13日、千葉県幕張メッセで「東京オートサロン2012 with NAPAC」が開幕した。まずはトヨタから今春発売される注目のFRスポーツ「86」に、早くも登場した2台のカスタム・バージョンをご紹介しよう。

トヨタ・ブースに展示されている「86」は合計3台。トヨタ系カスタム・ブランド「モデリスタ」および「TRD」による市販モデル・ベースのカスタマイズ・カーと、正式発表前にドイツで耐久レースに参戦した車両だ。

トヨタ純正アクセサリー・ブランド「モデリスタ」のパーツを装着したスターリング・シルバー・メタリックの「86」は、「スタイリッシュ・モーション」をテーマに、主に内外装を "ドレスアップ" したモデル。装着されているパーツは、フロント・スポイラー、サイドスカート、リアスパッツの3点で構成されるエアロキットと、ヘッドランプおよびリア・ランプ・カバー、ドアに貼られたクロームのモール、メタルモノグラムのインテリア・パネルセット、そして「モデリスタ・ウイング・ダンサー II」と名付けられた18インチ・アルミホイール&トーヨータイヤ「プロクセスT1スポーツ」。メカニカルな部分には手を入れず、「エクステリア重視」で「居住性の高い」カスタムに仕上げたそうだ。



「スタイリッシュ・モーション」とは具体的にどのようなイメージなのかというと、戴いた資料によれば「30代から40代の洗練されたカスタムスタイルを好む、感度の高い男女をターゲットに据え、スタイリッシュに都会を颯爽と走り抜けるスタイルを提案している」そうである。
フロント・バンパー下部をぐるりと囲むスポイラーから、厚みのあるサイド・スカートを経てリア・スパッツへと、「車両の下回りにボリュームを持たせつつ、流れるような軽快感を演出」したかったそうだ。



そんなモデリスタ・バージョンに対し、トヨタのモータースポーツ活動を請け負う「TRD(トヨタ・レーシング・ディベロップメント)」が手掛けた86は、"見た目" だけでなく、より走行性能を重視したコンセプトに基づき開発されている。サテン・ホワイト・パールという塗装色を纏ったボディには、フロント・スポイラー、サイドスカート、リア・アンダー・スポイラー、リア・スポイラーという4点のエアロパーツをはじめ、オイル・フィラー・キャップや、フューエル・キャップ(給油口)・カバーといった "レーシィ" な気分を盛り上げる小物も装着。全長調整式(いわゆる "車高調" )サスペンション・セットを組み込んだ足回りは、「SF2」と名付けられた18インチ鍛造アルミ・ホイールにミシュランPSSタイヤを組み合わせ、その内側にブレンボ製モノブロック・ブレーキが収まる。このブレーキを装着するには18インチ・ホイールにインチアップが必須になるという(86の市販モデルは、グレードによって16インチまたは17インチが標準だそうだ)。



エンジンはノーマルだが、車体には前後スタビライザー、カーボン製フロント・ストラット・タワーバー、メンバーブレース・セット、さらに新開発のドア・スタビライザーを装着して剛性アップ。リアに取り付けられたディフューザーは、TRDの担当者の方によると「かなり効果がある」そうだ。左右からそれぞれ2本出しとなるマフラー(「ハイレスポンス・マフラー Ver.R」)は、馬力アップというよりも「音とフィーリング向上」を狙ったものだとか。インテリアに関しては、プッシュスタート・スイッチと3連メーターを装備し、シフトノブとシートをオリジナル・デザインの物に交換。スポーツシートはTRDによって自社開発されたもので、実際に座らせていただいたらその着座位置の低さに少々驚いたのだが、ヒップ・ポイントはノーマル・シートと変わらないとのこと。つまり86のシート・ポジションはノーマルでもかなり低いのである。このTRDのスポーツシート、薄めのクッションやタイトなサイド・サポートのわりに、座ってしまうと意外なほど心地よいのは、レザーやファブリックの質感によるものかも知れない。



TRDと言えば、トヨタ車を独自にチューンしたコンプリートカーの製作でも知られているが、この86用パーツ(「TRD パフォーマンスライン」と総称される)については、単体でそれぞれ商品化する予定だという。その多くは86本体と同時発売されるそうで、販売店でクルマと一緒に注文して、取り付けた状態で納車してもらうことも可能になるらしい(スポーツシートなど、いくつかのパーツは発売が遅れるそうだが)。

全てのパーツを組み込むと費用はどのくらいになりそうかと尋ねたところ、「このクルマは色々とやりたいことをやっているので...例えばブレーキなんかは結構お高くなりますね」とのこと。「全部で...だいたい250万円くらいになっちゃいますかねぇ」というお答えだった。確かに "結構" お高い。街中でも、乗るとノーマルとの違いは顕著に感じられますか?と訊いてみると、「そりゃもう、駐車場から出て、段差を越えただけではっきりと分かります」と自信に満ちた表情で答えてくださった。

TRDのモータースポーツ活動によって培われた技術が特に現れているパーツは? との質問には、「リアのメンバーブレースやディフューザーなどでしょうか。あと、サイドスカートの下側を黒くして(厚みを)薄く見せる手法は、実際にSUPER GTのレーシングカーから取り入れました」とのこと。とは言え、決してサーキット走行に主体に考えたハードなチューニングではなく、「乗り心地は出来るだけ悪くならないように」ということを念頭に置いて開発したそうだ。



ところでTRDと言えば、最近イギリスあたりで「スーパーチャージャー付き86の開発を進めている」との報道があったことは記憶に新しい。気になっている方も多いだろう。もちろん、その件についてもお尋ねしてみたのだが、返ってきたお答えは「その事実は、まったくない」とのこと。「どこからそういう話が出たのか、さっぱり分からない」そうだ。ただし、「でも、メーカー(トヨタ自動車)の方でやってることに関しては知りませんよ」と仰っていたので、可能性は完全に否定されるわけではないが、取り敢えず、現在TRDの方にスーパーチャージャーによるチューニング計画は「具体的にはない」とのこと。「ターボにしても、スーパーチャージャーにしても、(技術的に開発は)かなり難しいだろう」というお話だった。「とにかく、自然吸気で楽しんでいただきたい」ということなので、いわゆるメカ・チューンに関しては、今後(少なくとも過給チューンよりはずっと)期待できそうだ。



さて、ここまでご紹介した2台の86を比べていただくと、フロント・フェンダーに付けられた「86エンブレム」が違っていることにお気付きになっただろうか?

モデリスタの86に付くエンブレムがシルバー1色で成形されているのに対し、TRDのそれは赤い縁取り入り。これは、ベースにしている86のグレードが異なるからで、モデリスタの86は "標準グレード"、TRDの86は "上級グレード" がベース車として選ばれているらしい(グレードの正式名称はまだ未発表)。
内装にも上級グレード(TRD)の方は各部に赤いスティッチが入り、助手席の前に貼られた化粧パネルはカーボン調になる。土曜日・日曜日に会場に行かれる方は、その辺りもチェックしながら「マイ86」について構想を膨らませてみてはいかがだろう?

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