【東京オートサロン2012】幻の名車「トヨタ 2000GT」を、太陽光で走るEVとして甦らせたそのワケとは!?
先日ご紹介したように、アメリカ版Autoblogでも取り上げ話題になった「トヨタ 2000GT ソーラーEV」。日本が誇る往年の名車を太陽電池で走る電気自動車に改造した「トヨタ自動車同好会」の方に、東京オートサロンの会場でお話を伺ってきた。

知らない人も少ないとは思うが、そのベースになっているトヨタ 2000GTについて簡単にご紹介しておこう。
発売されたのは今から45年前の1967年。我が国初の本格スポーツカーとして、トヨタ自動車ヤマハ発動機の共同開発によって誕生したトヨタ 2000GTは、大卒初任給が2万6,000円程度だった時代に、238万円という価格が付けられていた。これは「クラウン」2台分、「カローラ」なら6台分にもなる金額で、現在の貨幣価値に換算すれば1,500万円から2,000万円にも相当する。美しいロング・ノーズの下に搭載された直列6気筒DOHCエンジンは、排気量1,988ccから最高出力150psと最大トルク18.0kgmを発生。0-400mを15.9秒で加速し、最高速度は220km/hに達した。当時としては並外れた高額車だったにも拘わらず、1台生産するごとに赤字が増えると言われたほど原価も高く、1970年には生産終了。総生産台数はわずか337台に過ぎない。



そんな「幻の名車」とも言われる稀少なクルマを、トヨタ社員の中でも飛び切りのクルマ好きが集まるという「トヨタ自動車同好会」が徹底的にレストアした上、何と電気自動車に改造してしまった。7月に開催されるEVレースに参戦する予定だという。作業に参加された "同好会員" の方に、お話を聞いてみた。


まず、どうしてこんな貴重なクルマをEV(電気自動車)に改造しようと思ったのか、その理由をお聞かせください。

「どうせEVを作るなら、カッコいいクルマがいいじゃないですか。2000GT、カッコイイでしょ?(笑)」

確かにカッコイイですけど(笑)、ベース車を探すのも大変だったと思うのですが?

「実は、千葉トヨペットの先代の社長さんが2000GTを5台ほど(笑)お持ちでして、その内の1台を "お借り" しています」

ということは、トヨタ自動車同好会が所有しているわけではないのですね?

「クルマは今でも、その方の所有です。他にも1台、トヨタ東京自動車大学校で学生達がEV化しています」

ベースになった2000GTは不動車の状態だったとか?

「エンジンもかからない、ボロボロの状態でした。そこから徹底的にレストアして、ソーラーEVにコンバートしました」

ボンネットとリア・ウインドウに装着されているのがソーラー・パネルですね。太陽光だけでどれくらい走れるものなんでしょうか?

「フル充電で、最大航続可能距離は約60km、最高速度は200km/hでます。ただしフル充電するためには2週間かかりますけど(笑)」

では、レース前に2週間かけてバッテリーを充電しなければならないという...。

「2週間かかっても、いいじゃないですか(笑)。そりゃあコンセントから充電すればもっと早く済みますよ。でも、それでは本当のゼロ・エミッションになりませんよね」

確かに、発電時に火力発電が使われたら、CO2は出ていますしね。

「究極のゼロ・エミッション、ということに拘って、ソーラーにしました」

モーターは市販品を使っているのですか?

レクサス LSハイブリッドのモーターを流用しています」

バッテリーは?

「車体にロゴが入っている通り、パナソニックさんに提供してもらったリチウム・イオンです。他にも、これだけ(ボディに描かれた様々なメーカーのロゴを指して)の会社に協力していただいています」

エンジンを取り外して、代わりにバッテリーとモーターを搭載、ということで重量はけっこう増加しています?

「約110kgほど、(オリジナルの2000GTより)重くなっていますね。でもこれは、頑張って軽量化したというわけではなく、JBLのオーディオなんかも搭載した状態でその程度ですけど」

マニュアル・トランスミッションが残されているのですね。EVなのに、必要なんですか?

「本当は、どうしても必要というわけではありません(笑)。でも、EVといってもスポーツカーなんだし、シフトしたいでしょ?(笑)ということで敢えてモーターからトランスミッションを通して(車輪を)駆動しています。でもこれ、2000GTのものを残したわけではなく、6速MTなんですよ」





内装もご覧ください、と言われたのでドアを開けて見せていただくと、オリジナルの2000GTとはいくつか異なる点があることに気付く。ダッシュボード上にはアルカンターラが張られ、木製メーター・パネルは漆塗りに金銀の蒔絵入り。フロア・カーペットはバイオ素材で作られているそうだ。2000GTの特徴でもある7連メーターの1つは、バッテリー残量計となっている。

他にもいくつか面白い機能が搭載されており、ルーム・ミラーには車体後部に設置されたバックモニターの映像を映すことが可能。さらに「HALO SONIC」と名付けられたシステムが、アクセル開度に合わせてピッチと周波数が変化する "疑似走行音" を発生させるそうだ。これはオリジナル2000GTのエンジン音だけでなく、未来の乗り物を思わせる甲高い金属音や、あるいは馬が走るときの蹄鉄音などが出せるとか。



本物のトヨタ 2000GTをEVにしてしまったと聞いたとき、はじめは正直言って「もったいない」と思った。流麗なスタイルのボディと同じくらい、ヤマハが手掛けたDOHCヘッドを持つ3M型エンジンも、日本自動車史に遺したい逸品だからだ。

しかし、お話を伺っているうちに、今という時代にトヨタ 2000GTを走らせ、周囲の注目を集め、しかもレースで競わせるとなれば、こういう手段も "あり" かも知れないと思えてきた。つまり彼らは、ずっと昔に一線を退いたクラシックカーとして2000GTを復元するのではなく、現代最新の高性能なEVとして甦らせることを選んだわけだ。現代のエンジニアとして未来のクルマを作る立場にある彼らにとって、その方がずっと価値あることだと思えるのは、当然なのかも知れない。

もっとも、ソーラーEVとして話題を振りまき、レースに勝ち、役目を終えた暁には、きちんとオーバーホールされた直列6気筒エンジンが、在るべき場所に戻されることを祈りたい。


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