時代より20年進んでいたフランス車「シトロエン DS」
先日SPOON S2000をご紹介した際に、隣りに写っていたシトロエンDSについてコメントをいただいたので、改めてこの独創的なフランス車の画像をお見せしたいと思う。

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1955年のパリサロンで発表されたシトロエンDSは、宇宙船にも例えられる未来的な流線型のスタイルと、油圧によってサスペンション、ギアボックス、ステアリング、ブレーキを制御する「ハイドロニューマティック・システム」という独創的なメカニズムで、当時の人々の度肝を抜いた。この「革新的なクルマ」の魅力を瞬時に理解した人は多かったようで、発表してからわずか15分で743件の注文が入り、発表の初日だけで受注は1万2千件にも達したという。
当時のジャーナリストたちは「時代より20年進んだクルマ」と書いたが、実際にDSは発表から20年後の1975年まで生産され、145万5,746台が世に出た。
フランスでは、シャルル・ド・ゴール大統領の公用車に採用される一方で、タクシーや救急車としても使われていた。ハイドロニューマティックによる乗り心地は、大統領から一般市民や患者にまで平等に優しかった。
また、前輪駆動のトラクションを武器にラリーでも活躍。 "雪のモンテカルロ" や "砂のモロッコ" などで好成績を残している。

シトロエンDSは数々の映画にも登場しているが、それは同時代の作品のみならず、後年になって撮影された当時のフランスを舞台とする作品の中で、その時代を映す象徴的な存在として使われることも多い。
日本でも今井美樹さんのミュージック・クリップに登場したことから、一部の人たちの間で人気が高まり、CMや雑誌の写真などで目にする機会が増した。

現在、「ハイドロニューマティック・システム」は「ハイドラクティブⅢプラス」へと進化。現行車のC5とC6がこれを採用し、プジョーとコンポーネントを共用する(せざるをえなくなった)今でも、シトロエンのアイデンティティを守り続けている。

写真のDSはガラスカバーで覆われた4灯ヘッドライトを持つ後期型(1967年以降)モデル。ギリシャ神話に登場する女神「パラス」の名が付いた豪華仕様だ。
特徴的なリアフェンダーから覗いているはずのタイヤとホイールが草に隠れてほとんど見えず、自動車としては甚だ浮世離れした姿となっている。クルマ以外の何か別の乗り物のようでもある。
それは確かに、50年前の人々が思い描いた「宇宙船」のように見えなくもない。

動力性能を声高に誇れるような時代でなくなった今こそ、DSのような "乗り心地の官能性能" を追求し、"明るい未来を感じさせてくれるクルマ" の登場が求められているのではないだろうか。
そしてそれは発表当日に注文が殺到するほど、人々にとって魅力的なクルマでなくてはならないはずである。


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