スバル、カーボン・ファイバー製ルーフを採用した限定モデルの発売を決定!
富士重工業は、「スバル インプレッサWRX STI」のルーフに炭素繊維複合材(CFRP)を採用したコンプリート・カーを12月下旬に発売すると発表。このルーフは東レと共同開発したもので、「カーボンルーフ」と名付けられている。
東京モーターショー2009に参考出品されていた、あのインプレッサの市販化が決まったのだ。

一般的に「カーボン・ファイバー」と呼ばれる炭素繊維複合材は、重量が一般的なスチールの約1/5と非常に軽く、また強度と剛性が高いことから、自動車の世界ではレーシングカーやスーパー・スポーツカーのボディ等でお馴染みの材料だ。
とはいえ素材自体が非常に高価であり、製造もほとんど手作業となる上、他の素材(例えばスチール)で造られた部材との結合部設計に高い技術が必要。量産車に採用することは難しかった。

今回発表されたスバルのカーボンルーフは、富士重工業の航空機部門である航空宇宙カンパニーが持つ設計ノウハウを生かし、また製造技術に優れる東レとの共同開発によって実用化に到ったという。
例えばこのカーボンルーフは、F1のモノコックなどを製造する際に使われるオートクレーブ成形ではなく、東レの製造技術であるVaRTM(真空樹脂含浸製造法)という工法で製造されている。これは最近ではヨーロッパの高級スポーツカーで多く用いられている成形法で、高価な加圧炉(オートクレーブ)を必要としないため、設備投資が低く抑えられることが特長だ。

クルマの中で最も高い位置にある重量物は、言うまでもなくルーフ(屋根)である。これを軽量なカーボン・ファイバー製に置き換えれば、重心が下がり、ロール慣性モーメントが低減する。その結果、コーナリング性能や回頭性の向上が期待できるという。

このカーボンルーフを持つインプレッサは、スバルのスポーツ部門STI製のコンプリート・カー「WRX STI tS」「WRX STI A-Line tS」として12月下旬に発売が予定されている。
"A-Line"の名前もあるということは、AT仕様も用意されるらしい。2ペダル派には嬉しい計らいだろう。現在先行予約キャンペーンを実施中で、12月21日までに成約すれば「専用tSカーボンキーホルダー」がプレゼントされる。


今までは高価なアフター・パーツとして、ボンネットやエアロ・パーツなどに使われていたカーボン・ファイバー。量産車のボディ(の一部)として採用が進めば、問題になるのは修復とリサイクルだろう。
事故によって強い衝撃を受けた場合、カーボン製パーツは金属のように変形することなく破損する。修復するには全交換しかなく、費用は高くつきそうだ(継ぎ当てすることも出来るが、最大のメリットである軽量性が損なわれる)。
また、カーボン・ファイバー素材はリサイクルが難しく、廃棄処分のコストが高い。このため自動車メーカーのトップの中には、カーボン・ファイバーの利用に消極的な意見を持つ人もいる。
稀少な限定車なら大事に長く乗り続けたいものだが、10年20年と経てばカーボン製パーツは寿命も気になる。中古市場に出回ったときに、クラックなどのダメージは目視では判断が難しい。

製造上のコストが低く抑えられるようになっても、一般的な量産車に採用するためにはまだまだ問題がある以上、当面は今回のスバルのように数量限定車への使用に留まるのではないだろうか。
通常生産のインプレッサには採用されることはなさそうだから、走りに拘るスバリストならこの機会は見逃せないかも。

詳細はまだ未発表だが、公式サイトは以下のリンクからどうぞ。

STI - WRX STI tS