S.C.導入が明暗を分けた! F1第6戦モナコGP決勝結果
29日、F1世界選手権第6戦モナコGP決勝が、モンテカルロ市街地コースで行われた。各チームで作戦が別れた上に予期せぬセイフティ・カーが2回も入るレースで、最後まで勝負の行方が分からない展開となった。


前日の予選では、ザウバーのセルジオ・ペレスが大クラッシュして病院に搬送されるというアクシデントが起きた。幸い大きな怪我はなかったようだが、せっかく自身初のQ3進出を果たすも決勝レースは欠場。チームメイトの小林可夢偉は13番手で予選を終えた。
ポール・ポジションを獲得したのはまたしてもレッドブルのセバスチャン・ベッテル。2番グリッドはマクラーレンのジェンソン・バトンが獲得、3番手のマーク・ウェバーを抑えてレッドブル勢の間に割って入った。以下、4番グリッドはフェラーリのフェルナンド・アロンソ、5番手にメルセデスGPのミハエル・シューマッハ、6番手がフェラーリのフェリペ・マッサと続く。マクラーレンのルイス・ハミルトンは7番手のタイムを出したラップがシケインをショートカットしたことから無効となり、9番グリッドからのスタートとなった。

アロンソがウェバーの前に出て3位に上がる

決勝レースではスタートでアロンソがウェバーの前に出て3位へ。トップから飛び出したベッテルはステアリングに問題を抱えているらしいバトンとの差を広げてトップを快走し、1周目で早くも1.4秒の差を付ける。

15周目が終わったときにバトンが最初のタイヤ交換。これに反応したベッテルが次の周でピットに向かうが、ブランケットがタイヤとくっついてしまうというトラブルで時間をロス、コースに戻ったときにはバトンに先行されてしまった。このとき、ベッテルは硬めのプライム・タイヤを選択した。抜きにくいこのコースにトップで復帰するという前提で選んだと思われるこのタイヤが、後々勝負の行方を左右する重要な鍵となる。
ベッテルは最初のタイヤ交換でプライムを選択。それが最後のピットインとなった

33周目終了時にバトンが2度目のピットイン。スタート時と1回目のタイヤ交換時に続いて三たびオプション・タイヤ(スーパー・ソフト)を装着。ルールでは2種類のタイヤを必ず使わなければならないから、バトンはもう一度タイヤ交換する必要がある、3回ストップ作戦であることが判明した。

と、その直後にマッサがガードレールにヒットしてクラッシュ。シューマッハもマシン・トラブルからコース上で止まってまう。これにより今季初のセイフティ・カーが出動。その間に小林可夢偉は初めてのタイヤ交換に向かう。予選でもうひとつ振るわなかった可夢偉は硬めのプライム・タイヤでスタートしていた。ここでオプション・タイヤに交換する。
セイフティ・カーが先導する中、アロンソもピットへ。2回目のタイヤ交換でプライム・タイヤを装着する。
ガードレールにマシンをヒットさせたマッサ


シューマッハはエアボックス内で火が出てマシンが止まってしまう

39周目、セイフティ・カーが戻ってレース再開。
このときトップ3は、ベッテル、バトン、アロンソとスタート直後の順位に戻っていた。続いてフォース・インディアのエイドリアン・スーティル、その後ろには小林可夢偉が5位まで順位を上げていた。日本のファンの期待が膨らむ。だが彼の後ろにはタイヤ交換の時に手間取って順位を落としたウェバーが迫る。
ウェバーに追われながらもスーティルを追う小林可夢偉

48周を走ったところでバトンが最後のタイヤ交換。プライム・タイヤに履き替えると、30周以上も同じタイヤで走行を続けているベッテルを、2秒も上回るペースで猛追する。

レース終盤、ベッテル、アロンソにバトンが追いつき、3人のワールド・チャンピオンによる優勝争いが白熱する。だがモンテカルロの狭いコースはオーバー・テイクが難しい。これに助けられてタイヤが苦しいベッテルはトップを死守。最もフレッシュなタイヤを履いているのはバトンだが、目の前の2台に追いついてもなかなかこれを抜くことができない。
3人のワールド・チャンピオン経験者

ところが69周目、スーティルのタイヤがパンクしてバランスを崩し、巻き添えを食ったトロロッソのハイメ・アルグエルスアリとルノーのヴィタリー・ペトロフがクラッシュ。再びセイフティ・カーがコースに入る。コース上に止まったマシンの撤去に時間が掛かるため、レースは赤旗が振られて中断となる。

クラッシュしたアルグエルスアリのトロロッソSTR6

レース再開までの僅かな時間にマシンを整備

この間にトップのベッテルは新品のオプション・タイヤに履き替えて逃げ切りに備える。アロンソ、ウェバー、ハミルトンらも、ラスト・スパートを前にタイヤ交換を済ませるなどしてポジション・アップを狙う。

約20分後にレースはセイフティ・カーによる先導で再開。実質わずか5周の超スプリント勝負だ。だが、新品タイヤを履いたベッテルは速さを取り戻し、そのままトップでチェッカー・フラッグを受けた。ベッテルにとっては嬉しいモナコ初優勝だ。スタートで順位を上げたアロンソは今季最高位の2位を獲得。セイフティ・カー導入がことごとく不利に働いたバトンは3位でゴールした。

早くも今季5勝目を挙げたベッテル

スタート時にプライム・タイヤを選択していた小林可夢偉は、ピット・ストップを1回に絞る作戦でレース終盤には4位にまで上がっていたが、最後のスプリントで後ろから追って来ていたウェバーにトンネル出口で仕掛けられ、シケイン進入のブレーキングでオーバー・ラン。そのままではシケイン不通過ということになってしまうので、ペナルティを避けるためウェバーを先に行かせ5位に後退。この時さらに後ろから来たハミルトンにも抜かれそうになったが、これはゴールまで抑え切った。モナコで5位は日本人ドライバー最高記録だ。小林はレース中にスーティルを抜いたときの動きがレース後の審議の対象となったが、戒告を受けたのみでタイム加算などのペナルティは免れた。

レース後、ペーター・ザウバーと握手する小林可夢偉


最終的なレース結果は以下の通り。

優勝 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
2位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
3位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
4位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
5位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
6位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
7位 エイドリアン・スーティル(フォースインディア・メルセデス)
8位 ニック・ハイドフェルド(ルノー)
9位 ルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ・コスワース)
10位 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ・フェラーリ)
11位 ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)
12位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
13位 ヤルノ・トゥルーリ(ロータス・ルノー)
14位 ヘイキ・コバライネン(ロータス・ルノー)
15位 ジェローム・ダンブロシオ(ヴァージン・コスワース)
16位 ヴィタントニオ・リウッツィ(HRT・コスワース)
17位 ナレイン・カーティケヤン(HRT・コスワース)

なお、ハミルトンもウイリアムズのパストール・マルドナードとの接触が審議の対象となり20秒加算のペナルティを受けたが、順位には変動はない。

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[Images: Luca Bruno, Dimitar Dilkoff ,Pool, Claude Paris, Christian Lutz, Antonio Calanni,/AP Photo | Paul Gilham, Mark Thompson/Getty Images | Sauber Motorsport AG]