「アイルトン・セナ メモリアルブース」に展示された最強F1マシン!
「モータースポーツジャパン・フェスティバル」の会場には、16年前にレース中の事故でこの世を去ったレーシング・ドライバー、アイルトン・セナを偲ぶメモリアルブースが設置され、セナが実際にドライブした「マクラーレン・ホンダ MP4/4」をはじめヘルメットやレーシング・スーツなどの展示が行われた。

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これはアイルトン・セナ生誕50周年を記念して製作された初のオフィシャル・ドキュメンタリー映画『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』の公開を記念し、ホンダが全面協力することで実現した企画。ブースには大勢のファンが次々に訪れ、天才ドライバーと言われたセナの神業的なドライビング・テクニックを思い出しているかのように、熱心にマシンやヘルメットを見つめていた。

マクラーレン・ホンダ MP4/4は、1988年シーズンに全16戦中15勝を挙げるほどの圧倒的な強さで、アイルトン・セナに初の世界チャンピオンをもたらしたマシンだ。
前年にウイリアムズと組んでコンストラクターズ・タイトルを獲得したホンダは、この年マクラーレンに供給先をスイッチ。同時に "ホンダの二軍" 的チームで2勝した(ランキング3位)新進気鋭の若手ドライバー、アイルトン・セナがロータスから移籍して来る。ここで初めて「マクラーレン−ホンダ−セナ」の組み合わせが誕生。このトリオはその後1990年、1991年と合わせて3度の世界チャンピオンに輝く。

MP4/4が搭載するエンジン「ホンダRA168E」は、排気量1494ccのV型6気筒。IHI製ターボが2基装着され、最大出力は "公称" 685馬力を発生した。
この頃のホンダF1ターボ・エンジンは、技術的には "1ccあたり1馬力" も実現できるほどだったと言われている。実際のレースでは、搭載する燃料でゴールまで走り切らなければならないため、パワーを絞るという "エコドライブ" を強いられることもあった。

このホンダ・パワーと、ゴードン・マーレーがスティーブ・ニコルズと共に設計した低重心シャシーを持つMP4/4は、アイルトン・セナとアラン・プロストという2人の一流ドライバーを擁したこともあり、優勝15回、ポール・ポジション獲得15回、ワン・ツー・フィニッシュ10回、総獲得ポイントは2位のフェラーリに3倍以上もの差を付ける199点という記録を打ち立てる。

ところが、あまりに強かったホンダ・ターボ・エンジンは主催者側から実質的な "閉め出し" を喰い、規定変更によりF1世界選手権は1989年からターボ禁止・自然吸気エンジンのみ参戦可能となってしまった。
F1の世界にターボを持ち込んだメーカーはルノーだが、ターボを追いやったのは皮肉なことに最強ターボ・エンジンを作ったホンダなのである。

今回の会場に展示されていたマクラーレン・ホンダ MP4/4を見ると、現代のF1と違って細かな空力的付加物のないシンプルな姿が印象的。タイヤの太さも車体の幅も、現在の規定より広いので、「F1はこの頃の方がカッコ良かった」と思うファンがいても、あながちそれはノスタルジーのためだけとは言えないだろう。

お馴染みのブラジル国旗カラーで塗られたヘルメットには、跳ね石による無数の傷が生々しい。バイザーに "91" とサインが描かれていることから分かる通り、MP4/4に乗っていた88年よりも後に使用していたもので、ホンダの純正用品メーカー「ホンダアクセス」が製作したRHEOSブランドのもの。セナの厳しい要求に応え、驚異的な軽さを実現していたという。

なお、映画『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』は10月8日より全国で上映される。日本が世界中で最も早い公開となるそうだ。
上映劇場など詳しい情報は以下の公式サイトから。

『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』公式サイト