【東京コンクール・デレガンス2010】12気筒ミドシップ!「フェラーリ 365GT4BB」
先月開催された「東京コンクール・デレガンス」には、60年代から70年代にかけて登場した歴代の12気筒フェラーリが3台出展されていた。それはフェラーリ・ロードカーの歴史において、短期間の内に最も大きく変革した頃のモデルたちであると言えるだろう。
「 365GTB/4」に続いて登場したのはいよいよ12気筒をミドに積むことになった「フェラーリ 365GT4BB」である。

Related Gallery:

フェラーリ初の公道用ベルリネッタ「275GTB/4」。大きくデザインがモダナイズされた「365GTB/4」"デイトナ"。それらに続いてフェラーリが発表した12気筒ロード・カーは、そのエンジンをミドシップ・マウントした「365GT4BB」だった。

車名の "365" はフェラーリの通例通り、エンジン1気筒あたりの排気量を表す。つまり先代モデル「365GTB/4」と変わらず総排気量は4390cc。ただしそのバンク角は180度まで開き、トランスミッションとディファレンシャル・ギアの上に重ねた2階建て構造とした。「BB」の名前は「ベルリネッタ・ボクサー」の略で、つまり水平対向(ボクサー)エンジンを搭載したベルリネッタ(2座クーペ)ということである。
ただしフェラーリ自身も公式サイトで明記しているように、365GT4BBの水平対向エンジンは左右のバンクでピストンが同位相である(クランクピンを共有する)ため、実際には「ボクサー・エンジン」ではなくバンク角180度のV型だ。

それまでのフロント・エンジンに別れを告げ、12気筒をミドに搭載したのは純粋に運動性能を上げるための設計というより、むしろ市場からの要求に応えた結果であると言われている。
365GT4BBのプロトタイプが発表されたのは1971年のトリノ・ショー(ピニンファリーナのブースだった)。この頃、ライバルのランボルギーニでは12気筒エンジンをミドに積む「ミウラ」をすでに販売しており、フェラーリでもレーシング・スポーツカーの世界ではミドシップが当たり前、顧客はレーシング・カーに近いクルマを公道で乗り回したいからスーパーカーを買うわけで、「330P4」や「512S」のような、12気筒ミドシップのフェラーリ・ロードカーが求められたのは当然だろう。
これに応える形でフェラーリ(と1969年よりフェラーリのロードカー部門を傘下に収めるフィアット)が、世に送り出したのがこの "BB" だ。

最高速度300km/hを狙った空力的ボディのスタイリングは、 "デイトナ" 同様ピニンファリーナのチーフ・デザイナー、レオナルド・フィオラバンティによるもの。前後に大きく開くワン・ピース構造のカウルはアルミニウム製で非常に軽く、1300kg以下という車両重量を実現している。
標準設定のボディ・カラーでは下半分がサテン・ブラックで塗り分けられ、このカラーリングは「ボクサー・フィニッシュ」として他のモデルでもオプション設定された。

1973年に発売された365GT4BBは、76年に排気量を拡大した「512BB」へと発展。そして水平対向12気筒をミド・マウントという基本は不変のまま、84年には「テスタロッサ」へとフル・モデルチェンジし、91年に「512TR」、94年に「F512 M」へと進化を続けた。

"BB" シリーズの中でも最初の365GT4BBは、生産台数387台と最も数が少ない。
今回出展されていた車両はその中の1台で、1975年に製造されたものである。