17日、BMWザウバーF1チームは2010年のレギュラー・ドライバーとして小林可夢偉と契約したことを正式に発表した。
今年のブラジルGPとアブダビGPで小林が見せた走りがF1の本場ヨーロッパでも高い注目を集め、その活躍が評価されて今回の契約につながった。
ザウバー・チーム代表のペーター・ザウバーは「特に最終戦アブダビGPでは、彼が単に速く、アグレッシブなドライバーというだけでなく、戦略を着実に遂行する能力もあるということを示した」とプレスリリースで小林を評している。


小林可夢偉は1986年兵庫県生まれ。9歳でカートを始め1996年にカートレースデビュー。2001年、全日本カート選手権ICAシリーズチャンピオンとなる。同年、フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールを受講しスカラシップ生に選出された小林は、翌年からフォーミュラ・トヨタで4輪レースを戦い始め、フル参戦した2003年はランキング2位でシーズンを終えている。
2004年、トヨタの支援を受けてヨーロッパに渡り、2005年に日本人で初めてフォーミュラ・ルノーのイタリア・シリーズとユーロカップシリーズ両方でチャンピオン獲得。F3ユーロシリーズ参戦を経て、2008年にF1の1つ下のカテゴリーであるGP2にステップアップ。GP2アジアシリーズのマレーシアで初優勝。続いてメインのGP2シリーズでもスペインにて初優勝。2008年終盤から2009年にかけて開催されたGP2アジアシリーズではシリーズ・チャンピオンとなる。

2008年からはトヨタF1チームのサード・ドライバーを兼任していたが、今年の日本GP予選でクラッシュし脊髄を損傷したティモ・グロックに代わり、第16戦ブラジルGPで急遽F1デビュー。年間チャンピオン獲得の懸かったジェンソン・バトンを「抜かせない」走りが長時間に渡りテレビ映像で中継され、世界中に強い印象を与える(と同時に新チャンピオンから非難される)。次戦アブダビGPにも引き続き出走。予選12位から1回のピットストップで走り切る作戦を見事に遂行し、チームのエースドライバーであったヤルノ・トゥルーリを上回る6位入賞を果たす。
来期はトヨタのレギュラーシート獲得かと思われていた矢先、トヨタがF1撤退を発表したのはアブダビでの活躍のわずか3日後だった。山科忠チーム代表(当時)が、若き日本人ドライバーのことを思って涙で言葉を詰まらせた記者会見は記憶に新しい。
小林のザウバー入りは、トヨタのスポンサーであったパナソニックやKDDIの支援があったためとも言われている。日本のF1ファンへの、トヨタの置き土産である。

シートが得られなければ実家の寿司屋に戻って働くと発言していた小林可夢偉。握るのは寿司ではなくF1のステアリングとなる。喜びの声はプレスリリースにて。