群馬県の伊香保近辺で開催された「第8回クラシックカーラリーミー ティング」には、さすが地元だけあってあの有名な「ハチロク」も姿を見せていた。
RSワタナベと思しきホイールやカーボン ファイバーのボンネットも凛々しく、その「パンダカラー」のボディはとても四半世紀前の物とは思えないほど、そして毎日配達で使用されて いるとは信じられないほど美しかったことが印象的だ。

この「ハチロク」-1983年発売のトヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノにツインカム・ユニットを搭載したスポーツモデル、型式番号AE86、だから通称ハチロク-は現在でも非常に人気が高く、状態の良い個体には往時を 越える値段が付けられることもある。 現在40歳前後で、若い頃にクルマ好きだった人たちの中には、運転免許を取得して最初に手に入れたクルマがこの「ハチロク」だったという人も少なくない。
そして彼らの中には、初めて雪が降った日に出勤する途中、道路で横を向いてしまったという九死に一生体験を持つ者もいるはず。

そんな「簡単に後輪が 滑る(滑らせることができる)」のがこのクルマの魅力の1つであったことを含め、以下で仕様をおさらいしてみよう。

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AE86にはヘッドライトが固定式のレビンと格納式のトレノがあり、ボディも2ドアクーペと3ドアハッチバックの二種類が存在する。
2ドアクーペの方が軽量で剛性が高く、3ドアハッチバックは空力特性に優れると言われていた。 また、パワーステアリングやパワーウインドウを装備した豪華仕様のGT-APEX、60扁平タイヤを標準で履き太めのスタビライザーなどハードな足まわりが特徴のGTV、リアがドラムブレーキとなる GTの三種のグレードがあった(ただしGTVは3ドアのみ、 GTは2ドアのみ。GT-APEXはどちらも選べた)。

件のハチロクはトレノのGT-APEX3ドアだが、よく言われるよう に当時はレビンの方が人気が高かった。 当時の若者にとって新車のGT-APEXを買うことは簡単ではなく、 中古で安く手に入れられるようになってからハマっていったという人も多い。

トヨタが今年の東京モーターショーに出展している「FT-86コンセプト」という小型FRクーペが、AE86の現代版を目指して 開発されたことは周知の通りだ。2010年末に市販化が噂されるこ のクルマ、200万円程度の価格になると期待されているが、それでもやはり財布の軽い若者にとって新車で購入するのはなかなか難しいのではないだろうか。
ならばかつてAE86で鳴らした「元・走り屋」の皆さんがこぞって 購入し、良質な中古車を次の世代に残すことができれば、我が国の自動車文化発展における大きな貢献となるかも知れない。
自動車メーカーにとっても「若者のクルマ離れ」を食い止めることは、 CO2削減と同じように重要な課題であるはずだ。