【東京オートサロン2011】「日産 ニスモ GT-R RC」開発者たちのトーク・ショー!
日産 ニスモ GT-R RC トーク・ショーの様子は上の画像をクリック

「東京オートサロン 2011 with NAPAC」の日産ブースでは、「ニスモ GT-R RC」の発表に際し、開発に携わったレーシング・ドライバーの影山正美選手とニスモ商品開発部ゼネラル・マネージャーの岡村潤平氏によるトーク・ショーが行われた。

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岡村氏によると「GT-R RC」の"RC"とは、"Racing Competition" の略で、名前の通りレース専用車として開発されたことを表す。

実際のレース参戦によって開発は進められたわけだが、その最初は2009年に開催された「十勝24時間レース」。このとき、昨年の「東京オートサロン 2010」に展示された「GT-R クラブスポーツ・パッケージ」の耐久信頼性の確認と同時に、GT-R RCの開発にも着手していたという。岡村氏によれば「量産車ベースのレーシング・カーを開発するにあたって必要なデータをこのレースを通じて蓄積した」そうだ。

このデータを基にさらなる開発が進められ、「ある程度、商品化の目処が立ったというところで、確認の場として」2010年、富士スピードウェイで開催された「スーパー耐久」に参戦。これら両方のレースで目標としていた走行距離の達成と完走という結果を残したという。

2つのレースに契約ドライバーとして出場した影山選手によると、実際のレースにおけるテストは「温度管理やブレーキなどの"厳しい"部分が本当にもつのかどうか」、また「周り(のマシン)のタイムと比較しながらどこが速く、どこが遅いか」などを確認できる重要な場であるという。

こうして完成・発売に漕ぎ着けたニスモ GT-R RCだが、具体的な仕様については、岡村氏によると公道用GT-Rと比べて「速くなる改造はそんなにやってない」とのこと。エンジン、トランスミッションとも「まったくのノーマル」で、「一部制御系とエキゾーストをちょっと変えてある程度」だそうだ。
では、どこがGT-R RCは改造されているのかといえば、それは「主にブレーキの冷却も含めた冷熱系の性能向上を、かなり一生懸命やっている」そうだ。これは日本だけでなく世界中で販売されるGT-R RCだから「暑い国で行われるレースのことも考慮」しなければならなく、また「レース特有のスリップ(ストリーム)に入るときなど、冷却系の性能が落ちてしまうことも想定しなければならない」からだ。

他には、スリックタイヤの装着に合わせて「サスペンションをセットアップ」したり、また外観に関して最も特徴的なのは巨大なリア・ウイングだが、これはユーザーが走行する「コースの特性に合わせてある程度セッティングの幅が持てるように」付けたそうだ。

影山選手によればこのGT-R RC、「(2ペダルとパドル・シフトという)操作系は街乗りのGT-Rと一緒」なので「メチャメチャ楽」だという。これまで十勝24時間レースで走らせたクルマの中でも「一番楽でした」とのこと。このレースで影山選手は「5時間乗せられた」そうだが、逆に言えば「5時間乗れるクルマになっているということ」でもあるそうだ。

岡村氏によれば、そもそもこのGT-R RCを開発した契機は、「(ノーマルのGT-Rをグローバルに販売している中で)このクルマでレースに出たいというお客様がもう、世界中にたくさんいらっしゃる」からだという。
これまでは、GT-Rでレースに出ようと思ったら、ディーラーでクルマを買って自分でレース仕様に改造したり、またはレース・ガレージにクルマを持ち込み改造してもらうしかなく、「それなりにお金が掛かる」し、ユーザー自身で開発しなければなないから「クルマの性能もなかなか発揮しづらい」状態だった。
そこで、開発の部分は「ニスモが代表して行い」、しかも最初からレース仕様を想定しているため「無駄を省いたクルマ作りをしているので安く提供」できるようにした。それがニスモ GT-R RCなのだ。
「(税別なら)2千万円を切る、1,980万円」という価格も、「かなり頑張って抑えた設定」だとか(税込みでは2,079万円)。
レースで使うためには不可欠な「サービス体制も含めてきちんとしたものを用意している」とのことで「安心して乗っていただける」クルマになっているという。

拍手に包まれてトーク・ショーは終了。ニスモ GT-R RCの周りには人だかりが絶えなかった。


この日産 ニスモ GT-R RCと同じように、レース専用車両として製作・販売されているクルマとしては、例えばポルシェには「911 GT3 RSR」がある。このレース用911の価格は、2011年モデルで41万ユーロ(約4,500万円)。GT-R RCの倍以上にもなる。これはちょうど、公道用量産スポーツ・カーの分野における「日産GT-R」と「ポルシェ911ターボ」の価格差に近い。
つまり、日産 GT-Rが性能のわりにライバル達と比べて破格に値段が安いのと同様、ニスモ GT-R RCの価格も「抑えた設定」なのは本当のことだ。

あと911にあってGT-Rに足りないもの、それはサーキットでの「実績」。日本では無敵を誇ったこともある "GT-R" の名前も、世界にその名が轟くようになるのはまだまだこれからだ。
その過程を、楽しみに観ていこうではないか。