次は "マイスター" 成瀬弘氏が直接関わるというGRMN (GAZOO Racing tuned by MN)の車両だ。まずは、これもFT-86と同じくらい魅力的なコンセプトカー、FR Hot hatch Concept。
ぱっと見はFFの小型車にスポーティな味付けを加えたいわゆるホットハッチだが、実はこのクルマ、名前の通り "FR" なのだ。
ベース車はアイゴ。日本では馴染みのない名前だが、トヨタがPSA・プジョーシトロエンと共同開発した低価格のスモールカーで、欧州では兄弟車のプジョー107、シトロエンC1と共に販売されている。もちろん、FFだ。
パッソより小さなこの車体にFR用の1.5リッター直列4気筒エンジンを縦置き(しかもフロントミッドに)し、ドライブシャフトを通して後輪を駆動するクルマを作り上げた。サスペンションも変更されリアはダブル・ウィッシュボーンとなっている。
エンジンはタウンエース(確かにFRだ)にも積まれている3SZ-VE。スペックはbBと同じ最大出力109ps/最大トルク14.4kg・m。サイズはバンパーと広げられたトレッドによってアイゴよりやや大きく全長3570mm、全幅1695mm、全高1460mm。ホイールベースも延長され2500mm。ということはアイゴのシャシーはそれほど流用できないということだ。担当の方に訊いてみると、やはりもし市販化するならプラットフォームは新規で起こすことになるだろうとのこと。他に共用できる車種が今のところ見当たらないことから、手頃な価格で販売するのはやはり難しそうだ。
せっかくFRを作るのにスポーツカーらしいスタイルではなく、なぜFFのようなハッチバックなのか。理由を訊くと、まず「可愛いじゃないですか」との返事。確かに可愛いですが‥‥。
本当の理由は、ちゃんとした後部座席を備え、使い勝手も良いということ。実用性と運転の楽しさを両立することが目的の1つだったという。つまりクルマを一台しか持てない若者が(若者でなくてもそういう人、多いはずだが)日常的な用途に不便を感じることなく使え、さらにドライビング・スキルを磨くことが出来るクルマにしたかったということだ。それなら手頃な価格は必須条件となる。コンセプトは素晴らしいが、残念ながら現実化(市販化)はあまり期待出来そうもない。

FRが大衆車でも普通だった頃、トヨタにはそういうクルマがあった。KP-61スターレットである。3ドア/5ドアハッチバックでなおかつ安価で軽いFR車として、レースやラリー、峠で活躍した。ハチロクではなくケーピーでドリフトを覚えたという人も多いだろう。今ほど安全も環境も意識されなかった、もう20年以上も前の話である。

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