ツインリンクもてぎにあるホンダ・コレクション・ホールでは、来年の1月24日まで「Honda Collection Hall 所蔵展 1950年代から1970年代編」が開催中だ。
ホンダが今までつくってきた数々の製品(芝刈機からF1マシンまで)を中心に、常時350台以上のクルマやバイクが展示されているこのホールだが、今回の「所蔵展」では、これまであまり展示されなかった物の中から、1950~1970年代の車両が公開されている。
その中でも特に珍しい一台が、ホンダS800をベースに作られたレーシングカー「コニリオ Mk II」だ。
小型ながら本格的スポーツカーとしてモータースポーツでも活躍していたS800 のシャシーに、より軽量なFRP製ボディを被せ戦闘力を高めたコニリオは、当時10台が製造されプライベーターたちに販売されたという。 マツダのル・マン用レーシングカー開発にも携わった山梨信輔氏が当時代表を務めていた「レーシング・クォータリー」の依頼を受け、工業デザイナーの濱素紀氏が設計・制作した。1969年の日本GPでは、現八王子市長の黒須隆一氏が乗りクラス優勝、総合でも12位に入るという戦績を残している。
搭載されるエンジンは、"時計のように精密な"と言われた水冷直列4気筒DOHC。S800の排気量791cc・最高出力70psから、845cc・95psにまでチューンされている。
「コニリオ」とはイタリア語で「野ウサギ」という意味で、当時イタリア語を学んでいた濱素紀氏が名付けたそうだ。

日本自動車博物館には赤いクーペタイプのコニリオが展示されており、こちらはヘッドライトや快適そうなキャビンを持つロード・バージョン。ホンダS800がレーシングカーとして生まれ変わり、またロードカーとして仕立て直されたわけだ。コニリオは、近年になって濱素紀氏のハマ・スタジオで数台が再生産された。これはレーシングカー・スタイルの低いウインドシールドのままナンバー登録され街乗りが可能となっている。

我が国のモータースポーツ黎明期に活躍した小さなレーシングカー。これで黒須隆一選手は富士スピードウェイを95周、3時間40分以上をドライバー交替なしで一人で走り切った。公開期限はあと2ヶ月足らずだが、近郊に住む人はドライブがてら足を運んでみてはいかがだろうか。