F1レース中のクラッシュは一大事だが、それが意図的だったとなれば、事態はさらに深刻だ。故意に事故を起こしたネルソン・ピケJr.がレーシング界からバッシングを受けるのも当然である。

元ルノーのドライバー、ピケJr.は、2008年のF1シンガポールGPで故意にクラッシュすることを企てた、いわゆるクラッシュゲート騒動の当事者だ。この不祥事の責任者として、彼のマネージャーであり、ルノーF1チーム代表であったフラヴィオ・ブリアトーレはF1を含むあらゆるFIAのレースから永久追放され、テクニカルディレクターのパット・シモンズは5年間の資格停止とレース活動への関与禁止となった。

しかし当のピケJr.は国際自動車連盟(FIA)へ事件を告発したことが認められ、捜査への協力と引き換えに責任追及を免れた。彼は「この騒動で最も苦しんだのは自分だ」と訴えているが、処分の結果を見る限り、その気持ちを察するのは難しい。

ところで、アメリカのNASCARでは、出場しているストックカーがクラッシュするのは珍しいことではない。むしろそれが魅力の一つでもある。というわけで、ピケJr.が今後F1やヨーロッパラリーへの参加が困難になったとしても、クラッシュの多いNASCARのストックカーレースに参戦することは大いにありそうだ。これまでF1からNASCARに転身したドライバーは、ファン・パブロ・モントーヤやジャック・ビルヌーブ、スコット・スピードらがいる。

ブラジルのテレビ局「グロボ」が伝えた最新情報によると、ピケJr.はこの1〜2週間、NASCARのキャンピング・ワールド・トラック・シリーズに参戦しているレッド・ホース・レーシングのトヨタ タンドラでテストを行う予定だという。さらに、彼はトラック・シリーズとネイションワイド・シリーズで経験を積んだ上で、2012年にはNASCARの最高峰、スプリント・カップ・シリーズを目指す計画があるとも伝えている。問題はアメリカのレーサーとレーシングファンがピケJr.を歓迎するのかということだ。