【SIS】フランス生まれの小さなEVトラック「メガ・ヴィークル」
「SIS東京スペシャルインポートカーショー2010」に出展されている車両はスーパーカーや高級車ばかりではない。「メガ・ヴィークル」というクルマもその中の1台。見た目は単なる小型商用バンのようだが、実はフランスから来た電気自動車なのである。

Related Gallery:

製造しているのは1983年創業の「エクサム-メガ」社。年間1万5,000台のクルマをヨーロッパはもとより北米にまで輸出しているという。
このメーカーの主な製品は、ヨーロッパでは無免許で乗れる「クワドシクル」という車両。日本語訳すれば「四輪自転車」だ。日本にも「ミニカー」という排気量50cc以下の車両が存在するが、彼の国では400cc以下、最高速度45km/hまでと決まっているそうだ。「メガ・ヴィークル」もそのクワドシクルに分類される。
"原動機" にはモーターとディーゼルの2種類があり、どちらも環境性能が高いことが自慢だ。
車体はアルミ製ラダー・フレームに、樹脂製のボディが載っている。着色されたドアは、ウレタン樹脂というスーツケースなどによく使われる素材だとか。面白いのは車体後部で、写真にあるバン・タイプからピックアップ・トラック、さらには小型ダンプ・カーまで、架装される荷台に様々なバリエーションがあるのだ。

「アベイユ」はこのクルマを日本に輸入するために「エクサム・メガ・オートモビル・ジャパン」を設立。日本の法規に合わせて車両を改良し、決められた試験をパスするために現在も奮闘中だ。

当初はこのディーゼル・エンジン搭載モデルを輸入しようと考えていたらしい。それはこのエンジンが日本のクボタ製であることから、国内で整備・修理等が容易だと考えられるためだ。
だが日本の "ディーゼルに対する壁" は厚かった。10月から検査方法が変わりさらに厳しくなるため、排ガスと騒音の問題をクリアするのが非常に難しいということが分かった。「やってやれないことはなさそうなのだが、取り敢えず(ディーゼルは)後回しにして、資金と時間を電気自動車の方に注入することに決めた」という。
しかし、電気自動車仕様の方も、日本の安全基準に満たない部分を対策するために「かなり苦労している」とか。
発売は年内を目指しているそうだが、まだ現時点では未定だ。

発売に漕ぎ着けた暁には、価格は310万円ほどになりそうだが、助成金によって実質負担額は240~250万円程度になる見込みとのこと。
日本向けには、AGM社製の鉛密閉式バッテリー12Vを12個と定格出力4kWのDCモーターを搭載する仕様が選ばれ、8~10時間の充電で航続距離は60km弱だとか。
写真のバン・タイプの状態では日本の軽自動車の規格をわずかにオーバーしてしまうため、フランスからは後ろ半分をシャシーの状態で輸入し、日本で荷室を架装することを考えているそうだ。

最初は都市部における "ユニークな商用車" としての利用を想定していたようだが、地方の展示会に出品してみたら思いのほか評判がよかったという。全国で販売していくとなると、気になるのは地方でのメインテナンス。スズキやダイハツの販売店に頼むのかと思いきや「自動車ではなく、モーターを扱い慣れたところにお願いしようと思っている」とのことだった。車体に関しては特に複雑なところがないので、パーツの供給さえしっかりしていればどこでも修理は可能だろう。

また、日本で乗るにはどうしても必須となるエアコンについて訊いてみたところ、クーラーは電気で何とかなりそうだが、大変なのは暖房の方らしい。苦肉の策として「燃焼式ヒーターを使うしかないかも知れない」とのことだった。CO2を出さずに走れるのに、暖を取るために "燃料を使う" というのも「どうかとは思うのですが」と輸入元の方は苦笑するが、今のところ他に方法はないようだ。あとは人間がエコのために寒さを我慢できるかどうか、である。
もちろん、内燃機関によってクルマを動かすことに比べたら、身体を暖めるために使用する化石燃料は(排出するCO2も)わずかな量で済むはずだが。

国産の軽トラックよりも愛嬌のあるカタチはなかなか魅力的。その上、地球に優しくランニング・コストも安いとなれば、欲しいと思う人はいるだろう。
気になるのは、三菱 i-MiEVとの棲み分けだ。確かにメガ・ヴィークルの方が価格は安いが、それで性能と品質の差は埋められるだろうか。
あとは自由に使える後部スペースにどれだけの価値を見出せるかということになるだろう。

"フランス製電気軽トラ" の闘いは、まだまだ続きそうだ。