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富士重工業は19日、新型コンパクトカー「スバル トレジア」を発売した。これは提携関係にあるトヨタからOEM供給を受ける最初のモデルで、トヨタが22日に発売した「ラクティス」がベースになっている。

スバル トレジアは、全長4m以下のコンパクトなボディでありながら、「ゆとりの室内空間」と「扱いやすいユーティリティ」を備えるという。これをスバルでは「ワゴンテイスト」と表現している。ちなみにトヨタは、ラクティスを「イマドキ家族」というコピーでファミリー向けコンパクトカーとしてアピール。「ワゴン」という言葉は一切使っていない。

外観上でトレジアとラクティスが異なるのは、ヘッドライト、バンパー、グリル、ボンネットなどのフロントまわりをはじめ、リア・ハッチゲートに付くガーニッシュやテール・レンズなど。フロント・マスクはスバルの六連星エンブレムを中心に、グリルの左右両端に向かって延びるクロム・メッキのガーニッシュが付き、他のスバル車と共通性を感じさせるデザインになっている。ブルー・メタリックに塗られた車両は一層スバルらしく見えるが、実はボディ・カラーはトヨタ ラクティスと色名まで共通だ(1色少ないが)。

パワー・トレインもラクティスと変わらず。エンジンはダイハツ製1.3リッター(1329cc)1NR-FE型と、トヨタ製1.5リッター(1496cc)の1NZ-FE型という2種類の直列4気筒DOHCユニットを用意。どちらも10・15モード燃費20.0km/リッターを達成した。トランスミッションは全車CVT(自動無段変速機)となるが、1.5リッター車には「SPORTモード」と呼ばれる7速マニュアルモードが搭載されている。

グレード構成はベーシックな「1.3i」「1.5i」から、キーレス・アクセスやフルオート・エアコンなどが付きステアリング・ホイールとシフト・ノブが本革巻となる快適仕様の「1.3i-L」「1.5i-L」、それらに加えてHIDヘッドランプとサイドシル・スポイラー、アルミ・ホイールを装備したスポーティな外観の「1.3i-S」「1.5i-S」、さらに専用サスペンションの採用で "走り" が愉しめるという「1.5i TYPE EURO」まで。「1.5i-L」にはパノラミック・ガラスルーフ装着車の「Panorama」も設定されている。
「TYPE EURO」と「Panorama」以外の1.5リッター・モデルでは4輪駆動(スバルでは他のモデル同様AWDと呼ぶ)も選択可能だ。
また、ラクティスにはないトレジアだけの美点として、1.3i/1.5iを除く全車に付くステアリングのテレスコピック(前後位置調整機構)が挙げられる。
価格は1.3iの142万8,000円から1.5i-S AWDの197万9,250円まで。

中でも注目グレードは、ヨーロッパの過酷な路面状況にも耐えられるように鍛え上げたという足回りを持つ「1.5i TYPE EURO」だろう。専用のサスペンションはスプリングのバネ定数やスタビライザー径変更などのチューニングが施され、ロールを適度に抑制することでスポーティで安定感のある操縦安定性を実現したという。専用デザインのアルミ・ホイールが履くタイヤも185/60R16と、他のタイプ(175/60R16)より太くなる。リアにディスク・ブレーキを装備するのもこのグレードだけだ。
内装にはオレンジ色のスティッチが施され、メーター・パネルも専用デザイン。また、このTYPE EUROのみが、VDCと呼ばれるスタビリティ・コントロールとトラクション・コントロールをオプション装着できる(SRSサイド・エアバッグ+SRSカーテン・エアバッグとのセット装着)。

スバルらしい "走り" を追求したグレードのように思えるが、これも実はトヨタ ラクティスの「S」というグレードとほぼ同一のようだ。オレンジ色のスティッチやアルミ・ホイールのデザインも一緒。ただし、トヨタではこの専用サスペンションについて、アブソーバーや電動パワーステアリング制御までヨーロッパの道を走ってチューニングしたとしている。スバルの方が控えめに語っているのはこれがトヨタ先導のチューンだからであろうか。ラクティス Sはトレジア 1.5i TYPE EUROよりも3万4,650円ほど価格は安いが、トレジアにはHIDヘッドランプが標準装備されている(ラクティスは4万7,250円のオプション)。


2005年10月、トヨタ自動車は富士重工業の筆頭株主となり、両社は資本・業務提携で合意したと発表。2008年4月には富士重が軽自動車の自社開発・生産から撤退し、ダイハツから軽自動車の、トヨタから小型車のOEM供給を受けることが発表された。このスバル トレジアとトヨタ ラクティスは、両社で販売されることを前提として作られた最初のモデルである。製造はトヨタだが、開発にはスバルのエンジニアも参加したそうだ。

スバルのクルマには、「スバリスト」と呼ばれる人たちが存在するほど熱心なファンが多い。例えば「レガシィ」や「インプレッサ」を愛用していた彼らが、諸般の事情でより小さなクルマに乗り換えることになったとき、トレジアはその受け皿となることが出来るだろうか。
それは言い換えれば、トヨタ製トレジアの中に、果たしてどれだけ "スバル" が入っているか、ということでもある。
今後、両社の提携によって生まれるクルマたちを占う意味でも注目される。



スバル トレジアの詳細は公式サイトの以下のページから。

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