を、これも新たに型を起こして製作したそうだ。
こうして、2000GTの各ディテールを "復刻" するように新たに製作されたパーツ類は、本物の2000GTを所有する人が愛車の補修に使用するほどの出来映えになったという。



このようにレプリカといえども、完成度の高さとそれに掛ける情熱は2000GTオーナーからも認められるところとなり、親交を得たオーナーズ・クラブの人々を通じて、かつてのワークス・チーム「チーム・トヨタ」でキャプテンを務めた細谷四方洋氏を紹介されたことが、イエローとグリーンに塗り分けられた「スピード・トライアル」仕様車製作のきっかけになったという。

1966年に行われた高速耐久スピード・トライアル挑戦の時に実車のドライブを担当された細谷氏は、roadster 龍妃ファイナルをご覧になって「なかなかよく出来ているじゃないか」と感心し、「(スピード・トライアル仕様車は)オレが監修してやる!」と言ってくださったのだそうだ。氏の協力のお陰で、一般に公開されている写真や資料ではなかなか分かり難い部分まで、リアルに再現することが可能になったとのこと。ボンネットに入れられたサインは、細谷キャプテンとともにスピード・トライアルでステアリングを握った津々見友彦氏のもの。ホイールは、当時マグネシウム製だったセンターロック・ホイールのデザインそっくりに、アルミニウム製で復刻したそうだ。



このスピード・トライアル仕様は参考出品だが、roadster 龍妃ファイナルは通常、映画『007は二度死ぬ』を思い出させるコンバーティブル・タイプと、オリジナルに近いクーペ・タイプ(但し、完全なクーペにすると車両強度の問題が発生する恐れがあるため、着脱可能なルーフを備えた、いわゆるタルガトップ・スタイルになる)の2種類が製作され、コンプリートカーとして販売されている。価格はコンバーティブルが800万円、クーペが880万円(いずれも税別)。トランスミッションはMTとATのどちらでも選択可能だ。ベース車はロードスターガレージの方で用意し(持ち込み不可)、エンジンをオーバーホールした上、ラジエターと配管が新品に交換され、ブレーキとサスペンションはオリジナルで新規製作される。ボディ・カラーはペガサス・ホワイトが標準となるが、希望があれば好みの色に変更できるそうだ。



エアコン・パワステ付きで快適に乗れ、維持費もごく普通の大衆車並み。エンジンが4気筒となるのはオリジナルに比べれば寂しいが、その代わり何の躊躇もなく高回転まで存分に回せる。「なぜ、2000GTが欲しかったのか?」と自問自答したときに、こちらの方が自分の求めている物に近い、という答が出る人(出せる人)なら、roadster 龍妃ファイナルと共にきっと幸せな人生を過ごすことができるだろう。逆に、それとは違う答が自分の中にどうしても見え隠れしてしまう人は、頑張って本物を手に入れる(か、夢のまま温め続ける)ことをお勧めする。単なる遠回りか無駄遣いになる恐れがあるからだ。

2000GTにそれほど特別な思い入れはないけれど、「レプリカ」は「偽物」のようで抵抗を感じる、という人もいるかも知れない。それなら「偽物」というよりも、実物大1/1スケールで作られたトヨタ 2000GTの、よく出来たモデル・カー、と捉えてはいかがだろう? これだけ楽しいモデル・カーは類を見ないはず。何しろ実際に乗って運転できるのだから(モデル・カーとしては値が張るけれど)。

また、そこまでリアルさを求めないという方には、ベース車両別で290万円から製作可能な "お手軽仕様レプリカ" も用意されているそうだ。

詳しい情報は、以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。

ロードスターガレージ

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