【東京オートサロン2011】20周年を迎えたホンダ NSXに、純正チューニング・パーツ登場!
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今から20年前、1991年に発売されたホンダのスーパー・スポーツ「NSX」。生産が終了してからすでに6年も経つ今頃になって、ホンダの純正用品メーカー「ホンダアクセス」から「スポーツ・モデューロ」ブランドでチューニング・パーツが登場した。
果たしてその意図は!?

開発責任者の玉村誠氏にお話を伺った。

今回発表された「スポーツ・モデューロ NSX」は、前後5段階減衰力調整機構付きスポーツ・サスペンションとスポーツ・ブレーキ・パッド、そしてカーボン・ファイバー製リア・スポイラーの3点からなる。今年5月末に発売される予定だ。

現在ではホンダアクセスに籍を置く玉村誠氏は、NSXの開発時にはメイン・テスターを務めていらっしゃった方。今回のNSX用パーツは、いわばクルマ本体の生みの親(の一人)が、20年の時を経て再び "我が子" のために用意したもの、と言えるだろう。

スポーツ・サスペンションは、玉村氏が初期型NSXの開発当時、1989年から3年間かけてドイツ・ニュルブルクリンクを走り込んで得たノウハウを生かし、NSXに更に「走り易さ」を追求するというコンセプトで作り上げたものだ。街乗りからサーキットまで滑らかな走りを実現するために、前後とも5段階に減衰力を調整可能とし、スプリングレートは弱アンダーステアになるよう前後バランスが考慮されているという。

玉村氏によると、最初はこのサスペンションだけを発売する計画だったという。
だが、開発を進めていくうちに「走り易さ」を実現するにはどうしてもリア・スポイラーによる空力性能の向上が必要と感じられた。そこで、どうせ作るなら "本物" を、ということで開発されたのがカーボン・ファイバー製の軽量トランク・スポイラーだった。
これは職人が手作業でカーボン・ファイバー繊維を綾織りに敷き詰め、高温・高圧で焼き固めたドライ・カーボン製。製作には35時間から40時間かかるそうだ。NSXに元々装着されているスポイラー(こちらは樹脂製)と比べると、左右両端が高くなっているのが分かる。これによりリアのリフトが安定方向に抑えられたという。手に取ってみると驚くほど軽い。

そしてもう1点、スポーツ・ブレーキ・パッドはホンダアクセスが独自に開発したもので、カーボン・ファイバー複合材を採用することで700度以上のフェード温度を達成している。

玉村氏のお話では、この3点でバランスが取れているので、他のエアロ・パーツ等を作る予定はないそうだ。
対象モデルはノーマルな「NSX」や「NSX TypeS」。「NSX Type R」は車高が合わなくなるので装着不可とのこと。
これらを組めば、(エンジンは別としても)ハンドリングや乗り心地の面ではType Rに負けないNSXになるそうである。

それにしても、なぜ発売から20年も経って、しかもとっくに生産終了しているNSXに、これらのパーツを発売することにしたのだろうか。

玉村氏のお答えはこうだ。

「NSXは "30年乗れるクルマ" として作られました。今でも日本だけで約6千台のNSXが走っています。しかし、これからも長く楽しんでもらうためにはメインテナンスがますます重要になってくる。そこで(メーカー)純正用品で安心して、変化を楽しんでいただくために、今回こういった商品を企画したのです。また、サスペンションやブレーキ・パッドは(消耗品なので)交換需要というのもあると思います」

ちなみに価格はスポーツ・サスペンションが1セット(1台分)で30万円程度、ブレーキ・パッドが4万円程度になるとか。トランク・スポイラーはさすがに値が張り、70~80万円だそうだ。

最後に、少々不躾な質問をさせていただいた。

本当はNSXも、ポルシェ911のようにずっと作り続け、進化させていきたかったという気持ちはないですか?

「NSXはあれで完成していたのです。排ガス環境規制に適合しないという理由で生産は終わったわけですが、そういうのにまで適応させようと色々やっていけば、(当初の)バランスが崩れ、別物になってしまう。だから、(あのNSXを)作り続けるよりは、今の時代(の環境規制等)に適合した新しいクルマを一から作った方がいいと考えます。それは、ハイブリッドになるとか色々言われていますが(笑)どうなるか知りませんけど、別の人たちがやること」

ブースにはホンダの伊東孝伸社長も訪れ、玉村氏を激励する様子が見られた。伊東社長はNSXのオール・アルミ・ボディを開発した人物、"生みの親" の一人である。

時代の要求とは別のところで、進化を遂げた "2011年型 NSX"。それがスポーツ・モデューロ NSXだと言えるだろう。
これも幸せなスポーツ・カーの姿ではあるまいか。


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