マクラーレンといえば1993年当時、約1億円という価格が話題になった(実際には当時のレートで8000万円程度)マクラーレンF1や、2003年メルセデス・ベンツSLRマクラーレンの5775万円という数字が頭に浮かぶせいか、マクラーレンMP4-12Cの12万5000ポンド~17万5000ポンド(約1900万円~2650万円)という価格が発表されたとき、思わず「安い!」と感じてしまった人もいるのではないだろうか。

最近話題になった他のスーパーカーを見ても、ブガッティ・ヴェイロンの1億6300万円(発売当初。その後何度か価格改訂されすぐに1億9900万円となった)をはじめ、アストンマーチンone-77の100万ボンド(約1億5000万円)ランボルギーニ・レヴェントンの100万ユーロ(約1億3000万円)など、いずれも超高額だ。
それらに比べるとMP4-12Cは確かに手ごろな価格(もちろんある種の人たちにとってのみ)のような気もするが...。

マクラーレンは、現在の高性能スポーツカー市場を、3つの階層に区分することができると言う。

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まずはその中核(コア)となる階層。
価格帯は12万5000ポンド~17万5000ポンド(約1900万円~2650万円)で、フェラーリF458イタリアランボルギーニ・ガヤルドポルシェ911ターボベントレー・コンチネンタルGTアストンマーチンDB9などがここに含まれる。

そしてさらにその上の「ハイ・カテゴリー」。
17万5000ポンド~25万ポンド(約2650万円~3800万円)の価格帯で、フェラーリ599GTBフィオラノ612スカリエッティといった大型フロントエンジンGTと、唯一のミドシップであるランボルギーニ・ムルシエラゴから成る。

最後に挙げられるのは究極の「アルティメット・カテゴリー」だ。
これはマクラーレンF1を始祖とする分野で、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンブガッティ・ヴェイロンポルシェ・カレラGTフェラーリ・エンツォといった言わば伝説的な存在とそれを追う新興勢力、パガーニケーニッグセグなどがある。

そして2011年、MP4-12Cは、このアルティメット・クラスのクルマたちだけのものであったテクノロジーとパフォーマンスを、コア・セグメントにもたらすことになる、とマクラーレンは言っている。
つまり、「安い」ことはマクラーレンの意図するところなのだ。 究極のスポーツカーを一切の妥協なしに作ることが目的とされたマクラーレンF1とは、根本的に違う。 1台売るごとに赤字が増えると言われた20世紀最後のスーパーカーと違って、ロン・デニスはMP4-12Cをビジネスとして成功させるつもりだ。
年々肥大化するポルシェ911ターボの牙城に、カーボン・モノセルを始めとするF1直伝の軽量化技術で挑む。

では、前述のアルティメット・カーと比べて、MP4-12Cはどこが安く作られているというのだろうか。 MP4-12Cの"C"はカーボンを意味し、市販車としては世界初のワンピース構造カーボンファイバー製シャシーを採用したこのクルマだが、実はボディの外板にはカーボンではなくSMC(シート・モールディング・コンパウンド)成形樹脂が使われている。これは身近なところでは浴槽等に用いられ、コーヴェットのボディパネルにも使われているものだ。
2011年にMP4-12Cを購入した顧客に買い替えを促すように、さらに数年後、カーボンファイバーのボディパネルを採用したアルティメット・マクラーレンが登場するかも知れない。

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