スティーブ・マックィーンの元愛車で、あの映画にも登場するポルシェ 911が高値で落札!
マックイーンが所有していたポルシェ911の高解像度ギャラリーは上の画像をクリック

本物のレースの現場で撮影されたスティーブ・マックィーン主演の名作映画『栄光のル・マン』。ご覧になった方なら、その冒頭のシーンでレーシング・ドライバー役のマックィーンがドライブするグレーの「ポルシェ 911」が、鮮烈に記憶に残っているという人も多いのではないだろうか。先日お伝えした通り、映画に登場したまさにその「911」がオークションに出品され、高値で落札された。

このポルシェ911は、映画が撮影された当時の最新モデルだった1970年型。3種類用意されていたグレードの中で最も高性能な「911S」だ。マックイーンの役どころは、ル・マン24時間レースに参戦するポルシェ・チームのワークス・ドライバー、ということでプライベートでは市販車の911Sに乗り、レースが開催されるフランス・ル・マン市にやってくるというところから物語は始まる。
マックィーン扮するレーシング・ドライバーは、レース開始前にはまだ公道となっているコースのある場所で911を停める。そこは前年のレースで彼自身が事故による大怪我を負い、また1人のレーサーが命を落とした場所だった。

実際のレース中に撮影された臨場感溢れるシーンと本物のレーシング・カーを使った迫力ある映像がこの映画の魅力だが、レーシング・ドライバーの心情を静かに伝える冒頭のシーンは、またそれとは別に観る者の心に残る名場面と言えるだろう。そこでマックイーンの演技を支える "名脇役" としてスクリーンに登場するのが、このスレート・グレーに塗られた1970年型ポルシェ 911Sなのだ。映画が封切された40年前から、これを観てレース・カーの「917K」は無理でも市販車の「911」はいつか手に入れたい、と思ったクルマ好きは数知れないことだろう。
劇中でマックイーンが乗るガルフ・カラーのポルシェ 917K

カー・マニア(今時の言い方だとエンスージァスト)として知られていたスティーブ・マックィーンは当時、これと同じモデルで同じカラーの911をハリウッドの自宅に所有していたという。しかしそれは映画に描かれる「1970年のル・マン」より1年前に製造された1969年型であり、しかもそのマックイーンの愛車を撮影で使うとなると大西洋を2度も横断させなければならない。というわけでドイツのポルシェ本社に最新モデルの911をオーダーしてフランスに運びそれを使って撮影、クランク・アップ後にはマックイーンのコレクションに加えるという算段になったという。
『栄光のル・マン』撮影中のスティーブ・マックィーン

かくして1970年6月1日、この1970年型ポルシェ 911Sはマックイーンとその会社「ソーラー・プロダクション」のもとに納車された。マックイーン自身が所有する1969年型よりも豊富なオプションが満載されており、当時はレアだった純正エアコン、ブラウプンクト社製ラジオ、マフラー・エプロン、着色ガラス、フランス仕様のイエロー・レンズ付きフロント・フォグランプ、本革張シートを含むコンフォート・グループ(高級内装仕様)などを装備している。当時の公道用911としては最上級仕様だったらしい。

ポルシェ社によれば、この911は撮影後ファクトリーに戻されてリミテッド・スリップ・デフを組み込み、ギア比も変更された上で、1971年1月にロス・アンジェルスのマックイーン宅に向けて送り出されたとのことだ。



しかしマックイーンはしばらくして、この "共演車" である'70年型911を手放してしまう。2台の911を所有することになった彼は、その前から持っていた'69年型の方を手元に残したのだ。どうして彼が年式も新しく装備も充実した'70年型の方を売ったのか、その理由は分からない。一部では、以前から手元にあった'69年型には高価なオーディオ・システムをすでに取り付けてあったので、そのためではないか、と言われているようだ。

こうしてマックイーンの手元を離れた "ル・マン 911" は、ロス・アンジェルス在住の弁護士が買い取り(新聞の告知を見て売りに出されていることを知ったという)、その後数人のオーナーのもとを渡り歩く間に、ボディは純正色で再塗装され、フロント・シートの表皮は張り替えられたという。その他にはショックアブソーバーとフロント・ガラスが新品に交換されたが、それ以外はオリジナル・コンディションのまま現在に至っている。40年の月日を経ていながら、走行距離はわずか1万2,400マイル(約2万km)に過ぎない。灯火類のレンズの色は、アメリカに上陸した際、法規に合わせて交換されたようだ。


さて、そこで今回の落札価格だが、なんと125万ドル(約9,600万円)の値が付いたという。これにオークション手数料10万ドル(765万円)が上乗せされるから、落札者は135万ドルを支払うわけだ。ちなみに911Sのクラシック・カー相場を見てみると、同年式の "上物" で3万ドル(230万円)程度である。
落札された人物については明らかにされていないが、どうやらアメリカ在住で、この貴重な911を決して国外へは流出させない、と心に決めているとのこと。アメリカの映画ファン、ポルシェ・ファンにとっては安心できる人物に託された、と言えるかも知れない。

レーシング・ヒストリーとは別の次元で、世界的に有名な元マックイーンの911。願わくは、ミュージアムのような場所に展示され、世界中のファンに見せていただけると嬉しいのだが...。
取り敢えず、せめて写真だけでも以下のギャラリーからどうぞ!

Related Gallery:Steve McQueen's 1970 Porsche 911S


Related Gallery:Steve McQueen's 1970 Porsche 911S Photos


関連リンク
―スティーヴ・マックイーンの愛車2台がオークションに!
―【ビデオ】ポルシェ、2014年のル・マン24時間レースにワークス体制で復帰を表明!
―憧れの劇中車が手に入る!限定生産【スティーブ・マックイーン公認】ブリット・マスタング?
―スティーヴ・マックィーンの愛車「ハスクバーナ400CR」がオークションに!

自分の愛車はいくら位の値が付く!? と思った人は、ぜひこちらから査定してみよう!