マツダのアイドリング・ストップ・システム「i-stop」が、その燃焼技術開発において平成21年度日本燃焼学会「技術賞」を受賞した。この賞は、燃焼応用技術の研究・開発に顕著な功績を残した個人またはグループに対して贈呈される。

クルマが停車したときにエンジンを停止させる「アイドリング・ストップ」は、都市部では約14%の燃費改善(財団法人省エネルギーセンターによると10分間あたり90gのCO2排出量削減(環境省作成データ))が期待できる。
現在では多くのメーカー・車種に採用されているアイドリング・ストップ機能だが、エンジン始動時にスターターが作動することで乗っている人が振動や作動音を煩わしく感じることや、頻繁な停止・始動によるバッテリーとセルモーターへの負担、エンジン再始動にかかる時間によって発進が遅れ渋滞の一因となることの懸念などの問題があった。

マツダのi-stopは、停止しているエンジンのシリンダー内に直接燃料を噴射して着火、爆発させることでピストンを押し下げ、エンジンを再始動させる「燃焼始動方式」を採用することで、これらの問題を改善している。

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技術的なポイントは、圧縮行程にあるシリンダーと膨張行程にあるシリンダーの空気の量が、バランスのちょうどいいところでピストンを停めることだ。スロットルとオルタネーターを精密に制御し、エンジン停止時のピストン位置を確実にコントロールしなければならない。
エンジンを再始動するときには、最適な位置に停めたピストンの中から、最初に燃料を噴射する気筒を判別し、着火させる。このときスターターモーターはアシストとして働く。
この技術により、エンジン再始動にかかる時間を常に一定に保つことができ、またその時間を従来のセルモーター式に比べて約半分の0.35秒にまで短縮。
乗員に違和感を与えないアイドリングストップ 再始動が可能になった。
これは直噴エンジンだから可能な始動方式であり、この技術によって直噴エンジンの価値を高めたことも今回の受賞では評価された。 i-stopはこれまで「第6回エコプロダクツ大賞 エコプロダクツ部門 国土交通大臣賞」や「2010年次RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

我々クルマ好きにとってこの技術が優れているのは、走り出してしまえば運転の楽しみを何ら阻害するものではない、という点ではないだろうか。

走っているときは、環境のためとはいっても我慢やストレスとはなるべく無縁でいたい、というのがクルマ好きの本音だろう。だがその分、信号待ちなどで停止しているときには少しでも自らが排出するCO2を減らしたい。燃費だって良くしたい。
i-stopのような技術は、走りの味を犠牲にすることなく環境性能の向上が見込めることから、スポーツカーのようなクルマにこそ採用が待たれるのではないだろうか。