12月のLAモーターショーで発表されるポルシェ・ボクスター スパイダーの受注が日本でも始まった。
7速デュアルクラッチ式AT「PDK」搭載モデルの価格は913万円。6速MTモデルなら866万円。左ハンドルのみの設定だ。 ベースになったボクスターSと比べ80kgの軽量化と10psの高出力化の代価は114万円となるが、この価格にはオプションのエアコンディショナーは含まれていない。ソフトトップも手動となる。


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軽量化の手法は964RS(964型ポルシェ911カレラRS。'92年発表)とよく似ている。
それを象徴するのがベルト式のドアオープナーだ。軽量化のため室内の装備は簡略化されており、ドアハンドルの代わりに、シートベルト同色のストラップがドア内張に付けられている。室内から開けるときにはこれを引っ張るわけだ。 これでどれだけ軽くなるかは知れたものだが、レーシングカーに近い軽量バージョンに乗っているという気分は高まる。
カップホルダーをなくしたことも同様だろう。 964RSにもなかったエアコンは我慢すれば12kg軽くなる。さらに専用スポーツバケットシートで12kg、ドアをアルミにして15kg削減。
簡素化された手動式の幌はそれ以上に軽量化に貢献していると思われる。

そもそも、スポーツカーとしての資質がより高いと見られるケイマンではなく、ボクスターがこの軽量バージョンのベースに選ばれたのは、この技が使えるためではないか。重くて複雑な電動式ソフトトップを外せば、それだけで大幅に軽くなるだけでなく低重心化も図れる。911のライトウエイト版でお馴染みの、リアシートの省略という手法は2シーターのケイマン&ボクスターでは使えない。
そして元々屋根有りのクーペから屋根を切ってボディを補強した911カブリオレ(またはその他多くのオープンカー)と違い、ケイマンは元々オープンとして設計されたボクスターをクーペ化したためボクスターより特に軽いわけではない(わずか5kg)。

964RSはエアコンだけでなくオーディオやパワーウインドウ、パワーステアリングまでなくし、フロント以外のガラスを薄くまでして130kgもの軽量化を達成した。
限定生産モデルであったため台数も少ないことから中古車市場では普通の964カレラ2の倍以上の値段が付けられることも珍しくない。 ただし、964RSアメリカと呼ばれるモデルも存在し、この北米専用車はRSの外観にノーマル・カレラ2と同じエンジンを搭載した、まったく別物と考えられている(各部仕様も大きく異なる)。

ボクスターとケイマンは、上につかえている911という存在があるため、それを超えないよう意図的に性能が調整されていると言われ続けてきた。 ボクスター スパイダーが964RSのようにエンスージアストの心を掴むかどうかは、そのしがらみからどれだけ自由になれるかに係っている。