フォルクスワーゲンは9日、「ゴルフ」をベースとする4ドア・セダン「ジェッタ」に、ハイブリッド仕様を追加すると発表。デトロイト・オートショーで公開した。アメリカでは2012年末に発売が予定されている。

「ジェッタ」は、フォルクスワーゲンがアメリカやヨーロッパなど販売するCセグメントの4ドア・セダン。現行型「ゴルフ」がベースだが、ホイールベースを73mm延長して後部座席の空間を拡大、さらに445mm長いボディは独立したトランクを備えることで、ゴルフの350リッターを大きく上回る510リッターという荷室容量を確保している。アメリカではハッチバックのゴルフよりも、セダンのジェッタは人気が高い。

今回発表されたジェッタ・ハイブリッドのパワートレインは、最高出力150psと最大トルク25.4kgmを発生する1.4リッター直列4気筒直噴ターボ「TSI」エンジンに、20kW(27ps)の電気モーターを組み合わせたもの。デュアルクラッチ式トランスミッション7速DSGを介して前輪を駆動する。低速走行時にはクラッチでエンジンを切り離すことによって電気モーターのみによる走行が可能となり、また高速走行時(あるいはバッテリー残量が少ない時)には逆にエンジンだけで走るモードに切り替わる。バッテリーは後部座席の下に積まれた1.1kWhのリチウムイオン。コンパクトで軽量なこのハイブリッド・システムのおかげで、車両重量は1,500kg以下に抑えられたという。通常のジェッタから「100kg程度しか重くなっていない」そうだ。



気になる燃費は、アメリカの複合モードで約19.1km/リッターになると予想されている。これはエンジンのみを搭載する同クラスのセダンと比べて20%優れた数字だという。さらに都市部の交通環境下ではこの差が30%強に広がる。なぜならジェッタ・ハイブリッドは、70km/h以下の速度で最大2kmの距離を、電気自動車としてまったくガソリンを燃やさずに走行することが可能だからだ(70km/hで2kmも走れるという意味ではない)。ちなみにトヨタの「プリウス」は同じ複合モード燃費で21.25km/リッターとなっている。

このジェッタ・ハイブリッドの燃費は、ドライブトレインだけによって達成されるものではない。ボディは各部の形状を空力的に見直すことで他のジェッタよりCd値が10%減少。専用にデザインされた15インチ・ホイールに履くのはブリヂストンの低転がり抵抗タイヤ「エコピア」だ。

また、ジェッタ・ハイブリッドは俊足ぶりも自慢で、0-60mph(約96.5km/h)を9.0秒以下で加速するという。これは2.0リッターのジェッタ(10.3秒)を凌ぐ数値。何度も引き合いに出して申し訳ないが、トヨタ プリウスは9.8秒と発表されている。つまり、燃費ではやや苦しいが速さでは負けない、ということらしい。フォルクスワーゲンは、このクルマを「世界最速のコンパクト・ハイブリッドカー」と豪語する。

せっかくエンジンを止めて走れるのだから、ということだろうか、ジェッタ・ハイブリッドのフロントガラスは、風切り音が聴覚上気にならないように最適化され、サイド・ウインドウにも通常より厚いガラスが採用されているそうだ。さらにエンジンが掛かっているときにも、排気音が低く抑えられるようなエキゾースト・システムが新たに開発されたという。その結果、これまでにフォルクスワーゲンが製造してきたコンパクト・セダンの中で最も静粛性に優れたクルマになったそうだ。



環境性能・動力性能ともにフォルクスワーゲンが日本製コンパクト・ハイブリッドカーに照準を合わせて開発してきたジェッタ・ハイブリッド。新たな選択肢が増えることはユーザーにとって喜ばしい話だが、残念ながら日本ではジェッタというモデルがそもそも現在販売されていない。このパワートレインがゴルフにも採用されるか、あるいはハイブリッド・モデルの登場をきっかけに、日本にも(また)ジェッタが導入されることを期待しよう。それともまさかフォルクスワーゲン、敵の本拠地では戦いを避けるつもりでもあるまい!?

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