F1日本GP決勝レースが9日、三重県・鈴鹿サーキットで行われた。

前日の予選でポール・ポジションを獲得したのは、このレースで1ポイントでも取れば世界チャンピオンに決定するレッドブルセバスチャン・ベッテル。その隣には金曜日から好調を維持しているマクラーレンジェンソン・バトンが並んだ。2列目は、最後のタイム・アタックが時間切れで間に合わなかったマクラーレンのルイス・ハミルトン、そしてフェラーリフェリペ・マッサが続く。3列目には同じくフェラーリのフェルナンド・アロンソとレッドブルのマーク・ウェバーというグリッドだ。

可夢偉の乗るザウバーには日本に向けたメッセージが

ザウバーの小林可夢偉は、予選1ラウンド目でトップ・タイムを記録しサーキットに集まった観客を沸かせたが、これは彼と、(この時2位のタイムだった)フォース・インディアのエイドリアン・スーティルだけがソフト・タイヤを履いていたため。可夢偉の予選アタックで本当に凄かったのは予選2ラウンド目、鈴鹿名物130Rの高速コーナーを、DRS(可変リアウイング)を開けて攻めたラップだった。もちろん、DRSを開ければダウンフォースが減る。つまりコーナーでは路面に接地する力が弱まり安定感を著しく欠く。でもその代わり速度は上がる。マクラーレンやフェラーリでさえ、この130RでDRSを開くことはしなかったのに、小林可夢偉はそれをやってのけた。この渾身の走りで可夢偉は予選3ラウンド目進出を決めたのだ。
だが、今のザウバーのマシンではそれが精一杯。3ラウンド目でまともに上位チームを相手に戦うことは(無駄と判断して)避け、1周だけコースを回ってピットに戻る。同じ様に3ラウンド目でアタックしないマシンが他に3台あったが、可夢偉はその1周走行により、他のまったく走らなかった3台よりも優先権が与えられ、自己最高となる7番グリッドを獲得した。

スタートで、ベッテルに幅寄せされたバトンは芝生にはみ出す

さて、ここからは9日、決勝レースの展開をお話ししよう。

まず、スタートではポール・ポジションから飛び出したベッテルが、2番グリッドのバトンを牽制(というか幅寄せ)して芝生にまで追いやる。この隙に3番手スタートのハミルトンがバトンより前に上がって2位に。このベッテルの行為は後に審議の対象となるが、結果は「お咎めなし」。
スタート前に両手を合わせ祈るような仕草を見せた可夢偉は、残念ながらエンジン回転数が落ちてしまったらしく(アンチ・ストール機能が働いてしまう)、スタート失敗。数台に抜かれて12位にまで順位を落とす。

2周目に入る頃には、ベッテルが2位以下を突き放しにかかる「いつもの勝ちパターン」に見えた。ハミルトンとは1秒以上の差をつけて、DRSを使わせない状態に持ってゆく。

6周目の1コーナーでアロンソがチームメイトのマッサをかわして4位へ。

8周目、すでにタイヤが苦しくなったハミルトンを、こちらもチームメイトのバトンが抜いて2位に上がる。この周の終わりにハミルトンは早くも1回目のタイヤ交換へ。

次の周、9ラップ目を終えたベッテルがピットへ戻り1回目のタイヤ交換。続いて10周目を終えたバトン、アロンソ、ウェバー、可夢偉たちもタイヤを交換する。
バトンとアロンソは、ハミルトンの前でコースに復帰。さらに次の周にはマッサもピットへ。

これで順位はベッテル、バトン、アロンソ、ハミルトン、マッサ、ウェバーの順となる。
上位陣はそのままの順位で2回目のタイヤ交換へ。

まず19周目を走り終えたベッテルとウェバーがピットイン。次の周にはバトンがピットへ向かう。
レースが動いたのはこの時だった。2度目のタイヤ交換を終えたバトンは、何とベッテルの前でコースに復帰したのだ!

