【東京オートサロン2011】
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「東京オートサロン 2011」のトヨタ・ブースで、隅の方に展示されていたにも拘わらず非常に注目度の高かった謎のスポーツ・カー。その正体は、「欲しいクルマアンケート」で要望の高かった "手頃なスポーツ・カー" を「トヨタ技術会(TES)」の会員たちが実車化したというコンセプトカー「T-SPORTS」だ。先日もお伝えしたが、今回は製作に携わった方々からお聞きした話を中心にご紹介しよう。

トヨタ技術会とは、トヨタ自動車に勤務する社員が任意で加入する団体で、会員の技術・技能の向上と親睦を図り、様々な事業の技術分野において発展に寄与することを目的として1947年に創立された。
その会員の皆さんが、通常業務外の時間を使って作り上げた軽量コンパクトなFRスポーツ・カー、それが「TES CONCEPT T-SPORTS」と名付けられたこのクルマである。

製作のきっかけとなったのは2009年度に行われたトヨタ技術会の「欲しいクルマアンケート」。このとき要望が多かった「手頃なスポーツ・カー」を、自分たちの手で実車化したのだという。
ベースになるようなFRの小型車はトヨタにあっただろうかと思い、製作に携わったトヨタ技術会の方にお話を伺ってみたところ、この車体は、実は既存の3つのモデルを繋ぎ合わせて作られたそうで、フロント部が小型SUVの「キャミ」(「ダイハツ テリオス」のOEM車)、センター部はダイハツのスポーツ軽自動車「コペン」から、そしてリアはFRのスポーツ・セダン「アルテッツァ」のものだそうだ。

エンジンはキャミの1.3リッター直列4気筒をそのまま使い、コペンのキャビンを貫通したドライブ・シャフトが、アルテッツァのディファレンシャル・ギアを介して後輪を駆動するという。
ワイドに張り出したリア・フェンダーは、アルテッツァのトレッドがこれ以上縮められなかったから(デフ・ケースがあるので)。それに合わせ、フロントのトレッドは逆に広げてバランスを取ったという。

外観からはどことなく「ホンダ S2000」辺りを彷彿させるが、トヨタ技術会の方によれば、このクルマの精神的源流はトヨタが昭和40年代に作った傑作小型スポーツ・カー「トヨタ スポーツ800」通称 "ヨタハチ" にあるそうで、フロント・グリルの造形や透明カバーで覆われたヘッド・ライトにヨタハチからの引用が窺える。ランプ類やレンズ類はコペンやアルテッツァのものを組み合わせたものらしい。
室内は、レカロのバケット・シートを別にすれば、ほとんどコペンそのもの。ステアリング・ホイールとシフト・ノブも交換されているようだ。ルーフは固定式。コペンのような開閉式はスペースの問題から不可能だったそうだ。カーボン・ファイバーに見えるドア・ミラーは "カーボン調" の樹脂シートを貼ったもの。ホイールはエンケイの17インチで、215/45R17というサイズのタイヤが装着されていた。

軽量ボディにワイドなトレッドで後輪駆動となれば、さぞや運動性能が高く魅力的な走りを見せるに違いないと期待は膨らむが、この車両は3台のクルマの車体を繋ぎ合わせたという成り立ちから分かるように、そのまま市販化することはまず無理。「剛性とか、一切考えていない」そうだ。実走は可能だが「60km/hくらいしか出していない」とのこと。あくまでも、その目的は「他の量産車から流用したコンポーネントを使って、コンパクトで手頃なスポーツ・カーを作る」というコンセプトの提示にある。

幸いこの現代版トヨタスポーツは、豊田章男社長からも高い評価を得られたという。コンセプトを受け継いだ市販車の登場を願いたい。


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