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現在開催中の東京モーターショー2011で公開されているトヨタの新型FRスポーツカー、その名も「86(ハチロク)」。開発時のエピソードや、スバルが販売する兄弟車「BRZ」との具体的な違いなどについて、担当者の方に訊いてみた。

トヨタ 86は、スバルとの共同開発によって生まれた期待の新型スポーツカー。これまで「FT-86」と呼ばれ、正式発表前からクルマ好きの間ではその存在がよく知られていた。2+2クーペのボディには、スバル製水平対向4気筒エンジンにトヨタの直噴技術「D-4S」を組み合わせたパワー・ユニットをフロントの低い位置、しかも後ろ寄りに搭載。1,998ccの排気量から200psを発揮して後輪を駆動する。スペックなどについては正式発表の時に書いた記事をご覧いただくとして、今回はモーターショーの会場で、そのプロジェクトに関わったトヨタの方に、いくつか気になる質問をぶつけてみたので、そのお答えを中心にご紹介しよう。


まず、スバルから発売される「BRZ」との相違点についてお訊きした。ご存じのように、このトヨタ 86とスバル BRZはほとんど同じクルマと言っていい。どちらを買おうか迷っている方もいらっしゃるだろう。

トヨタの方のお答えによると、やはりフロント周りのデザインがBRZとは異なるという点を最初に挙げられた。
86のヘッドライトにはLEDが直線状に並び、「非常に特徴的な光り方をする」という。これは、前を走るクルマのドライバーがルーム・ミラーを見たときに、その存在感をアピールするのが狙いらしい。スモール・ランプを点灯するとこのLEDが光るそうだ。

そしてもう1つ、フロント・グリルのデザインについて。開口部の形がBRZと異なっているというのは一目で分かるが、実はよく見ると、トヨタ 86のグリル(「網」の部分)は、TOYOTAの「T」をパターン化したデザインになっているのだ。これは今後トヨタから発売される新型車にも採用される予定だという。

ちなみにBRZの方はというと、コの字に光るスモール・ランプや、六角形の「ヘキサゴン」グリルなど、どちらも新型「インプレッサ」と共通するモチーフが使われており、スバルのアイデンティティを表すデザインになっている。

FT-86と呼ばれていたトヨタ 86およびスバル BRZの基本デザインはトヨタが担当したそうで、「スバルさんとしては、そのまま(トヨタと同じデザインのまま)では、出したくなかったのでしょう」と仰っていた。つまり、トヨタ 86のデザインがオリジナルで、スバルの方がそれを基に、ブランドのアイデンティティを盛り込みながらリデザインした、ということらしい。



以上は外観上の話。その他に足回りのセッティングが異なるという話もあるわけだが、具体的にはどう違うのだろう?
「トヨタの方がやわらかい...と言ったら語弊があるかな。"しなやか" です」

それは乗り心地がよい、という意味だろうか?
「乗り心地の話ではありません。コーナーリング時の、"姿勢の作りやすさ" を重視してそうしました。トヨタはこれまで多くのFR車を作ってきました。その経験から、こうした方がいい、というセッティングにしたということです」

その辺りは、デザインの話とは逆に、スバルが開発した車体を、トヨタの方で味付けを変えた(変更した)ということなのだろうか?
「(開発はスバルが担当したと言われているが)最終的に図面にしたのはスバルさんですが、開発はトヨタからもエンジニアが行ってやっています。足回りに関しては、両社ともそれぞれ意見がありますから(笑)」

価格に関しては「お答えすることが出来ない」「絶対に言うな、といわれてますんで(笑)」とガードが堅かったが、スバル BRZと同じ値段になるのか?という問いかけに対してははっきりと否定された(これはスバルで取材したときにも同じお答えをいただいた)。「どのような仕様・装備にして、いくらで出すかは、それぞれが検討していますので...」とのこと。

ところで、スバル BRZには、「インプレッサ」の高性能モデルでお馴染みの「STI」が手掛ける高性能バージョンが遅れて登場するのではないかと見られているが、トヨタ 86にも今後、よりハイパワーな高性能グレードが追加される予定はあるのだろうか?
その可能性について伺ってみたところ、答えは「ない」と明言された。