ピット・ストップで逆転したバトン

20周目のシケインで、ハミルトンとマッサが接触。マッサのマシンからパーツが外れてコース上に残ってしまう。これを片付けるため、セーフティ・カーが出動する。可夢偉はここで(予定より早く)硬めのプライム・タイヤに交換。このまま残り周回を走り切るという作戦を採ることに。

33周目を走り終えたベッテルは、最後(3回目)のタイヤ交換へ。コースに復帰したときには11位にまで順位が下がっていた。
今シーズン、これまでのレースでは、トップを快走〜後続とのマージンを充分築いてタイヤ交換〜そのままの順位でコース復帰、というパターンが多かったベッテルにとって、フタ桁順位で自分よりずっと遅いマシンに囲まれ思うようにペースを上げられないレースというものは、さぞかし新鮮な(そしてストレスの溜まる)体験だったに違いない。

その間、"いつものベッテル" のようにトップを快走して後続との充分なタイム差を築いたバトンは、36周を走り終えてタイヤ交換へ。実質1位キープ(まだタイヤ交換を残していたシューマッハが前にいたが)のままコースに復帰する。翌周にはアロンソもタイヤ交換にピットへ戻ったが、こちらもベッテルの前でコース復帰に成功。

レース終盤、ベッテルは3位まで順位を回復して来たが、1位のバトンを追うどころか、2位のアロンソが抜けない。"先行逃げ切り" なら見事な速さを保証するベッテルだが、こうして後ろから勝負を仕掛けるレース展開はやや苦手と見える。前を行くのが巧者アロンソとはいえ(そして鈴鹿は決して抜きやすいコースではない)、今年圧倒的な速さを誇った最年少王者にとって、今後の課題が明らかになったと言えそうだ。

バトンを追い掛けるベッテル いつもとは逆パターン!?

バトンは途中ペースを落とし、アロンソにその差1秒にまで詰められる場面もあったが、52周目(最終ラップより1周前)にファステスト・ラップを記録してトップを堅守。そのままチェッカー・フラッグを受けて優勝した。鈴鹿での勝利は、自身初めてという。2位はベッテルを抑え切ったアロンソが獲得。3位に入ったことでベッテルは世界チャンピオン2連覇を決めた。終わってみれば、上位3台が10秒以内でフィニッシュするというなかなかの接戦だった。

右から優勝したバトン、3位のベッテル、2位のアロンソ

母国グランプリということでたくさんの声援を受けた小林可夢偉だったが、スタートの出遅れによって最後まで苦戦を強いられた。2度のタイヤ交換で粘る作戦は、レース終盤にはやはりペースが落ちて数台にパスされてしまい、ゴールしたときには13位。
入賞は逃したとはいえ、予選での130R "全開" アタックや、決勝レースで見せたヘアピンでのオーバー・テイクなど、応援に来た人たちに精一杯応えようとした走りだったと言ってもよいのではないだろうか。

国歌斉唱した福島の女子合唱団は可夢偉が招待した


なお、決勝レースの最終的な順位は以下の通り。

優勝 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
2位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
3位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
4位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
5位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
6位 ミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)
7位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
8位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
9位 ヴィタリー・ペトロフ(ルノー)
10位 ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)
11位 エイドリアン・スーティル(フォースインディア・メルセデス)
12位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
13位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
14位 パストール・マルドナド(ウィリアムズ・コスワース)
15位 ハイメ・アルグエルスアリ(トロロッソ・フェラーリ)
16位 ブルーノ・セナ(ルノー)
17位 ルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ・コスワース)
18位 ヘイキ・コバライネン(ロータス・ルノー)
19位 ヤルノ・トゥルーリ(ロータス・ルノー)
20位 ティモ・グロック(ヴァージン・コスワース)
21位 ジェローム・ダンブロシオ(ヴァージン・コスワース)
22位 ダニエル・リチャルド(HRT・コスワース)
23位 ヴィタントニオ・リウッツィ(HRT・コスワース)

今シーズンは残り4戦。コンストラクターズ・タイトルはまだ決まっていないし、小林可夢偉もまだまだ活躍を見せてくれるはず。次は来週、韓国GPが待っている。今日と同じ日本時間15時スタートだ。レース終了後に結果順位の速報をお届けする予定なので、"ネタバレ" しても地上波による放送の前に結果を知りたい方は、ぜひ当オートブログをチェックしていただけたらと思う。


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Image Credit: Clive Mason, Clive Rose, Ker Robertson, Mark Thompson/Getty | Greg Baker, Shizuo Kambayashi, Eugene Hoshiko/AP, Sauber Motorsport AG


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