S.ベッテル、最年少記録更新でF1世界チャンピオンに輝く!
Image: Ben Curtis,/AP
2010年F1最終戦アブダビGPで、優勝したセバスチャン・ベッテルがワールド・チャンピオンに輝いた。所属するレッドブル・チームは前戦ブラジルGPでコンストラクターズ・チャンピオンに決定しており、これで両タイトル獲得となった。

セバスチャン・ベッテルは1987年7月3日、ドイツのヘッペンハイムで生まれた。23歳と134日でのチャンピオン獲得はF1史上最年少記録。19歳のときにF1デビューを果たしてから、初入賞や初優勝などにおいて数々の最年少記録を塗り替えてきた。

これまで多くのチャンピオン・マシンを手掛けたことで知られるエイドリアン・ニューウェイがデザインしたレッドブルRB6は、シーズン最初から高いパフォーマンスを見せ、チームのドライバーが2人とも最終戦までチャンピオン候補となっていた。
前戦ブラジルGPが終わってドライバーズ・ポイントをリードしていたのはフェラーリのフェルナンド・アロンソ。8ポイント差でレッドブルのマーク・ウェバーが続き、ベッテルは3位だった。
ベッテルがチャンピオンを獲得するためにはアブダビGPで優勝することがほぼ絶対条件であり、これに対しアロンソは、ベッテルが優勝してもウェバーの前で4位以内にフィニィッシュすればチャンピオン決定という状況だった。

前日の予選ではベッテルが今年10回目のポール・ポジションを獲得。アロンソはもくろみ通りウェバーを押さえて3位、ウェバーは5位に沈んだ。このままの順位でゴールすればアロンソがチャンピオンになれるというスターティング・グリッドだ。

決勝ではまずスタートでアロンソが4位に後退。これですでにチャンピオン獲得の「最低必要条件」状態となる。
その直後、ミハエル・シューマッハが単独でスピン。そこにヴィッタントニオ・リウッツィが激突してセイフティ・カーが導入され、その間にルノーのヴィタリー・ペトロフをはじめ何人かのドライバーがピットに入る。
ウェバーは12周目にタイヤ交換のためピットイン。これに合わせるように、アロンソも16周目という早い段階でピットに入った。
ところがピットアウトしてみると、ウェバーの前には戻れたが、セイフティ・カー導入時にタイヤ交換を済ませたペトロフの後ろという位置になり、ストレートが速いルノーのマシンをアロンソが抜くことができない。
これを尻目にベッテルはスタートからトップを快走。マシン・トラブルもミスもなく、今年5回目となる1位でチェッカー・フラッグを受ける。
しばらくしてアロンソがペトロフに押さえられたまま7位でゴールするのを確認すると、レッドブルのチーム・スタッフとベッテルは歓喜の声を上げた。史上最年少チャンピオン誕生の瞬間だ。

アロンソがあれほど早くピットに入らず、後続車とのギャップを充分に築いてからピットインすれば、ペトロフを含む何人かのドライバーの前で戻れた可能性があり、ベッテルが優勝してもチャンピオン獲得となる4位以内でゴールできたかも知れない。守りに入ったフェラーリ陣営はウェバーだけを意識し過ぎたようだ。これに対してもはや優勝するしかないベッテルはシンプルに、そして確実に自分のやるべきことをやり、あとは天命を待った。

シーズン中、終始圧倒的な "速さ" を見せながら、時に "脆さ" も露呈したベッテルとレッドブル。マシンの性能は劣っていたがドライバーとしての "強さ" でチャンピオンまであと一歩と迫ったアロンソとフェラーリ。最速マシンに乗りながらシーズン終盤で "弱さ" を見せてしまったウェバー。チャンピオン争いが最終戦まで縺れたのは、それぞれが完璧ではなく、弱点を抱えていたからとも言える。

来年はフェラーリがアロンソに応えて速いマシンを造り上げるか。それともチャンピオンとなったベッテルがタフな強さも身に付けるか。あるいはマクラーレンや他のチームが彼らを凌ぐマシンの開発に成功するか。
今年8レースでポイントを獲得したのみならず、コース上で数々のバトルを演じて我々を楽しませてくれた小林可夢偉の活躍も含め、来シーズンの開幕が今から楽しみである。