【ノスタルジック2デイズ】美しいクルマでレースに出たい!「フェラーリ 308GTB」
「トヨタ2000GT」や「ランボルギーニ・ミウラ」など、日伊のスーパーカーをずらりと並べていた「スクーデリア・ガレリア・スカーラ」。製作途中の黒いフェラーリは、「JCAA (日本クラシックカー協会)」主催のレースに出場することを目指して技術とアイディアを投入した "スペシャル" な「308GTB」である。


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"ピッコロ(小さな)・フェラーリ" とも呼ばれる308GTBは、伝説的な名前を持つ「ディーノ」の後継として1975年のパリ・サロンでデビュー。"ウェッジ・シェイプ(くさび形)" を特徴とする美しいスタイルは、ピニンファリーナ在籍時のレオナルド・フィオラバンティが担当した。
エンジンは2926ccのV型8気筒をミドに横置き。最高出力はヨーロッパ仕様で255psと公表されている。
ごく初期のモデルはFRP製のボディ・パネルを持っていたが、ガレリア・スカーラがクラシックカー・レース参戦を目指して製作中のこの車両はスチール製。しかし、これから各部をカーボン・ファイバー製にすることで「200kgくらい軽くなる」予定だそうで、初期のFRP製(実際には意外と重いらしい)よりずっと軽くなるとのこと。

ワイドなブリスター・フェンダーは、一見ずいぶん幅が拡がっているように見えるが、実は車両全幅は308のオリジナル通り、1,720mmのまま変更なし。308のフェンダーはホイール・アーチ部分にリップ状の膨らみがあるので、それに合わせてフェンダー全体を膨らませたのだという。レースの規則上、オーバー・フェンダーの類は装着が許されていないのだ。

他にもオリジナルの308とは異なるディテールが散見できるが、どれもフェラーリ本来の美しさを崩さずに、より "コンペティショナル" な雰囲気が加味されていて実に魅力的。
例えばリア・フェンダーのスリットやフロント・スポイラーは「288 GTO」を、サイドに開けられたNACAダクトは「F40」を彷彿させるように、モディファイされた部分にはフェラーリの歴史的なモデルからの引用が窺えるからだろう、どこから見ても間違いなく100%フェラーリに見えるのに、実はどのフェラーリとも違うカタチをしているのだ。

それもそのはず、オーナーのM氏は、実は他にも十数台のフェラーリ(とその他にもスーパーカーやレーシングカー)をお持ちのエンスージァスト。市販モデルを手に入れるだけでは「つまらない」からと、これまでにも「F355のドライブ・トレインを308に搭載したオリジナル・フェラーリ」を製作されたことがあるそうだ。

だが、その経験で解ったことが「まず剛性の高い車体を一から作り上げないとダメ」だということ。そこでまず、事故に遭ったフェラーリ328GTBを手に入れ、きちんと修復するという作業に挑戦した。それが隣に置かれている黒い328だ。この328は「各方面から評価していただけた」そうで、「車体の裏側を見てもらえば分かるけれど、新車以上に仕上がっている」という。
これら2台のフェラーリを製作(と言ってよいだろう)した経験から得られたノウハウを元に、今回のクラシックカー・レース用308の製作に臨まれたのだそうだ。

ベース車に308を選んだ理由は、JCAAのレースに参加可能な車両が「1975年までに生産された車両とその同型車」と定められているから。「308なら出られることに気づいた」そうだ。
もっとも、この時代のフェラーリ・ロードカーは、ポルシェ等と比べるとレースにおける戦闘力は決して高いとは言えない。それでもフェラーリで出場すると決めたのは「美しいクルマを走らせたかった」から。「速くて美しいクルマが理想だけれど、まあ、速さに関してはまだこれから」だとか。

オリジナルの308からは、レースの車両規定の範囲内で多くの点が変更されている。
リア・ハッチはCピラーがボディに固定され、カーボン・ファイバー製の独立したエンジン・フードを持つ形状に。テール・ランプ周辺にはメッシュ(金網)が張られ、いわゆる「チャレンジ・グリル」のようになっている。フェラーリがワンメイク・レース用に用意する「チャレンジ」シリーズがこのような仕様になっていることはよく知られるところ。エンジン・ルームの放熱に効果があることから、標準型フェラーリにもこのグリルを付けている人は多い。
ボディは「すべて叩き出し」で形成され、カラーリングはこれから決めるとのこと。いま流行のマット・ブラック(艶消し黒)に見えるが、これは単なる下地処理。
エンジンは「レギュレーションの範囲内で徹底的にやる」そうで、「クランクまでワンオフで作る」そうだ。

レース・デビューは「来年くらいに出られたら」とのことだった。
ライバルはやっぱりポルシェですか?と尋ねると「具体的に車名を挙げちゃうと、目の敵にされちゃうから(笑)」

ガレリア・スカーラのフェラーリが出場するJCCA S75クラスは、ポルシェ911を除けばブルーバードやサバンナGT、フェアレディZなど国産車勢が強い。いずれも現役当時にレースで活躍したモデルばかりだ。対してフェラーリ308GTBは、ラリーにおける戦績は残しているものの、サーキットでの戦いはもっぱらF1に任されていた時代。レースにおけるポテンシャルは未知数...というより正直言って苦戦が予想される。ガレリア・スカーラによるモディファイで、どこまで "戦えるフェラーリ" になるか、楽しみだ。

来年のレース日程は未定だが、例年通りなら春に静岡県の富士スピードウェイで、夏には茨城県の筑波サーキットで開催されるはずだ。
お近くの方はフェラーリの応援にサーキットまで足を運んでみてはいかが?