ポルシェは自動車メーカーというよりも、投資ファンドなのではないかと考えている経済アナリストは多い。傘下に置くフォルクスワーゲン株のオプション取引で、昨年ポルシェは68億ユーロ(約8,140億円)の利益を得た。しかし、肝心の自動車販売による利益はたったの10億ユーロ(約1,200億円)。フォルクスワーゲン株以外の株取引で得た利益は、3億9,200万ユーロ(約470億円)程度となっている。

ポルシェが、なぜ株取引を行ってまで、利益の確保に躍起になっているのか? それは310億ユーロ(約3.7兆円)とも言われるポルシェ株の時価総額が、市場のリスクにさらされているからだと専門家は言う。フォルクスワーゲンの株価は、当初ポルシェが見積もった価格の2倍に値上がりしているが、ワーゲンの株価が過剰に釣りあげられる恐れや、他の自動車メーカーの影響を受けて株価が購入時よりも値下がりする懸念もある。企業の資産価値が下がり続ければポルシェとピエヒ・ファミリーが企業内での権力を失うのではないか、そして私財を投じて財政のテコ入れするのではないか、などのウワサも囁かれている。

そうしたウワサはともかく、3月に返済期限を迎える債務を抱えたポルシェが、それをどう乗り切るかが目下の問題だ。実際に車を売って得た利益は激減しているため、ポルシェは変則的な打開策を打ち出してくるかもしれない。株を利用した方法の可能性もある。今年1月にはポルシェミュージアムをオープン時の予算の2倍をかけて開館したポルシェ。CEOのヴェンデリン・ヴィーデキング氏が自社の台所事情に神経をとがらせているとしても、まだ周囲には気づかれていない可能性はある。

[情報元:フィナンシャル・タイムズ