今回参加していた自動車メーカー系で最も力が入っていたのはトヨタである。
15日、東京オートサロン出展と同時に新たなブランド「G Spors(通称G's=ジーズ)」を発表した。
これはトヨタのマスターテストドライバーである成瀬弘氏を中心としたモータースポーツ&車両開発活動「GAZOO Racing」において追求してきた「クルマの味」を、より幅広い顧客に提供する新しいスポーツ・コンバージョン車のシリーズである。
今回の東京オートサロンには、このG'sシリーズとして発表された車両と、"マイスター・ニュルブルクリンク"成瀬弘氏によってチューンされたGAZOO Racing本家の名を冠したブランドGRMN(GAZOO Racing tuned by MN)の車両が数台ずつ展示されていた。
各々のクルマを見ながら、両ブランドの立ち位置を理解して行こう。

まず、多くの人が気になるであろうこのクルマ、FT-86 G Sports Conceptだ。
名前の通り、東京モーターショーでクルマ好きの心をがっちり掴んだ「あのクルマ」の、進化型である。
ベースとなったFT-86 Concept自体、まだ多くが明らかになっていないので、具体的にどこが進化しているのか全てを確認出来るわけではないが、まず一目で分かるのがフロントとリアのバンパー、スポイラー等のエアロパーツである。またマフラーは両サイドから出ていたものが2本出しのままセンターに寄せられている。ディフューザーも拡大され、アンダーフロアの形状にまで手が入っていることを伺わせる。トレッドも広がり、それを収めるフェンダーも拡幅された。それらの変更によって全長は30mm、全幅は20mm大きくなり、タイヤはフロント 245/40R19/リア 275/35R19(東京モーターショー展示車は前後とも225/40R19)のPOTENZA RE050を履く。
見えない部分で最も大きな進化は何と言ってもターボ・チャージャーが装着されたことだ。このパワーアップは「スライド・コントロール」つまりドリフトのためであることをトヨタは隠そうとしない。

FT-86のモータースポーツ向けバージョンとして開発されたこのG Sports Conceptだが、ということはサーキットに合わせた足回りとなり、一般道での乗り心地は犠牲になっているのかと担当者の方に(自身も10万キロを越えたハチロクをお持ちでハチロクを作るためにトヨタに入社したという"カー・ガイ"だ)訊いてみたところ、スバルの水平対抗エンジンを積むことから重心が非常に低いため、それほどアシを固めなくても高いレベルの操縦性を実現できるということだった。

さらにFT-86それ自体について訊いてみた。話せないことが多い(これから決定することとまだ公表できないことどちらも)と何度も言われながらも以下のことが確認できた。

Q:東京モーターショーでFT-86を公開してプロジェクトに何か変化はあったか?
A:富士重工との共同で開発しているわけだが、富士重工のスタッフの士気が多いに上がった。またトヨタ社内での認知、若いスタッフのモチベーションが上がった。
Q:すでにメディアには予測も含めて多くの情報が流れているわけだが、それらを見聞きして明らかに「それは違う」という情報はどの位あるか?
A:だいたい合っていると言っていいと思う。
Q:(プラットフォームを新規で起こす等)それらの情報を見聞きして我々の期待は俄然高まっているわけだが、「良い話」を鵜呑みにして後でがっかりするなんてことはない?
A:ないと思います!

いま世間で実しやかに語られているFT-86についての「良い情報」は、信じていいそうだ!2年半後を楽しみに待とうではないか。
市販バージョンのターボの有無については明確に答えはもらえなかった。ターボ付グレードも用意されるのか、あるいは今回のようにG'sのコンプリートカーとして出すか、まだ検討中ということだ。つまり、いずれにせよターボも有ると言ってよさそうである。
最後に、我々一般世間の反響というものはしっかり作り手に届いているそうだ。クルマ好きが声を上げることによって、クルマ作りに間接的に参加できるこれは幸せな例となるのかも知れない。

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