岡山県の「オールドボーイ」では、スモール・フェラーリの傑作「ディーノ」を2台並べて展示。中でも鋼管フレームが露になったレストア中の個体は、わずか150台程しか生産されなかった「206 GT」である。


「"跳ね馬"のエンブレムを持たないフェラーリ」として知られる「ディーノ」は、創業者エンツォ・フェラーリの息子アルフレードの愛称からその名が付けられた。
V型6気筒エンジンの開発に取り組んでいたアルフレードは、筋ジストロフィーのため、その完成を見ずして24歳の若さでこの世を去る。彼の遺したV6エンジンには 「Dino」の名が付けられ、1958年のF1マシン「フェラーリ246 F1」に搭載されマイク・ホーソーンがチャンピオンを獲得している。これはF1で優勝した最初のV6エンジン搭載車であり、最後のフロント・エンジン搭載車でもあった。

この流れを汲むV6エンジンを搭載したロードカーが「ディーノ206GT」および「ディーノ246GT」だ。ピニンファリーナ社のレオナルド・フィオラバンティがデザインした流麗なボディには、どこにも "Ferrari" の文字と跳ね馬のマークが入っていない。あるのはエンツォの亡き息子 "Dino" の名前のみである。

1968年に発売された「ディーノ206GT」は、アルミニウム製のボディ・パネルを持ち、ミドに横置きされるエンジンもオールアルミ。排気量1987ccで最高出力180ps・最大トルク19.0kgmを発生する。全長4150mm×全幅1700mm×全高1115mmという小柄な車体は(2リッター以下の排気量も含め)日本では5ナンバー登録が可能だった。
1969年には排気量が2418ccに拡大され「ディーノ246GT」となる。エンジンは鋳鉄製ブロックとなり、出力/トルクは195ps/22.8kgmへ向上。ただしボディ・パネルがプレス成形のスチール製に変更され、全長とホイールベースも拡大したことから車重は900kgから1080kg(発表値)へと増加している。

オールドボーイではこの稀少な206GTを、他にレストア中の車両をもう1台、完成車を1台在庫しているそうだ。価格は例によって「応談」。特にレストア中の車両は、オーナーとなる人の注文によって価格が変動するという。ちなみに完成済みの246GTの方なら、2,625万円とか。
オールドボーイが手がける車両は「地球温暖化による路面温度の上昇に耐えられるように」ファンを高速のものに変更したり、電気系統は新たに引き直し、ヒューズボックスを増設するなど、「オリジナル性をなるべく損なわないようにしながら、安全に乗れる」ための処理を施すという。
完成車の246GTにナンバープレートが付いているのは、「必ず半年ほどかけてテストドライブをし、調整を繰り返す」からだそうで、オーナーとなる人にもその間に乗ってもらい、各部の仕様を詰めていくのだそうだ。

206GTと246GT、完成車同士でディテールを見比べることができないのはやや残念だが、普段はまずお目にかかれないフレームや足回りの様子を、じっくりとご覧戴きたい。

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