今回ご紹介する「X-BOW(クロスボウ)」は、オーストリアのオートバイ・メーカー「KTM」が初めて開発した4輪車だ。

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カーボン・モノコックから成る車体は、F1をはじめとするレーシングカーの設計で有名な「ダラーラ」との共同開発。プッシュロッド式のフロント・サスペンションにおいては、ダンパーが前上方に寝かされている様子が見え、まるでレーシングカーのようだ。ミドに横置きされたエンジンはアウディ製1984cc直列4気筒直噴ターボ。240psの最高出力と31.4kgmの最大トルクを発生する。車両重量は最もベーシックな「ストリート」というモデルでもわずか790kgに過ぎないから、0-100km/h加速は約3.9秒とスーパー・スポーツカー並み。もっとも、最高速度を追求したボディ形状ではないことはご覧になればお解りの通り。こちらは217km/hにとどまる。
空力的に自慢なのはトップ・スピードよりもむしろダウンフォースの方だ。100km/h走行時で48kg、200km/h走行時には193kgにも達し、この数値は他のスーパー・スポーツカーの約3倍にもなるという。ダラーラの技術力と風洞実験がもたらした成果である。

日本の正規輸入総代理店「ズーム」の方にお話を伺った。

ロータスやケータハムなどイギリスのライバルと比べて、このX-BOWの特長は?
「(作りが)よく出来ているということ。ドイツ車に近い。(ドイツ車に)乗っている人は分かると思うけれど」

走ったときの具体的な違いは?
「ロータスなんかは車体を捻りながらコーナーを曲がる感じ。X-BOWは(カーボン・シャシーだから)もっと堅くしっかりしていて、そのまま曲がる。これはどっちがいいとか悪いとかじゃないけど」

ウインド・スクリーンや幌はないから、ヘルメットは必須?
「なくても乗れるけれど、被ることをお奨めします。跳石はもちろんだけど、周囲の視線を遮るのに有効だから(笑)。ドライビングに集中できるでしょ」

これを買う人は、スーパー・セヴンなどに飽き足らなくなった人が多い?
「いや、そういうわけでもない。見た目は凄いけれど、(X-BOWの方が)普通に乗れます。後からケータハムに乗ると怖いよ。身体が剥きだしになっているから。X-BOWは(ウインド・スクリーンも屋根もないけれど)肩の辺りまで守られているので、安心感がある」

ほとんどサーキット向け、というわけでもないのですね?
「街乗りは苦にならない。渋滞だって平気です。アウディのエンジンだから。「ラディカル」ってご存じ?あれなんかサーキット90%:公道10%って感じだけど、X-BOWは50(%):50(%)」

購入後のメインテナンスは?
「全国に協力工場があるので心配はいらない。部品は全てウチ(ズーム)が供給する。電子制御されたところがほとんどないので、町工場でも整備できる」

価格はベース・モデルとなる「X-BOW "ストリート"」の880万円から。展示車はカーボン・ファイバー製ボディ・パネルを装着した「X-BOW "スーパーライト"」で1,388万円。パワー・トレインは全グレード共通だが、「ストリート」ではLSDやセンターロック式ホイールがオプションとなる。なお、いかにも軽そうな「スーパーライト」だが、実は同等の装備なら車重は10kg程度しか違わないそうだ。

確かに「見た目は凄い」けれど、エンジンもギアボックスも普通の乗用車からの流用だから、オートバイのそれを使う「ラディカル」に比べれば、走らせるだけなら簡単そうだ。全長は3,738mmとコンパクトだが、1,920mmの全幅に多少気を使うかも知れない。エアコンは当然ないけれどオート・ヒーターが標準で装備される。

ドアも屋根も(幌の類も)ないのは、これがオートバイ・メーカーの作った乗り物だと思えば納得いく。つまり、これは4輪のオートバイ、「4輪のKTM」なのである。