次にご紹介するのは、「オールドボーイ」の社長が個人的に所有している「ジャガーEタイプ」。美しいブルー・メタリックの塗装と、オーナーの好みを反映した大胆なモディファイに目を奪われる。

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1950年代に5回のル・マン24時間レース制覇を成し遂げたジャガーが、その優勝マシン「Cタイプ」や「Dタイプ」のイメージとテクノロジーを反映させるべく作り上げた市販車がこちらの「Eタイプ」だ。
1961年に発売されると、その流線美を描くスタイルとレースカー譲りの高性能、そしてアストン・マーティンDB4やメルセデスSLの半額以下という価格で、とりわけアメリカで人気を博した。当初は輸出向けにのみ生産され、イギリス本国で買えるようになったのはしばらく後のことだったという。
空力を意識したボディのデザインは後のスポーツカーに多大な影響を与え(トヨタ2000GTもその1つだ)、あのエンツォ・フェラーリに「今まで作られた中で最も美しいクルマ」と言わしめた。
「シリーズ1」と呼ばれる初期のモデルは、ロードスター(OTS=オープン・ツーシーター)とクーペ(FHC=フィクスド・ヘッド・クーペ)の2種類のボディに3.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載していたが、64年に排気量を4.2リッターに拡大、66年に小さな後席を備えた2+2クーペが追加される。
やがて主要市場であるアメリカの安全基準に合わせるため、外観の変更を余儀なくされ、前後バンパーを拡大した「シリーズ2」へと移行。さらに1971年には排ガス対策によって失ったパワーを取り戻すため、新設計の5.3リッターV型12気筒エンジンを積んだ「シリーズ3」が登場する。繊細な美しさは影を潜めたが、クロームメッキされた大きなフロント・グリルや拡大されたトレッド、張り出したホイール・アーチなどが迫力を感じさせた。2シーター・クーペは廃止され、ロードスターも2+2クーペをベースとしたロング・ホイールベースになった。

オールドボーイ社長のEタイプはこのシリーズ3だが、エンジンは7.3リッターへと大幅に排気量アップ、キャブレターは4基のゼニス・ストロンバーグから6基のウェーバーに変更され、他にもシリンダーヘッド・ポート径拡大、インレッドバルブとエキゾーストバルブを大口径のものに交換、ピストン、コンロッド、クランクシャフト交換、ハイカムシャフト組み込み‥‥等々、多岐にわたるチューニングによって最高出力は276psから500psへ、最大トルクは51.6kgmから80kgmへ大きく向上している。
数字だけを見ればずいぶん無茶な改造に思えなくもないが、そのあたりを率直にきいてみたところ、これは「過去の資料をあたりレース等で使用された実績のあるチューニングを参考にして組まれているので、信頼性を無視したものではない」とのこと。
足回りは、コニのショックアブソーバーとAPレーシングのブレーキ、レース用マグネシウム製ホイール等を装着し、強大なパワーを支える。
さらに目を引くのは、大胆な加工が施されたボディのフロントおよびリアの造形だ。バンパー類は外され一体型スポイラーを装着。ウインカーやテールランプの類もまったく別物。この辺りは「板金屋と話し合いながら形を決めていった」そうで、実に個性的で "レーシィ" なスタイルになっている。
ギアボックスは4速から5速に換装。クーラーも装着されているところを見ると、街乗りも考慮されているようだ。

そもそも最初のシリーズ1に比べれば、シリーズ3自体がすでにモディファイされたもの、と言えなくもない。ならばいっそオリジナルにこだわらず、個人の好みと自由な発想で仕立てるのもありだろう。