「このモデルは最初から、"リッターあたり100馬力" を達成しようとやってきました。それ以上、たとえばターボなんかを付けると、今のクルマなんかはそのパワーで安全に乗るために、色々と(ドライバーの意志とは違う)電子制御が入ってくる。このクルマはそんなふうにしたくない。そうすると、今くらいのパワーが適当かと」

では、後から高性能版が出るのではないかと思って、買い控えたりする必要はない?
「ありません」



次に、今回は実際に試してみることが出来なかった後部座席の居住性について。大人が座るのは無理?
「そんなことありません。座面が掘り下げられた形になっているので、身長170cm前後の人なら充分座れます」「でも、なぜ4シーター(2+2)にこだわったのかと言えば、タイヤを4本載せたかったんです。サーキットの走行会に行くのに、Sタイヤ(を装着したホイール)を4本と、工具を積んで行ける。2シーターのスポーツカーでは載りませんからね」

今回東京モーターショーで展示されているオレンジ・メタリックの車両は「プロトタイプ」と名目上なっているが、それは「発売していない・型式認定を取っていないからプロトタイプってことで、市販モデルとまったく変わらない」とのこと。オレンジ色のボディ・カラーは発売時に用意されるカラーの1つだという。18インチ・ホイールはオプションで、標準は17インチ。「16インチもある」というから、以前流出した販売用資料に書かれていた情報は一部裏付けが取れた。でも「グレード展開についても、今はまだ何も言えない」そうだ。



最後に、「86」という名前について訊いてみた。そのネーミングの由来になったと言われている「AE86」型「カローラ レビン」&「スプリンター トレノ」を知る人が見れば、この "21世紀の86" は、AE86とはまったく似ていない、ということに気付くだろう。共通点はFRということくらい。どうせ「86」を名乗るなら、最近流行の "復刻モデル" 風に、もっとAE86を思わせるデザインにしようとは考えなかったのだろうか?

「外観のデザインに関しましてはAE86よりむしろ、トヨタスポーツ800(通称「ヨタハチ」)ですとか、リア周りなんかは、トヨタ 2000GTのイメージを参考にデザインしています。では何が "ハチロク" なのかと言いますと、AE86というクルマはご存じのように、世界中でたくさんの人に愛されて、その結果 "名車" になったクルマです。そんなAE86の "スピリット" を継承し、多くの人に愛されるクルマになって欲しい。そういう思いから "86" という名前を付けました」

AE86のように1.6リッターにすることは考えなかったのだろうか?それとも、はじめにスバルの2リッター・エンジンありきということで、この排気量に決まったのだろうか?

「はじめに2.0リッター・エンジンありき、ということではありません。AE86の頃と比べますと、衝突安全の面などで必要な(衝撃吸収)ストロークを取らなければなりませんから、どうしてもAE86よりボディを大きくする必要があります。そうすると重量も増えますから、スポーツカーとして気持ち良く走らせるには1.6リッターでは足りない。それで、2.0リッターでいこう、ということになりました」



トヨタ 86が発表されたとき、トヨタはこのクルマで「クルマ離れが進む若年層にアピールしたい考え」と盛んに報道された。
実際に開発に関わった人たちは、本当に "現代の若者がこのクルマに乗ってくれる" と思っているのだろうか?

「もちろん若い人にも買っていただきたいですが、最初に買ってくださるのは、昔スポーツカーに乗っていた方々。子育てを終えられた方とか、あと例えばそれこそかつてAE86に乗っていたような方々ですね、そういう世代の方々だと考えています。なかなか、若者が新車で買える、とは思っていません」本当は若い人にも買っていただきたいんですけどね、ともう1度繰り返された後、「若い人には、まずそんな "オヤジ" が乗っている姿を見て、"カッコイイ" と思っていただきたい。それが、若者のクルマ離れを食い止めるのにつながるのではないか、そう思います」

その考え方でいくと、どうやら「若者のクルマ離れ」は若者だけの問題ではなさそうだ。もし、かつて「スポーツカー乗り」として鳴らした方がこれをご覧になっていたら、いかがだろう、1台購入して "カッコイイ" と思われるオヤジを目指し、我が国の基幹産業に明るい未来が訪れるよう、貢献してはいただけないだろうか?


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