残念ながら今年の6月30日にホンダはS2000の生産を終了し、その現行ラインアップにはスポーツカーと呼べるクルマが消滅してしまったわけだが、実は今でも、ホンダ・エンジンを搭載したスポーツカーは買える。


VEMAC(ヴィーマック)という車名を聞いたことがおありだろうか?

去年までSUPER GTに参戦していたからご存知の方も多いだろう。あのレーシングカーにはベースとなったロードバージョンが存在する。
日本の東京アールアンドデーとイギリス人クリス・クラフトが日英共同で開発しイギリスで生産するヴィーマックRD200というクルマがそれだ。
やはりイギリスで生産され日本に輸入されていた先代シビック・タイプRのエンジンを、車体中心付近・後軸の前に積む、つまりはミッドシップで、鋼管スペースフレームのシャシーとFRP製のボディパネルを持った、小さくて軽い二人乗りのスポーツカーだ。

同じエンジンを積む先代シビック・タイプRより300kgも軽い。それなのにちゃんとエアコンが付いているのは日本の血が入っているおかげだろう。
特徴的なのは右ハンドルなのに右手でギア・シフトするということで、ドライバーズ・シートと右ドアの間、サイドシル上にシフト・レバーがある。乗り降りは大変そうだが、それもル・マンに出撃するフォードGT40気分、といったところだ。

もちろんちゃんと理由があって、左足でクラッチを踏む時、同時に操作するギア・シフトは、身体の対角線上である右手で行った方がバランスがよいというのである。多くのレーシングカーが右ハンドルなのは、右回りのサーキットが多いから右コーナーでよりイン側に近いというためだが(コーナリング中にイン側に重量があった方が車体が安定することや、ドライバーにクリッピングポイントが見やすいなどの利点がある)、ヴィーマックが右ハンドルなのは日英共同開発車だからだろう。

ちなみに東京アールアンドデーとは、レーシングカーから電気自動車まで主に自動車の研究開発を行う会社で、意外なところでは清水宏保が長野オリンピックで金メダルを獲得したときに履いていたスケート靴なども作っている。
クリス・クラフトという人は、マクラーレンのF1(フォーミュラカーとロードカーどちらも)をデザインしたあのゴードン・マーレーと一緒に、Rocketというクルマを作った人物で、Rocketよりは遥かに常識的なヴィーマックのデザインには彼の経験が生きているようだ。

写真のヴィーマックは初期型のRD180というタイプであり、インテグラ・タイプRの1.8リッターエンジンをわざわざ縦置きしている。横置きに改められた現行のRD200より純粋な気がするけれど、「乗ると今のヤツの方がイイですよ」とはオーナー氏の弁。

このように魅力的なヴィーマック、欲しい人は私も含めて多いだろうが、現在は作っていない。 といってもNSXやS2000のように生産終了したのではなく、ある程度の注文が入ったらまた製造するそうだから、ご安心あれ。

そして実は、今ならまだぎりぎりで新車未登録のS2000を買うこともできる。こちらは本当にこれが最後のチャンスだ。シャシーもホンダ製でないと、という人は急いだ方がいい。

あるいはホンダ・スポーツの復活を信じて待ち続けますか...。