2011年F1世界選手権第1戦となったオーストラリアGPは27日、アルバート・パーク・サーキットで開催され、ポール・ポジションからスタートした昨年の世界チャンピオン、レッドブル・ルノーのセバスチャン・ベッテルが完璧なラップを重ねて優勝。日本人ドライバーの小林可夢偉は8位でゴールと健闘したが、レース後のマシン・チェックで規定違反と判断され失格処分を喫している。


今年のF1における新たな注目ポイントは、昨シーズンまでのブリヂストンに替わってピレリ・タイヤが採用されたことと、KERSと呼ばれる運動エネルギー回収システムや可変リア・ウイングというドライバーの操作によって追い越しに使える "スピード・アップ・システム" を搭載していること。つまり、戦い方が去年までと大きく違ってくる可能性があるというわけだ。

しかし、取り敢えず第1戦に限って言えば、昨年のチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルと、天才デザイナーの呼び声高いエイドリアン・ニューウェイが設計したレッドブルRB7のコンビが、昨シーズンいくつかのレースで見せたような、他を寄せ付けない走りで優勝した。2010年最速コンビ(最強、ではなかったかも知れないが)の圧勝である。
ちなみにベッテルは自分がドライブするRB7に「変態カイリー(Kinky Kylie)」という名前を付けているそうだ。オーストラリア人歌手のカイリー・ミノーグにちなんでいるらしいが...。

2位は開幕前のテストでは不調だったマクラーレンが思いのほか速さを見せ、ルイス・ハミルトンが獲得。3位にはルノーのロシア人ドライバー、ヴィタリー・ペトロフが入り、自身(そしてロシア人)初の表彰台に上った。ゴール時、喜びに沸くルノーのピットでは、怪我で入院中のロバート・クビサに向けたメッセージが映し出されていた。

予選9番手だったザウバー・フェラーリの小林可夢偉は、スタート直後からフェラーリのフェルナンド・アロンソをパスする活躍を見せる(2週目に抜き返されはしたけれど)。とはいえ、今回のレースではいつもの「オーバーテイク・ショー」はあまり見られず、どちらかといえばルーベンス・バリチェロ(ウイリアムズ)やジェンソン・バトン(マクラーレン)に抜かれるシーンばかり映し出されたが、それでも落ち着いたレース運びで予選より1つ上の8位でフィニッシュ。チーム・メイトのセルジオ・ペレスがタイヤ交換を1回で走り切る作戦を採ったため可夢偉の前でゴールしたが、今期のザウバーC30が "タイヤに優しい" という証明であるなら可夢偉にとってももちろん悪い結果ではない。

ところが、レース終了後の審査でザウバーのマシンはリア・ウイングに規定違反している部分があるとされ、小林とペレスは失格、レース結果から除外されるという処分を受けた。ザウバー・チームはこれを不服とし控訴するという。

注目のピレリ・タイヤだが、摩耗してくると急にラップ・タイムが落ちるという性質があるらしく、またそれが "いつやって来るのか" 、チームはなかなか計算できないようだ。もちろん、それはドライバーやマシンの特性によっても異なる。
オーストラリアへの輸送中にヒビ割れが発生するなど、スタート前から話題に事欠かないピレリ・タイヤだが、今シーズンはこのタイヤの使い方によって、思わぬチームやドライバーの活躍が見られそうだ。


なお、今回のレースでは各チーム、各マシンに震災の被害を受けた日本を励ますメッセージが多数描かれていた。被災地の方々はF1観戦どころではないだろうが、ブリヂストンもホンダもトヨタも撤退して日本の影が薄くなったF1の世界でも、これだけ多くの人たちが日本のことを応援している。一日も早く、日本中でF1が楽しめるようになることを願わずにいられない。

なお最終的な順位は以下の通り。

優勝 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
2位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
3位 ヴィタリー・ペトロフ(ルノー)
4位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
5位 マーク・ウェーバー(レッドブル・ルノー)
6位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
7位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
8位 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ・フェラーリ)
9位 エイドリアン・スーティル(フォースインディア・メルセデス)
10位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
11位 ハイミ・アルグエルスアリ(トロロッソ・フェラーリ)
12位 ニック・ハイドフェルド(ルノー)
13位 ヤルノ・トゥルーリ(ロータス・ルノー)
14位 ジェローム・ダンブロジオ(ヴァージン・コスワース)

完走16台。ザウバーのセルジオ・ペレスと小林可夢偉は規定違反により失格。


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